そして別世界へ
しかし問題の性別さえ決まってしまえばこちらのものだ。残りの声、髪型、顔のパーツに輪郭、身長を然程時間をかけることなくすらすらと終わらせてしまう
本当なら時間をかけてキャラ作成をするつもりだったがゲーム開始から30分が経過している今、早くプレイしたいという好奇心と他のテスターに置いて行かれるという焦りから少し手を抜いてしまったが少なくともリアルの自分よりは数倍かっこよく出来たのでまぁよしとしておくことにした
そして最後は初期装備と職業だがこれに関しては特に迷うこともなく、剣士、魔術師、弓使い、大剣士、格闘家、僧侶、魔物使いの全7つから剣士を選択して初期装備に関しては全てシステムに任せて剣士に最適な装備を選択してもらい最後にOKのボタンをタッチするとウィンドウは消え、目の前には一つの扉が現れた。
そこからのことは考えるまでもなかった
一歩一歩扉への距離をつめていく鈴華の足取りは次第に早くなり最後には全力で駆け出していた。最近走っていなかったせいか何度も足がもつれて転びそうになるが何とか踏ん張って体制を立て直しとうとう扉の前にたどり着いた。
本来なら息が上がっているはずなのだがそんなことは全くなく、むしろ今までで一番落ち着いていたのではないのだろうか。
少々古くさいタイプの扉だったがそんなことは気にせずにドアノブへと手をかけた。
するとどこからか何者かの声が聞こえてきた。声の太さからして男なのだろうか
これも何かのイベントかと考え耳を澄ましてみることにした
「汝に問う。汝は自らの魂を賭け、この世界を生き抜く覚悟はあるか。もしないのならここで引き返せ。そして、覚悟があるのなら――――その扉を開け」
それっきり声が聞こえることはなくまたここは暗く静かな空間に戻った
いっている事が難しすぎてよく分からなかったがこんな所で引き戻る訳がない
俺は意味がないのは分かっていたが何となく先ほどの言葉に答えを返していた
「いいぜ。魂でも命でも賭けてやる。そして、この世界で生き抜いてやるよ!」
ガッとドアノブを掴んだ鈴華は勢いよく扉を開けると向こう側は光溢れる真っ白の空間だった。
そして鈴華は一歩、溢れでる光などお構い無しに力強く扉の向こう側へと踏み出した