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「おい、ハクト」
トシは夜になってようやく家に帰って来たハクトを見つけると声を掛けた。
「今まで、どこに行っていたんだ?」
「道場に籠っていた」
「相変わらずだな。出発は明日だぞ。準備とか色々あるだろう?誰か別れを言わなければならない人だって……」
「父上と母上なら、明日出発前に」
「他は?」
「他とは何だ」
「二度と帰ってこられないかもしれないんだぞ」
「それがどうした」
「それがどうしたって……お世話になった人とか色々さぁ……まあいいけど。明日だが、俺はトルク村で寄らなければならない所があるから、早朝に発つ」
「わかった。待ち合わせは、フノス山の麓にある標石だったな」
「ああ」
「トシ、目は大丈夫か」
「大丈夫。まだ見えてるよ」
「そうか」
と言うと、ハクトはくるりと振り返って自分の部屋へと入って行った。
そんなハクトの後ろ姿を見送りながら、トシは苦笑いを浮かべるのだった。




