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推し=神  作者: Mia
4/4

最終話:笑顔の循環

今回で最終話です。

ぜひご一読ください!!

数年後

妹は社会人になった。会社は無くなった。


そして私は、VTuberになった。

友達を助けるためだ。私自身がめぐるひめの代わりになるしかない。


私はもう少しで、めぐるひめの人気を抜き去る。

妹の告白から、全てをVTuberとしての活動に捧げてきたんだから当然だ。

配信開始ボタンを押そうとする。

あの時の妹の言葉が脳裏によぎる。

『信仰してしまう人が増えるかもしれない』

思い出してしまい、押すのを躊躇する。


悩み始めてから2時間たった。

悩むが、これ以外、友達を助ける方法は無い。


ボタンを押す。

『みつき様は神様だ』そんな、友達であるうみからのコメントが流れてくる。

あぁ、そうじゃない。神なんかじゃない。

「ー。私は笑顔を届けるためにしてるだけ!もし私が居なくなっても笑顔を巡らせてね。」

いつかめぐるひめが言っていたことを伝える。

あぁ、そうか。そうなのか。

今、私はめぐるひめと同じ立場に立つしかないのだ。

辞めれば友達の未来はない。


活動を続けることで誰かの人生を変えるだろう。良くも悪くもだ。

どうしたらよいのか。

画面の中で、今日も誰かが救いを求めている。


1年後

友達のうみが学校を退学した。

四六時中、私の動画が見たいから辞めたそうだ。

元凶である私が会いに行って良いのか、心配な気持ち。

その二つを天秤にかけ悩んだ。

友達に会いに行くことにした。


インターホンを鳴らすと、ひどく痩せ細った女性が出てきた。

「すみません、うみの友達のみづきです。うみは居ますか?」

そう訪ねるとその女性の顔は変貌した。

「みづき様、会いに来てくださったのですか?私がうみですよ。お会いできて光栄です。ぜひ、家に上がってください。」

その女性の正体はうみだった。

まるで、友達のみづきとしてではなく、VTuberのみづきとして迎え入れているかのようだ。

私の事をもう友達だと思っていないなら、帰ってしまおうか?

そう考えたが、私のせいでうみが変わってしまったという事実を受け止め、

お邪魔することにした。


「狭いところですが、上がってください。こちらが私の部屋です。」

そう言ってドアを開けてくれた。

その瞬間、私はあの時の異様な部屋と比べ物にならないほどおぞましさが増した部屋が視界に入った。

「私はみづき様が大好きで、祭壇にアクスタを数千個、ポスターを壁・床中に貼っています。」

思わずえずいてしまった。

めぐるひめのグッズの代わりに私のグッズまみれの部屋となっていたのだ。

さらに、前より量が多くなっている。

心配になりうみに尋ねた。

「あの、こんなにお金使って大丈夫なの?」

うみは笑顔を見せて言った。

「はい、大丈夫です。一時はお金がなくて困っていましたが、闇バイトを始めましたので。短時間でたくさん稼げるんですよ。そのおかげでグッズが買えるんです。」

うみは、あの時と同じ、無邪気な笑顔を見せた。

胸がざわついた。

「正直に警察に自首して。これ以上罪を重ねないで。お願い。」

私の渾身のスマイルを見せて言った。すると、

「分かりました。みづき様がおっしゃるのならば。行ってきます。」

うみはとびきりの笑顔を見せて、部屋を後にした。

私は膝から崩れ落ちた。

こんなもの買わなくていいのにと怒りが湧いてきた。

だから、グッズを全て、床に落とした。思い切り踏みつけた。


翌朝

朝食を無理やり喉に流し込みながら朝食をとる。

「うみ容疑者が」

そうテレビから聞こえ、頭を振りかぶりながら見る。

「うみ容疑者が闇バイトをしていた罪で逮捕されました。」

私は無理やり押し込んだ食べ物を口から吐き出す。

「うみ容疑者は、みづき様のグッズを買うためだと供述しています。」

「みづき様って有名なVTuberですよね?うちの娘もファンなんですよね。一人のVTuberが人生を変えてしまう。恐ろしいですね。」

ニュースキャスターが真剣な眼差しでそう言った。


三時間後

ライブをしようと、画面をつけると、待機者数が過去最高となっていた。

ライブ開始ボタンを躊躇いなく押した。

「みなさん、こんにちは。みづきです。初見さんも多いかな?見に来てくれてありがとう!」

コメント数の多さに身の毛がよだつ思いをしつつ、コメント欄を眺める。

『宗教家VTuberだろ笑』

『お前のせいで一人の人生が壊れたんだよ。』

『スパチャ50000円』

『スパチャ30000円』

『アンチなんかに負けないで、みつき様がいなくなったら生きていけない』

でも、同接、コメント数は過去最高だ。スパチャ額も過去最高になるだろう。

口角が上がるのを感じる。


配信後

SNSを使いエゴサをしていると、トレンドの中に私の名前が入っていることに気づいた。

トレンドには

『宗教家VTuber』

『みつき様』

という言葉が入っていた。

私は気分が高揚したまま、ベッドに身を放り投げた。


翌朝

眠い目をこすり、大きなあくびをする。

朝食を味わって食べながらニュースを見る。

そこには私が取り上げられていた。

「宗教のようですね。一人の人生を狂わした。」

「うちの娘、大ファンなんですけど、この事件があったから動画を見るなとスマホを取り上げています。」

ニュースキャスター達は私のせいにしてそう言っていた。

そして、

「しかも、この事件の犯人を取り調べしてる時に、狂いを感じることがあったそうです。」

「はい。警視庁によると、犯人は半年ほど前から家族と連絡を断絶していた。さらに、精神的ショック状態で会話も難しい。唯一話せるのはみづきの事だけだそうです。」

私は笑顔を巡らせるためにしてるだけなのに。

そう思い、

「ばかみたい。」

と言うと、

「そんなことない。」

という声が聞こえた。

後ろを振り返ると妹が立っていた。

「お姉ちゃん、もう終わりにしよう。

お姉ちゃん、優しいから責任を感じて活動を始めたでしょう。でも、その前に言ったよね?『お姉ちゃんが壊れちゃう。』って。もっと強くとめなかった私にも非がある。けど、だめだよ。もう、やめて。」

妹は私に告白した時の同じ目を向けている。

そんな目で見るな。こっちを見るな。

「私の妹だから、分かるでしょう?

私のおかげでたくさんの人が生きられている。やめたら、みんなの人生はどうなるか、考えた?」

私は妹を強く非難する。

妹は服の裾を強く握りしめ、俯きながら言った。

「そっか。お姉ちゃん、ファンの所へ行こうよ。車に乗って。」

私はファンに会うために車に乗る。


「着いたよ。」

妹からの冷酷な声が聞こえる。

私は車から降り、建物を見上げる。

「ここ、病院って書いてる。患者さんにファンがいるの?」

そう訪ねると妹は目尻を優しく下げて私に言う。

「うん。そうだよ。私はお姉ちゃんの事、大好きだからね。VTuberのみづきじゃない、お姉ちゃんであるみづきが大好きだから。」

そんな会話を繰り広げ病院に入る。

すると看護師さんがこちらに駆け寄り、優しく私の手を包み込む。

「きっと大丈夫ですよ。安心してください。もう大丈夫ですよ。」

柔和な笑みをこちらに向けた看護師さんは、今まで見たなにより光り輝いて見えた。

そして、案内された部屋に入る。

「みづきさんは、ここで入院していただきます。」

私は疑問符を頭に浮かべた。

そこで尋ねた。

「どうして、私が入院するんですか?」

「配信をすることで、みづきさんの精神が不安定な状況に陥っているからです。ここで、一度休みましょう。」

そう答えた看護師さんの話が右から左に流れる。

戸惑いと疑問が入り交じる気持ちを穏やかにしようと試みる。


「あっ。」

私はポケットに入れたままのスマホを取り出す。

そして、ゲリラでライブを始める。

「みなさん、こんにちは。みづきです。急ですが、入院することになりました。」

そう言うと色々な反応が伺える。

『お大事になさってください。』

『一生入院しとけ。』

『宗教家は出てくんな。』

『スパチャ50000円』

高額スパチャも投げてもらえる。

大人気だ。私は神様だから。

『みづき様がいるおかげで生きれています。早く元気になってくださいね。』

そのコメントを送ったのはうみだった。

「うふふ。」

笑い声がもれる。

すると、50代後半くらいの医者が来た。

「配信なさらないでください。休養は大切です。スマホ預かりますね。」

私は金切り声をあげ怒鳴った。

「私は神様なんだ。無礼だと思わないのか?やめろ!」

医者は悲しげな瞳でこちらをみつめた。


翌日

みづきのゲリラライブがトレンド入りし、ニュースでも取り上げられた。


そしてみづき様という神は消えた。

だが、今日も新しく神は現れる。

うみは新しいVTuberの配信を待っている。


「笑顔を巡らせたかっただけなのに。

なんでこうなったの?」

推し≠神

最後まで読んでくださりありがとうございます。

この作品はここで終わりです。

しかし、彼女たちの人生はまだまだ続きます。

この作品に込められた思いに、多くの人が触れてくださるように願います。

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