第3話:告白
推し=神の3話目です。
ぜひご一読ください!!
観光大使に就任してから数日がたった。
めぐるひめが緊急配信をするとの事で、妹に見ようと誘った。
だが、用事があると言って、防音室である妹の部屋に閉じこもってしまった。
配信が始まった。同接は既に500万人をゆうに超えている。
「みんなに大切なお知らせがあります。」
『結婚?』『大統領になるの?』『神様なんだから、結婚するわけないだろ笑』というコメントが流れる。
「私は今日で配信を終わりにします。ごめんなさい。じゃあね。」
真っ暗な画面になった。何度も画面を更新する。変わらない画面を眺め、指が震える。
あまりにも突然すぎる別れに戸惑いを隠しきれない。唇が震える。
30分後。
ようやく冷静になってきた。
だからこそ、悲しみが身をこがす。
「めぐるひめがいない世界でどう生きたらいいの?誰か助けて!」
私は大きな声で叫んでいた。
いつの間にか後ろに妹が立っていたことに気づく。
妹は一息置いてから言う。
「お姉ちゃん、ごめんなさい。ずっと言えなかったことがあるの。落ち着いて最後まで聞いてね。ーー。友達のうみさんも呼んで。」
1時間後
久しぶりに友達と会えて嬉しい反面、妹がなんの告白をするのか恐怖を覚える。
妹はまっすぐ純粋な視線をこちらに向けて、一呼吸置いてから言う。
「あのね、実はめぐるはAIなの。二人が知っての通り、私は会社を経営してる。
その会社ではAIの開発をしていて、私がめぐるを生み出したの。
私の通ってる学校の先生に、まなみ先生っていう人がいるの。
その先生が、元経営者だったから、助けてもらってたの。
それで先生が敏腕だったから成功して、お金に余裕があったんだよ。
私ね、成功に酔ってたことがあったの。その時に先生が止めてくれた。
だからね、私も一線を超えそうになってる人がいたら止めるって決めてたの。」
「隠しててごめんなさい。
もし事実を伝えてしまったら、二人を苦しませてしまうと思って、黙っていたの。
でも、これ以上隠し続けていたら、二人が壊れてしまう。そんな姿を見たくなかったの。」
突然の展開が続き、頭が真っ白になる。だが、妹は話を続ける。
「笑顔をみんなに巡らせたい。その思いで、めぐるを作り出した。
そして、VTuberが笑顔を循環させるのに適していると思ったの。
それで、AIに、配信を始めさせた。
おかしいと思ったことはない?異常な行動量、成功の数々。」
私は視界が霞むのが気になり、瞬きをする。
瞬きをする度に、めぐるひめの表情が頭をよぎる。
だが、これだけは絶対聞かなければならない。
突然の別れなんてありえない。
「なんで、めぐるひめの活動を終わりにしたの。ねぇ、どうして!?」
妹の服の裾を強く握りしめた。
私は醜い顔をしているだろう。
妹は声も手も、震わせながら言った。
「このままだったら、めぐるを信仰してしまう人が増えてしまう。
その証拠に、うみさんが壊れていってる。
それで、私にお金を借りに来た。
お姉ちゃんもめぐるを信仰しだしてる。少しずつ壊れていってる。
怖いの。怖くて仕方なかったの。他に方法がなかったの!」
私は声を押し殺して泣いた。
目を真っ赤にはらして泣いた。
めぐるひめが『私が居なくなっても笑顔を巡らせてね』と言っていた声が脳内で再生される。
ちょっと待て、ドッキリの可能性があるんじゃないか。藁にもすがる思いでそう考え、聞いた。
「ねぇ、嘘でしょ?冗談きついよ。
ドッキリでしょ?」
妹は私の手を優しく包み込んで答えた。
「ドッキリじゃないよ。ごめんなさい。
本当にこうするしか思いつかなかったの。ごめんなさい。」
私は思わず妹に怒鳴っていた。
親のかたきを見るような視線を向ける。
「ドッキリでしょ?そうに決まってるじゃん。絶対に信じないよ。
否定するなら、証拠出しなさいよ!」
妹は長いまつ毛を下げて言った。
「ー。分かった。私の部屋に来て。」
妹の部屋に初めて入った。
頑なに妹が『部屋には入らないで』と言って鍵を閉めていたからだ。
部屋の真ん中に置いてある配信機材と目が合う。
そこには、パソコンが置いてある。
パソコンの画面には、めぐるひめの未公開の動画がうつっていた。
そこには、『笑顔を巡らせてね、今までありがとう。』とテロップが入っていた。
信じたくなかった。あの言葉を見たら、分かってしまう。
口角が下がりきる。
「本当、だったんだね。」
私は部屋に座り込む。そして床を強く叩きつける。感情が溢れ出してしまう。
ずっと黙って聞いていた友達が言った。
「何言ってるの?
めぐるひめはAIなんかじゃない。
だって、毎日話してたもの。
ねぇ、そうでしょう?そうだよね?」
私はその瞬間はっとした。
目を大きく見開いた。
爆買い事件があってから友達の行動を異様だと思っていたはずなのに。いつの間にか、私も、友達と同じ考えに寄っていってしまっていたのだ。
今、恐怖を覚えることができた。
友達を助けたい。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!!
次が最終話となります。
次のお話で、彼女たちの将来を覗いて見ましょう。




