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神様に愛された彼女は

作者: 絵間キコリ

長編を書く前の試し書きです


ルーラはオレの、一番大切で一番殺したい相手だった。


あいつが来るまで、ここはただの村だった。

村の雰囲気も明るくて平和だったし、いい村だった。

住人達はあまり物事深く、言い換えれば深刻に考えなかったが、そのおっとりさもいいと思っていた。


あいつが来るまでは。


オレが七歳のころ引っ越してきたあいつはいわゆる『不思議ちゃん』だった。

この間は何もない空間を見つめていた。最近では話しかけるようにさえなっていた。だから、オレを含めて村のヤツ()は怖がって近づかなかった。


ある日、あいつが一人で夕食を食べている所を見た。


オレはあいつに『親はどこにいるんだ』と聞いた。

すると、一人で引っ越してきたから親はここにはいないと言う。

友達も、親もいない。

嗚呼(ああ)、可哀想だな―とオレは思った。

一人ぼっちなあいつを助けたくなって、次の日から遊びに誘った。

寂しそうだったあいつが笑うようになると、心の底から嬉しくなった。

もっとあいつが喜んでいる所を見たい。

その一心で、ときにはあいつにイタズラをしかけ、プレゼントを贈り……毎日が楽しかった。


一ヶ月が過ぎた。

あいつと遊ぶせいでオレも仲間外れにされ始め、二人で遊んでいたとき。

突然あいつは『リオン君なら信じてくれるかな』とオレに秘密を伝えた。

―わたし、神様がみえるんだ。

初めて聞いたとき、なんて馬鹿なことを言っているんだと思った。神なんて存在は証明されていない。

いないに決まっている。


だが、それを信じるしかなくなった。


あいつと遊び始めてから数カ月後、村がひどい干ばつになって食料が足りなくなった。

他の村に食料を探しに行っても、そこにも干ばつの影響があって食料がないのだと言う。

このままだと死ぬ。

そう思った皆は神に祈った……が、雨は一向に降る気配はなかった。

そこで、オレは(わら)にもすがる気持ちであいつに頼んだのだ。

お願いだ、神様に雨を降らせるよう頼んでくれ―と。


次の日、雨が降った。

そのときはたまたまでないかと疑ったが、その後も何度もあいつは奇跡を起こした。


本当に神を見て、神の声を聞けたのだ。


今まであいつを仲間外れにしていたヤツ()はころっと手のひらを返し、あいつを神のように(まつ)り始めた。

どんな小さいことでも、困りごとがあればすくわあいつを頼り、その能力を利用し続けた。


ある日、あいつが事故で死んだ。


神様に頼りすぎた罰がくだったのではないか。

全てをあいつに任せていたヤツ等が嘆き、困り……そしてあいつを恨んだ。

何故、勝手に死んだのだ、と。


そして、いつも二人でいたのに何故あいつを死なせてしまったのかとオレを恨むようになった。


数日後、オレは殺された。

あいつが来る前、友達だったヤツ等に。

その中でも、オレを崖から突き落したのはオレの元親友だった。

周りの大人は止めなかった。心の底では、いつも二人でいたのにあいつを死なせたオレを恨んでいたからだ。

オレを殺したヤツ等は逮捕されるだろうか。

崖から突き落したのは、いくらでも事故と言えるだろう。しかも皆でつじつまを合わせるだろうから、後で来る警察は事故と判断するだろう。

あいつらは、オレを殺してのうのうと生き続ける。

―何故オレは殺された。

きっとそれは、ルーラと出会ったからなのだろう。


だからオレは、オレを殺したあいつを恨む。

だが、この世で一番好きだったあいつの笑顔は、今でも忘れられない。


いかがでしたか。

この物語は、反応がよければ長編にしようと思います……

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