或る同僚の独白(1/2)
「いつもカップ麺ってどうなんだろうね」
「そういうお前はコンビニ飯じゃん」
「まあね」
「……………………餃子くれ」
「いいよ……て、もう取ってるじゃないか」
「…………………………………………」
「あのさ」
「ん」
「最近アレよく見るよね」
「アレじゃわかんね」
「タイムラインにちょいちょい見るんだよ。なんか、『何者にもなれなかった』みたいなの」
「あー、あのイタいポエムか。ヒマなんだろうなあれ、精神的に。働けっての」
「嫌に冷たいっていうか、言うねぇ」
「そりゃそうだろあんなもん。なんだ『何者』って。『何者』って何者だっての気持ち悪りぃ」
「おっとぉ?」
「テメェはテメェ以外のなんでも無ぇし、テメェ以外にはなりようがないってのがスンナリ理解できないのかって」
「そーいう話かな?」
「いいっていいって。俺が反発したから擁護に付いたな? いつものじゃんか。
————なら言うけどな、そんなことを口走ってるヤツはどうせ何になりたいってのもないし、そのために神経擦り減らして努力することもしてないんだよ。一体何者になるために何をして、どんな努力と工夫を重ねたんだって話だ。そんなもん、要するに『自分の現状が不満です』ってのを感傷たっぷりにポエムしてるだけだから脳のメモリ割くだけ無駄だ。だから俺は相手にしたことねぇし、お前もそうしろ。『精進しろ』しか言いようがない。どうせしないだろうけどな」
「うっへ、唾飛ばしてまで力説しないでいいじゃん……あ~、餃子のカケラ飛んできてるよ」
「出汁だ出汁。…………いや、コレは俺が悪いな。買ってくる」
「いいよ別に。今更気にする仲でもないしさ。茶化しただけだって」
「そうか? 悪い」
「まあそんなことはともかくとしてさ、僕は少し理解できるんだよね、気持ちが」
「変にしつこかったのはそれが理由かよ。……じゃあどう理解してんの、それ」
「おっ、メモリ割いてくれるんだ」
「相手による。お前の理解に興味出ただけだから早く」
「いやぁ、つまりさ————」