或る酔漢の独白(2/2)
どうにも偉そうで小難しくなっちまった。哲学なんてガラでもタチでもねんだ。
要するに、みんなと違うことで不安に苛まれることの多かった身としてはな、どんなことがあっても最後はみんなと同じになるという事実に心底から安堵できるし、救われるんだよ。
大層なことを大仰に語ってはいても、結局その根底はこんな個人的経験と心情なんだ。ちっこいな。
…………どうにも後ろ向きに聞こえるよな。本当に言いたいのはそうじゃねんだ。
死後は無く、人生は無意味で、人はみな死という最期を迎える。この結末が同じであるからこそ、どんな人生を送ってもいいということでもあんだ。どんな過程を選んでも良いってことだ。
この結末の平等性と、逆説的にもたらされる自由さのおかげで、人は後の採点や審判などの打算を抜きにして、心から「良し」とする生き方を模索できるはずなんだ。
どうだ? 結構前向きになったろ?
逆説的の意味はよく分かってねんだ。そのうち使ってみようと思ってた。んで、機会があったから使ってみただけだ。賢そうだろ?
まあ、俺が思うのはそんなんだ。だから何ってもんでもねえよ。こんだけだ。
じゃあな、お互いすっきり生きて、無意味に死のうぜ。