或る夢幻の独白
サヤはさ、自分に厳しすぎるんだよ。ウチ、ずっと思ってたもん。
自分の悪いトコだけ見て、「これが自分の本性なんだぁ~」て落ち込むヤツ、よくやるよね。
そりゃ、それだってサヤの本当の部分だよ? でもそんなの誰にでもあんじゃんっ。
え~! まだダメぇ?
う~ん……じゃ、バ先のあいつ。ほら、いつもウチらスタッフにだけエラソーなメガネ。いや、キモいけどさぁ、ちょうど良んだもん。
あいつ、あれで結婚して子供いんの。エッ、やっぱ? サヤ知らなかったっしょ! ネー! 普通にありえないよね?!
男の子。ちっちゃーい可愛い子。ううん、ぜんっぜん似てないの! まじ事件かと思ったもん!
そしたらさ、あいつ子供にはすっごい優しんだよね。え、だれこいつって感じ。お父さんしてた。
うん、ウチそのときに思ってさぁ。こいつ、本当に優しいお父さんで、けど本当にウチらを人間として見てないんだなぁ、て。
どっちも本当で、どっちも本性なんだよね。
だからさぁ、サヤってばウチのこと大好きじゃん? いっつも優しかったし!
優しくて、ウチのこと大好きで、すぐ泣いちゃうかわいい子。それがウチの知ってるサヤ。
ウチがいないときのサヤが、じゃあそんなにイヤな人だとしてもさ、それが本性なら、ウチの知るサヤだって本性でしょ?
ウチに対してのサヤも、ユキやカナに対してのサヤも、あいつに対してのサヤも、みんな本性だから。
うん。独りのときのサヤだけが、なんで本性なのかわかんない。
だってそれってさ、自分に対してのサヤってだけじゃん?
独りの時間が一番多いから、たまたま多いその「サヤ」が特別だって思っちゃってるだけだよ。
優しいサヤもサヤだった。怒ってたのも泣いちゃったのも。
あの時、ウチの手を離しちゃったのだけが、サヤの本性なんかじゃないよ。
だって、ああしないと死んじゃったもん。それでこんな風に自分を責めてるのって、やっぱりサヤの優しさだと思う。
だからもうさ、毎日こんな夢に苦しまないで、許してあげてよ。
……サヤ自身をに……決まってんじゃん。
ウチ、もう無いんだからさ。じゃあ、ちゃんと幸せになってくれなきゃ……ダメじゃん。
————うん! 今日でもうおしまい! ちゃんとお別れっ。
次からはきっと、素敵な夢を見れるから。
だから、さようなら。長生きしてね、サヤ。




