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1556年(弘治2年)兄弟って良いものだ?誰が言った?!

 毛利長秀として、毛利さん家の子になって暫くたつ。

 家の子として、毛利の親戚に挨拶すると、歳が近い新介という子がいて、ついでだと言わんばかりに兄弟のように育てられる事となった。


 新介は気の良いヤツで、俺が高貴な生まれ(いまだに自分はよく解かってない)なのを、親父殿(十郎)が遠慮して接しているのに関わらず、新介は気にせず他の若い衆と同じように、親戚だからかそれ以上に親しく接していた。俺はそれを「あぁ、兄弟がいたらこんな感じなのか」と快くも感じていた。


 それが実の兄弟はというと、岩竜丸お兄ちゃんは那古野に着いて暫く経つと、亡き父の跡を継いで斯波しば家当主として元服し、斯波しば 義銀よしかねとして、新たな武衞殿として尾張守護となった。

 その就任挨拶に俺も呼ばれたが、


「おうおう、久しぶり?えっと今は長秀?だっけ。一応兄弟って事になってるけど、俺は守護で武衞殿だから。嫡子ちゃくし庶子しょしって所はわきまえて、あんまり馴れ馴れしくはしないでくれよ?」


 という調子で、抱いた感情は「何こいつ?」だった。

 兄弟というなら、新介の方がよほど理想としてた関係性に近い。


 ちなみに、父の仇である大和守家はというと、俺達が逃げてきた次の年に信長様が攻め滅ぼしていた。これで、信長様は事実上尾張の半分を支配することになっていた。

 そして、信長様が大和守家の居城だった清州城へ居城と移すに合わせて、信長様に仕える他の家臣達と同様に、毛利も一族総出で清州の地に移住していた。


 この時代娯楽が少なく、普段する事っていうほど何もない。


 そうなると、結局は体を鍛える事くらいしかする事がない。家は沢山の馬を持てる程大きくも無かったので、親父殿の馬もたまにのせて貰える程で、あとは野良仕事や集落で人手がいる作業の手伝いをして過ごしていた。


 そんな中、親父殿が城から家に戻ってくるやいなや慌てて俺と新介を呼び出した。


「長秀!新介!いるか!」


 庭先で槍に見立てた木の棒を振り回していた俺達は、声に応えると親父殿満面の笑みで庭先に入ってきた。


「おぬしらの初陣が決まったぞ。戦じゃ、支度せい!!」


 急じゃね?戦争?これから殺し殺されに行くの?


 困惑してる俺とは裏腹に、新介はやる気満々だ。


「おーっし、やっとじゃ!!で、十郎おじ、相手はだれじゃ?南の今川か?北の斎藤か?」


 親父殿が笑顔のまま答えるのは、俺にとっては意外な名前だった。


「殿の弟の信勝殿じゃ!!新五郎しんごろう殿も権六ごんろく殿も相手方につきおった!!敵として不足なしじゃ!!」


 やだ、なにこの好戦的な民族は。ってか信長の弟?が反乱してきたの?え、兄弟って仲良くしないの?


「長秀、新介、そちらは初陣だ。はやって功を焦るでないぞ。まずは生きて帰る事を考えよ」




 そして向かうは稲生の地。対するは弾正忠家の長 織田信長と、その立場を阻もうとする織田信勝。数は信勝勢が信長勢の倍。信長様大いに劣勢。


 でも信長って天下取る直前まで行ったよな。だったらこの戦も勝てるの?でも、俺ここで死にたくないよーーー!!

 転生後は長生きするって言ってたよね?ねぇ?


人物紹介

新五郎しんごろう:林秀貞。弾正忠家家老で信長の後見役だったが、弟の信勝を当主に据えようと画策。信勝と共に謀反に加わる。

権六ごんろく:柴田 勝家。信秀の頃から仕えた弾正忠家の重鎮。瓶割る人。

信勝のぶかつ:織田 久右衛門 信勝。信長のすぐ下の弟。信行と呼ばれたり、達成だったり、信成だったり、ころころと名前が変わるが、本作は信勝で通している。

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