02,酒は美味い
それは、約1ヶ月振りに入った街の酒場で聞いた話だった。
酒場に入ったのは、昼を過ぎたくらいだったがなかなか賑わっており、カウンター席で飲んだ。久しぶりの酒だったので結構飲んだ。途中、耳元にいる小煩いオカンが、
「飲みすぎでは?て言うかスオウはね!ーーー,,,,,,」
とかなんだか、酒でも入ったかのように言っていたが今でも朧気にしか思い出せない。
夕刻にもなれば、仕事終わりの人が1日の疲れを癒すために店に来ては、ツマミを食べながら酒を飲み、騒ぎ、店は机が無くなってしまうほどの人が集まっていた。
そんな喧騒の中、自分も、周りと同じように飲み食いをして隣に座っている人と他愛のない話をして居た。
名前は、、、教えてもらったが、、、だめだ、覚えてないや。
Aさんとでも呼ぼう。
で、まあ、隣のAさんの愚痴を聞いたり、質問を聞いたり、答えたりしていると、珍しいものの話になった。
世界で一番大きな木が大陸にあるだとか、最近迷宮で魔鉱石とかいうものが見つかっただとか、空に浮かぶ街があるとか、殆ど、お伽噺混じりのものだった。
その中で一番興味が湧いたのは武器だ。
そう、武器だ。
なんでも、普通の鉄よりも丈夫な、魔鉱石を加工した魔鋼鉄を使った外装に、同じく、魔鋼鉄製の弾を詰めて火薬を使い飛ばし、的に狙うというもので銃と言うらしい。
それが王都で作られたとか何とか。
それ以上のことは覚えていない。
起きたら宿のベットで、オカンに、昨日どうやって帰ったか聞いたら、酒場の女将が閉店間際に起こして、自分は金を払ってオカンのナビで宿まで戻ったらしい。
、、、何一つ覚えてないや。
オカンには朝ごはんを食べながら説教された、頭が痛かったのに耳元で、クソでかい声で説教された。
あれは辛かった、、、。
そんなこんなで今街を出て1週間王都へ向かっている。
今周りは畑がたくさんの、牧歌的な場所を馬車で通っている。
馬車には他にも夫婦の人や冒険者、家族揃っての人もいた。
みんな王都へ向かっているらしい。
ちなみに馬車は街道を走っており、毎晩宿がある街で泊まり朝になれば、昨日と違う馬車に乗る、当たり前だが、王都へ向かう基本メンツは変わらず。
時々泊まった街から王都へ向かう人が増えるくらいだ。
正直、歩いて街の横にある森を突っ走った方が早い。
王都までつながっている街道は、野生動物や魔物が居る危険な森を大きく避けて出来た街を繋いでいるから、迂回しているので直線に言った方が早いってことだ。
当たり前だな。
じゃあなんでわざわざ街道で行っているかというと普通に危ないからだ。周りが見渡しやすい草原ならまだしも森は視界が遮られる上に雑音が多いためなんの訓練もしていない自分は聴覚もあまり使い物にはならない。
武器が早く欲しくて危険な場所をわざわざ通って死んだら笑えないから街道をはしる馬車を選んだ。
「あと何日すれば王都に着くのだか、、、」