0090
村に到着したので、解体所に行く。査定を頼むと、いつものようにベグさんとジャロムさんが来た。
「村長まで居るのか……。まあいい。オーク4体、ゴブリン6体、コボルト5体か」
「こちらはフォレストウルフ5頭とポイズンスパイダーの足が4匹分です」
「ふむ、全部で銀貨13枚と大銅貨93枚だ。ところで村長は噂を知っているのか?」
「御二人が”色ボケ”しているという噂でしょう? 知ってるわ」
「うむ。知っているなら問題ない。2人の顔を見れば、今の生活に満足しているのは分かる。だが、口さがない者は何処にでも居るからな」
「ええ、忠告は感謝して受け取るわ。でもね、離れる事はありえないの」
そんな話を終えて、解体所を後にする。ギルドへの道すがら売却金の分配をしておく。俺の取り分は銀貨4枚と大銅貨24枚だった。やっぱり割れない分は俺の所に来る様だ。
ギルドに入り、ミュウさんの所に行くと人が居た。後ろに並んで待つものの………こいつナンパしてるのか? ミュウさんも迷惑そうにしているので助けよう。
「済まない。手続きが終わったなら、どいてくれないか?」
「ふむ? 君のような女性にモテない者が、私の行動に口を挟むな」
「モテる、モテないじゃなくて、邪魔だと言ってるんだよ」
「邪魔だと言うなら君の存在だろう? わた」
ドゴォッ!!。
あーあー、シュラがキレて鳩尾を突き上げた。綺麗に目の前の女に入ったなー。悶絶して、呻いてるぞ。俺はミュウさんに手続きを頼み、終わるまで待つ。……おっ、立ち上がった。
「君! 何てこ……。これは、シュライア殿……」
「お久しぶりですね、リヴィアーテ? ランク12がこんな所でナンパですか?」
「い、いや……。これは、その………」
「……はぁ。女好きな上に、あちこちでナンパばかり。しかも私より弱い。よくランク12で居られますね? 恥ずかしくないのですか?」
「あ……う……その………これは……」
「会ったことなんて無かったけど、コレがランク12かい? 聖王国の第一王女?」
「聖王国の第一王女がナンパばかりとは……。世も末ですね……」
「わ、私は女性が好きなんだ! それの何が悪い!!」
「そこじゃない。無理矢理とか強引なのは止めろって事だ。それと他人の邪魔をするんじゃない」
「何故男にそんな事を言われねばならない! 男は誰彼構わずやっているだろう!」
「そういう男は、女から白い目で見られてるだろう?」
「貴女もそういう目で見られていますよ?」
「そ……そんな………」
今頃気付いたのかよ。女でも、分からない事は分からないんだなぁ。しつこい奴とか面倒臭い奴とかが、嫌われない訳がないだろうに。それに、こんな奴がランク12か……。
何か傭兵っていう存在が悲しく見えてくるな。……見ろよ、こんな奴がトップなんだぜ? 本当に悲しくなってきたから止めよう。しっかし、何でランク12がこんな所に?。
「それで、貴女はここに何をしに来たんです?」
「魔銅だよ。魔銅の、それも鉱床が見つかったそうじゃないか」
「ああ。貴女も魔銅目当てですか」
「シュライア殿は欲しくないのかい? 魔銅だよ?」
「必要ありませんね。鉄製でも優秀な物はありますし、魔物の素材でも優秀な物はあります。無理に魔銅を求める必要はありませんよ」
「まぁ、確かにそうだね。私自身そこまで欲してはいないが、仲間の為に欲しいんだよ」
「仲間? あなたと同じ女好きの女性ですか? 私達に喧嘩を売ってきたので脅しておきましたが」
「あの子達はいったい何をやっているんだ……」
「何をって貴女と同じですよ。アルドを侮り、私達を怒らせただけです」
「そ、そうか……。そこの男をね………」
魔銅が目当てだったと分かったから、もうどうでもいいな。手続きは丁度終わったから帰ろう。俺達はギルドを出て宿に戻り、夕食を注文して大銅貨6枚を支払った。
部屋に戻って一息吐くと、ダリアとカエデは布団の上で遊び始める。ほっこりしつつ装備を外して、全て浄化しておく。全員で少しイチャイチャしてから、1階の食堂へと下りる。
「皆、おかえり。何か凄い傭兵が村に来てるらしいよ」
「ただいま、女将さん」 「ニャ!」 「グル!」
「ただいま、トーカ。そいつならギルドで会ったよ」
「トーカ、ただいま。あの女は女好きですから、宿の者は気をつけて」
「ただいま。悪い子ではなさそうだったけど、良い子でもなさそうね」
「女好き……。宿の皆に注意をしておいた方が良いかね?」
無理矢理とまでは言わないが、それなりに強引な奴等だった事は伝えておいた。女性が相手だと、同姓だからガードが緩くなるかもしれない。そこまでする奴等じゃないとは思うが。
まぁ、宿の女性従業員の殆どは結婚してるから大丈夫だろう。何かあっても関わらない方向で。どうせ碌な事にならないし。
頼んだ夕食がきたので食べていると、女好き軍団がやって来た。
「おや、君達もこの宿だったんだね」
「当然でしょう。1軒しか無いんですから」
「まぁ、そうだね。宿を増やしたりしないのかい?」
「どうなんだい、トーカ?」
「無理だねぇ、人手が足りないよ。宿って言っても、そう簡単じゃないからね」
「必要なら誰かが始めるだろう。需要と供給だ」
「そうね、必要なら誰かが始めるものよ。誰も始めないなら、たぶん必要ないの」
「世の中そんなものだからねぇ」
結局、警戒していたゴタゴタが無かったので胸を撫で下ろした。部屋に戻り、ダリアとカエデの相手をするも、2匹は満腹からの浄化のコンボで寝る寸前だ。あっ! 電池切れた。
椅子に座り少し落ち着こうとしたら、今度はベッドに引っ張り込まれる。今日は軽い【房中術】のみだったが、3人は嬉しそうに撃沈した。どうやら依存症にはなっていないようだ。
浄化して、久しぶりの布団を満喫しよう。それじゃあ、お休みなさい。
<異世界45日目>
おはようございます。何時の間にか2匹が俺の横で寝ています。夜にでも来たんだろうか? 全て浄化していると、2匹は起きたようだ。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャゥ」 「グルゥ」
2匹を浄化しながらワシャワシャする。嬉しそうに目を細めたり、布団の上をゴロゴロして遊び始めた。そんな2匹を見ながらマッタリしていると、3人も起きたらしい。
「「「チュッ! おはよう。アルド、ダリア、カエデ」」」
「おはよう、3人とも」 「ニャ~」 「ガウ~」
「アルド。昨夜は逆に新鮮だったよ///」
「えぇ、久しぶりに堪能できました///」
「ゆっくり味わうって素敵だったわ///」
「そうか? 3人が喜んでいるなら問題ないようだな」
もう1度浄化してから、3人に服を着させる。メルもしっかり裸族なんだよなぁ、締め付けられるのが嫌なのかな? 俺が作った下着は着けてくれるんだが……。
そんな事はいいか、食堂に行こう。1階に下りて注文し、大銅貨6枚を支払う。カウンター席でゆっくりしていると、女将さんと女好き軍団が来た。
「皆、おはよう」
「「「「おはよう」」」」 「ニャー」 「ガルゥ」
「おはよう」 「「「「おはようございます」」」」
「ところで、そこに居る女性はこの村の村長だったと聞いたのだが……」
「そうだけれど、それがどうかしたの?」
「魔銅を購入する為に、人を紹介してほしい」
「それなら私の家に行くといいわ。私の玄孫が居て、今の村長だから。あの子に話せば融通してくれるわよ」
「すまない、ありがとう」
「魔銅かい? 村が潤うのは良い事だけど、妙な連中も来たりしてるね」
「帝国の間者ですか? それとも唯のバカですか?」
「どっちもだね。魔銅を安く買い叩こうとしてる商人も居るらしいよ」
「この国の王が関わってるって知らないのかね?」
「知らないフリをしてるんじゃないか?」
「商人どもなら、それぐらいは平気でしますね」
周りにも商人は居るんだけどね、誰も文句言って来ないんだよ。自覚があるんだろう。
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0090終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨30枚
大銀貨34枚
銀貨17枚
大銅貨25枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
二角の角のククリ
風鹿の角の十手
二角の角の戦斧
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ