0089
雑貨屋へ行き、革と麻布を銀貨3枚分ずつと緑の色石を銀貨1枚分購入した。次に武具屋に行って革鎧を大銀貨1枚で買って、銅と錫と不純物を銀貨3枚で売りメルに渡す。
木工店に行き、木材を銀貨1枚分買って宿の部屋に戻る。メルと相談して、どういう装備がいいか少しずつ決めていく。防御主体の装備だが、軽量化する方向になった。
全員の使わない武器をバラして素材に戻し、メルの装備に流用する。戦斧は木を伐る為に1つ残す。グラディウス3本、戦斧2本、短刀、エストック、トンファー、ヌンチャク。
更に弓も矢も素材に戻した。ソードグリズリーの骨や爪、ダブルホーンの骨や角、スピアウッドが大量にあるな。これならメルの装備が色々作れそうだ。裏庭に矢筒とかの要らない物を捨てに行こう。
まずは短槍を作る。柄は150センチで穂は50センチ。ただし、穂の形状は<千鳥十文字>と呼ばれる形にする。簡単に言うと穂の根元から上向きの鎌が両側に付いている物だ。
ソードグリズリーの骨と爪で穂と石突を作り、組み立てれば完成だ。メルは思いの外気に入ったらしく、室内で振り回す。結構危ないから止めなさい。
次は鎧だ。買ってきた革鎧をメルの形に合わせて【変形】する。ちなみにメルはFに近いEの半球型だ。ダナとシュラは色々思う事があるらしいが、俺は当然スルーします。
俺達と同じ型の革鎧を合わせたら、ソードグリズリーの骨を被覆して完成だ。俺達の物と同じだからか非常に着けやすい様だが、それ以上に胸が楽なんだそうだ。
次は脛当だが、これは普通の物と殆ど変わらない。革をメルの足に合わせて【変形】し、ベルトを取り付ける。後は脛の部分にソードグリズリーの骨を被覆するだけだ。
困ったのは、最後の兜なんだよな。形状は何でもいいって言われたんで、どうしていいか迷ったんだよ。
結果、兜は簡単な物にした。いわゆる頭形兜と言われる物だ。余計な装飾などが無く、丸く頭蓋に会わせて作られていて、攻撃を滑らせる為に考案された物の筈。
まずはソードグリズリーの骨を頭の形より大きく【変形】させる。次に、内側に革と麻布を張り、頭の上に浮くように被れる形にする。
最後に首の後ろを守るシコロと呼ばれる部分をスピアウッドの木で作り、後は革紐を通す場所を作れば、これで完成となる。
全ての装備で色を変えるべき部分の色を緑色に変える。メルは濃い緑色の髪をしているから緑にした。本人も気に入った様だ。
ダナが盾を渡して構えると、完全に古代の重装歩兵だ。メイスを作ろうか……ちょっと悩むな。
「槍の形が格好良いわね! それに軽いから使いやすいわ」
「その槍は初めてみる形だね」
「えぇ。私も見た事がありませんね。三つ又の槍は見た事がありますが……」
「それは<千鳥十文字>と呼ばれる形の物だよ。鳥が翼を広げている姿に似ているから、そう言われるんだ」
「「「あー。成る程」」」
「他にも、銀杏穂槍、笹穂槍、忍槍、月槍、鎌槍など。色々な穂があるよ」
「メルは補助武器は持たないのですか?」
「補助武器ですか……。何か良い物ってあります?」
「何を使いたいかによって、幾らでも変わるよ」
「アタシは、この大脇差だよ」
「私は、この鎧通しですね」
「俺は、この小烏丸だな」
「ん~? 補助武器……。どうすればいいのかしら?」
俺達で相談に乗る事になった。昔傭兵をしていた頃は、短槍が駄目になると盾で殴っていたらしい。なので補助武器を持った事が無いそうだ。
そんな中、メルの興味を引いたのが忍刀だった。素材は残っているので作るのは可能だ。実在したのか分かっていない武器だが……まあ、いいか。直刀として作ればいい。
ダブルホーンの骨を心材にして、ダブルホーンの角を被覆する。忍刀は打刀と脇差の中間の長さだっけ? 実在したのか怪しいんだし、大脇差の長さでいいや。長くても使い難いので、55センチにする。
スピアウッドの木で持ち手と鞘を作り、その他の部品はダブルホーンの骨で作った。組み立てて、緑色に着色して完成だ。これも気に入って振り回している。だから、止めなさい。
それ以外には、メルに合わせた下着類も作って渡しておく。下着類の方が喜びが大きいのは女性らしくて良いんだが、大きさの話は俺の居ない所でしてほしい。
買った革で指貫グローブと剣帯も作って渡しておいた。これで全て終了だ。疲れたー。
「まだ昼にもなってないのか?」
「そうだね。昼から森に狩りにでも行って、戦えるか確かめるかい?」
「それは良いわね。80年振りに腕が鳴るわ」
「お昼も近いので、早めに昼食にしましょうか」
全員で食堂に下りて昼食を注文し、大銅貨6枚を支払う。少し早いが、待つ事も無く昼食となった。昼食後は部屋に戻って準備を整え、出発する。
村の門番に驚かれて困ったが、無事に森の拠点に到着した。この拠点も随分人が多く活気の有る様相で、屋台まで出ている。商魂逞しいのは田舎でも変わらないらしい。
メルを先頭にして、中心に俺を置いた三角形の陣形で進んで行く。【探知】が使える俺が中心に居るのが、最も奇襲を受け難い。なので、安全面を考えれば1番良い形だ。
そういう理屈で説得された。仕方がない、だって全員が好戦的なんだから。ダリアやカエデだって好戦的だし、ウチの女性陣は本当の”肉食系”なんだよなぁ。
そんな事を考えていたら、魔物が来た。これは……ちょっと多いな。
「前方から来る! 中央はオーク4、右はゴブリン6、左はコボルト5」
「「「了解!」」」 「ニャーッ!」 「グルゥッ!」
俺は矛を構えて様子を見る。中央はメルが1人で抑えてしまっていて、ダリアとカエデが暴れてる。右はシュラが鎧通しで喉を突き刺したり、切り裂いたりとやりたい放題だ。
左はダナが大脇差で擦れ違い様に首を斬り裂き、ククリを突き刺して暴れてる。……俺のする事が無いな。あっ! ……最後の1匹をメルが槍で刺し殺した。コレで終わりか……。
獲物を浄化して処理し、オークのみ解体する。その後、収納してもらい先に進む。少し進むとまた魔物が居た。
「前方からフォレストウルフ5。左後方からポイズンスパイダー4」
「「「了解!」」」 「ニャ!」 「ガル!」
先程と同じくメルが抑えて、ダリアとカエデが暴れている。ポイズンスパイダーはダナとシュラが長巻とファルクスで、可哀想なくらいに滅多切りにしている。あっという間に戦闘が終わった。
フォレストウルフの浄化と処理、ポイズンスパイダーの足を切り取り浄化。それらを収納して貰って、一旦拠点に戻る事にした。試すだけならもう十分と言えるので、拠点で休憩したら村に帰る事にする。
拠点に着き、屋台を冷やかしたりしてから村に戻っていく。帰り道では魔物に襲われなかったが、妙なのに絡まれたな。女4人組だが、一体何の用だろうか?。
「こんにちは。アナタ達も魔銅を目当てに来たの?」
「他人に何か聞く前に、名前ぐらい名乗った方が良い」
「……で、アナタ達はどうなの?」
「人の忠告も聞かないバカに、答えてやる義理は無いね」
「言ってあげるだけ優しいと思いますよ? 私なんて路傍の石としか思っていません」
「確かに迷惑ねぇ……。んー? この子達ね、きっと女好きよ? 昔の知り合いの目にそっくり」
「あー、女好きかい。アタシ達に関わらないなら勝手にしなよ」
「そうですね。私達は普通に男好き……というか、アルドを愛していますからね」
「そうね。寂しくなくなって、今は幸せだし。あんな風にされるし///」
「アルドは女を狂わせるからねぇ///」
「違いますよ。スゴく”幸せ”にしてもらえるだけです///」
君達は一体何の話を始めてるんだ? 目の前の4人組が唖然としてるよ。何か想定してた雰囲気と全く違うんだけど? 4人組が呆然としたまま動かないな。
アレ? 何か俺に殺気を向けてくるんだが、随分チャチな殺気だな。もう少し殺意も乗せて相手に……そうそうって、ウチの女性陣から強烈な殺気と殺意が出てる。
「「「「ぅ………ぁ……ぁぅ……」」」」
「このゴミどもは死にたいようですね」
「そうだね。ここまでのバカは久々だよ」
「あらあら。お嬢ちゃん達、それは駄目よ。死にたくなければ……ね?」
「お、お前! この女性た」
ドゴォンッ!!!!。
「エ?……ナニ? ナニカイッタ?」
「何でもありません!!!」
シュラがファルクスを地面に叩きつけた。まぁ、この状況を解決するにはしょうがないし、峰の側だからマシだけどさ。ヒヒイロカネでも歪む時は歪むからな。注意してもらいたい。
女4人組は回れ右して村の方へ去って行った。何か、もう1回か2回、関わってきそうな気配がする……。この時代は同性愛も普通だから問題は無いんだが、他人に強制するのは良くない。
もうそろそろ村という所で、妙な奴等に絡まれたなぁ……。
▽▽▽▽▽
0089終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨30枚
大銀貨34枚
銀貨13枚
大銅貨13枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
二角の角のククリ
風鹿の角の十手
二角の角の戦斧
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ