0080
宿に戻り夕食を注文して、大銅貨5枚を支払ったら部屋に戻る。ダナとシュラは、まだジト目で見てくる。説明するまで退かないだろうな、アレは。しょうがないな、まったく……。
「あの金属は片方は錫で、もう片方は亜鉛だよ」
「錫? 亜鉛?」
「んー? 錫は銅と混ぜて青銅にする。亜鉛は銅と混ぜて黄銅という金属にするんだ。黄銅は真鍮とも言われるけどね」
「黄銅って、どういう物なんだい?」
「金に似た見た目で、錆に凄く強い金属だよ。ただし、武器や防具に出来る程の硬さは無いんだ」
「武器には使えませんか……」
「俺が居た所でも、家具の装飾や楽器なんかに使われてたかな?」
「じゃあ、要らないね」
「そうですね。必要ありませんね」
うん、言うと思ったよ。じゃあ夕食に行こうか。全て浄化して皆で食堂に下りる。カウンター席に座って水を頼むと、女将さんがやって来た。
「ちょっと聞いたかい!? 帝国の間者が捕まったんだってね!」
「あっ! それ捕まえたの俺です」
「お客さんだったの!? 大丈夫だったかい? 何でも間者達は優秀な傭兵を殺す命令を受けてたそうで、毒とかも持ってたらしいよ?」
「それは知りませんでしたね。……無駄ですが」
「無駄だね。誰かを殺す前に既に捕まってるし」
「油断はしないけど俺達を殺せるような奴等じゃなかったな」
「確かに。あの程度ではカエデに殺されます」 「グルゥ?」
「食べてて良いよ」 「グルッ!」
「じゃあ、特に問題ないんだね? 帝国ってこの国を昔から狙ってるし、お国の軍隊は大丈夫なのかねぇ」
「まあ、何とかするんじゃないかい? 色々考えてるみたいだし」
夕食後、部屋に戻ってダリアとカエデと遊ぶ。2匹は浄化しながら遊んでやると大喜びだ。興奮し過ぎだから、ちょっと落ち着こうな。ああ……もう! 仕方ないな。
2匹が止まらないので本気でモフってやると、30分も保たなかった。寝てしまった2匹を横目に、2人にベッドに押し倒された。
相変わらず2人が勝てる筈もなく、嬉しそうに眠っている。俺も浄化して、さっさと寝よう。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界40日目>
おはようございます。昨夜ウトウトしながら、女性用の下着を考えていました。折角なら見た目も良いのを着てほしいんだが、作れないからなぁ……。どうにかならないものか……。
浄化しながら下着の事を考えていたら、2匹が起きて来た。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャオン」 「ガルッ」
今日の機嫌はどうなんだろう? ちょっと分からないな。2匹ともモフっていたら機嫌が良くなるので、別にいいか。2匹が嬉しくて興奮し出すと、2人が起きて来た。
「「ん~、チュッ! おはよう。アルド、ダリア、カエデ」」
「おはよう、2人とも」 「ニャオ!」 「グルッ!」
「今日はどうするんだい?」
「今日は狩りにでも行くかな? それとも何か作るかな?」
「また何か作るんですか?」
そんな話をしながら、皆を浄化して食堂に下りる。いつもの注文をして、大銅貨5枚を支払い席に着く。モルガノ君とマークさんとアホが来たが、何か話でもあるのかね?
「おはよう。今日領都に戻る事になってね、最後に挨拶をしておこうと思っていたんだよ」
「おはようございます。帝国の間者の事を、御当主に早くお伝えせねばなりませんので」
「おはようございます。まあ、当然だろうなぁ。俺が魔銅を見つけたんだが、帝国の動きって妙に早いと思うんだよ」
「おはよう。たぶん、侯爵が裏切ってるんだろうさ」
「おはよう。それが正解でしょうね。侯爵領は隣ですし、ライブルもここで言ってましたしね」
「ライブル騎士団長がここに?」
「王女と共に2回来たな。その時に、代替わりした侯爵家が不穏だと言ってたよ」
3人は慌てて朝食を食べ、直ぐに帰って行った。ライブルぐらいの立場の者が、こんな所で喋ったという事は、確定してるって事だろうからな。貴族は大変だね。
ゆっくり朝食をとり、部屋に戻り準備を整える。今日も朝からギルドへ行こう。昨日の奴等がどうなったか聞いておかないとな。ギルドに入ると、丁度ヴェルさんが居た。
「あっ! 良かった、来ましたね。昨日のコレは何ですか?」
「何ですか、と言われても。見つかったので、一応渡しただけですよ」
「そうですか……。青銅を作る為の錫はともかく、もう片方はガルドルさんでも、よく分からないそうです」
「ふーん。そうなのかい?」
「そんな事より、昨日の間者はどうなりましたか?」
「あの者達なら、全ての情報を聞き出したので始末しました」
「それで?」
「残念ながら、唯の下っ端でした。隊長と呼ばれる者も居ましたが、臨時の隊長でしかありませんでしたので、碌な情報は……」
「それじゃ、しょうがないね」
俺達はそれ以上聞かず、ギルドを出た。今日は狩りにでも行くか。
ギルドを出て、村を出発したら北へ行く。遊牧民の通るルートを掃除していない事を思い出したからだ。急いでいる訳でもないので、ゆっくりのんびり進んで行く。
丁度ネイルラビットを見つけたので、昼食用にと思い矢を射る。……上半身が千切れて飛んでいった。これはダメだ、威力が高すぎて使えない。皆がジト目で見てくる。
ネイルラビットは、浄化した後【浄炎】で燃やしておいた。気を取り直して、先に進もう。ゆっくりと歩いて行くが、特に魔物に襲われたりもせず進んで行く。
北の方は木が少ないらしく見通しが良い。だから襲われ難いのだろう、そう考えながら歩いているとゴブリンが襲ってきた。空気読めよ、3匹でどうする気だ。
あーあー。カエデに頭を噛み砕かれ、ダリアに首を切り裂かれ、俺に射殺されてるじゃないか。わざわざ殺されに出てくるなよ。ゴブリンを処理した後、収納してもらう。
再び歩き出すが、北に行くほど木々が減っている。西の方は遊牧民が暮らしているので草原の筈だ。となると、北も草原なんだろうな。
景色を楽しみながら歩いていると、地面の下から反応があった。蛇のような形の魔物か? これって……。
「皆、地面の下に反応あり。蛇かミミズだと思う」
「この辺りだと、ビッグワームかい?」
「そうでしょう。ビッグワームは襲ってきませんよ」
「ふーん。確かに動きが無いな」
反応はあるんだが動かないな。2人に聞いたところ、ビッグワームは虫を食べる魔物らしい。蟻なんかの小さい虫を土ごと食べる魔物で、売れない為に誰も狩らないそうだ。
無視して問題ないなら、わざわざ狩る必要も無いな。そのまま進んで行く。段々と草原っぽい景色になってきた辺りで、鹿の魔物を発見した。見た目は普通の鹿なんだが、角が小さい。
その鹿は、こっちに気付いていないのか草をずっと食べている。矢を射って倒すのだが、威力を調整しないといけないのがなぁ。
……無事に倒せたんだが、首が千切れ掛かってる。結構セーブしたのに。
鹿を浄化して解体する。2人に聞くと、この鹿は小角鹿と言うらしい。そのままなネーミングだが分かりやすいのが1番か。この小角鹿は闘気を使う珍しい魔物だそうだ。
魔物って魔力で変質した動物だからなぁ。魔力じゃなく闘気を使うのは確かに珍しい。
収納しようと思ったら近くに小川が流れていた。丁度水が有るので、この小角鹿を昼食にしよう。
肉を【熟成】し、骨を【破砕】して鍋に入れる。鍋に浄水を入れて旨味を【抽出】したら骨を捨てる。肉と持ってる野菜を入れて煮ていく。
小麦粉と塩と浄水で練り、水団を作って鍋に投入する。後は煮込むだけだ。熟成した生肉と問題の無い内臓は、ダリアとカエデの昼食にする。2匹とも興奮して、テンションが高い。
食べない分は全て【破砕】して【粉砕】し、穴に捨てる。料理ができたので食べようか。2匹は貪るように食べているが、俺達はゆっくりと食事をする。
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0080終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨30枚
大銀貨33枚
銀貨19枚
大銅貨59枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のグラディウス
二角の角のククリ
二角の角の戦斧
風鹿の角の十手
槍木の弓
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ