0074
このクズは一体誰だ? こいつが嫡男か? いや、ルタの兄と決め付けるのは少し早計か。このクズは名乗ってもいないしな。それに、ルタと全くと言っていいほど似ていない。
「で、お前は誰だ?」
「私に脅しは無駄だぞ! お前は何をしているのか分かっているのか!?」
「もういい、死ね」
俺はあっさりと、このゴミの首を切り落とした。どこまで俺達をコケにすれば気が済むんだ? これ以上は不老長寿全体が愚弄される元になるので、始末するしかない。
あまりにも此方を愚弄し過ぎているし、俺達も不老長寿という看板を背負っている。他の不老長寿の為にも退く訳にはいかない。やはり皆殺しだな。伯爵家は根切りにするか。
「ルタ、お前もここで死ね」
「お待ち下さい! お怒りは御尤もでございましょう。私どもは、モルガノ様の先触れでございます」
「先触れごときが、何でアタシ達を見下して交渉を始めるんだい?」
「この者ラームは幼少の頃より、モルガノ様とともに育った者でございます。それ故に忠誠心が篤く、先ほどの愚行を行ったと思われます」
「伯爵家の立場が更に悪化した以上、それを忠誠とは呼びませんよ」
「俺達は次にフザけた奴を寄越せば、伯爵家を根切りにすると言ったんだがな?」
「そ、そんな事が出来ると……」
「ライブルさんよ、出来るかい? 出来ないかい?」
「う……む、分からない事も多いが、恐らくは出来るだろうな。そのうえ<剣の踊り子>殿と<血狂い>殿が居る」
「そ! そんなバカな!」
「こっちの方が”バカな!”と言いたいわ。お前ら調子に乗りすぎなんだよ。貴族になったら命が2つや3つに増えるとでも言うのか!?」
「ゴードの町の暗殺組織。<死の影>を皆殺しにしたのは、アルド1人なんだけどねぇ……」
「まあ! そのような事をなさったのですか!?」
「ダナとシュラに手を出そうとしてたんでな、皆殺しにしておいた」
「そのような事は聞いておりませぬぞ!」
「「「???」」」
「!? ルタ!! お前は誰に報告をした!!!」
「は、はい! お屋敷に居られた、御爺様に報告を致しました!」
「せ、先代様が居られたのですか!? お嬢様! 先代様が居られたのですね!?」
「え、えぇ。御爺様が居られたので、報告は御爺様にしましたよ? ……まさかマークは聞いていないのですか!?」
「初めてでございます!」
「ちょっと良いか? その先代っていうのは、もしかして……」
「はい……。先代様は、”貴族は斯くあるべし”。そういう考え方をしておられまして……」
「要するに、下民は言う事を聞いていればいい。そういうアホ貴族なんだな?」
「その………私の口からは……申し辛く……」
「そうだろうねぇ。しっかし耄碌爺の所為で苦しくなってるよ? 王女もライブルもここに居るしねぇ……」
「それ以前に、一連の伯爵家の行動は失敗しかないぞ。醜聞が列を作ってるようなもんだ」
「一体どういう事でしょうか!?」
俺達は全てをマークさんに伝えたんだが、マークさんは頭を抱えていた。それを横目に、俺は村の外へゴミの遺体を持って行き処理しておく。戻ってきて遺品をマークさんに渡す。
ちなみに、現在の当主が若い頃に武功を挙げて伯爵家になったらしい。現在の当主は60歳ぐらいらしく、先代は100歳くらいだそうだ。魔人にはいくつも種族があるので困る。
伯爵家の家系は150年ぐらいは生きる種族らしいので、先代もまだ生きているそうだ。この先代が伯爵家の中で貴族主義を主張していて、現在の当主と対立している。
詳しい話によると、先代は事なかれ主義で自分からは何もせず、前例で統治していたらしい。ところが、息子の御蔭で伯爵家になった事で調子に乗り始めた。それも周囲が怒る程に。
館の人間を焚き付けては、”貴族は斯くあるべし”と洗脳紛いの事を繰り返していたそうだ。伯爵家のアホは、先代の影響を受けている可能性が極めて高い。アホの連鎖って怖い……。
マークさんは正しい情報を持って、嫡男のモルガノ君と”今後の対応を協議したい”と言ってゴードの町に帰って行った。
モルガノ君は<死の影>の調査をゴードでしているそうだ。
マークさんは誠実に謝罪していたので、今回の事は一旦仕切り直しになった。5人組の心の中で、誇りある伯爵家は復活したらしい。先代に関しては一切喋りたくないそうだが。
王女とライブルは1室づつ宿に部屋を取るらしいので、綺麗な1階の奥の部屋を勧めておいた。奥なので護衛もしやすいから、同室の近衛騎士の女性達も助かるだろう。
その王女からは、現在武器を見せてほしいと強請られている。ダリアをモフりながら武器まで要求するとは……やりおる。まぁ、冗談はこれぐらいにして、俺の小烏丸を王女に渡す。
「この剣は? 一体何でしょうか?」
「話には出なかったが、それはアダマンタイトの小烏丸だ」
「「「「「アダマンタイト!!!」」」」」
5人組が驚くのかよ!? さっきはヒヒイロカネの矛でプレートアーマーごと真っ二つにした話をしたので、矛が見たかったのだろう。でもなー、長物を宿で出してもなぁ……。
「聞いた事のある色とは違うようですが……?」
「それな、鉄を表面に薄く被覆してあるんだよ。見た目でアダマンタイトだと分かると、殺してでも奪おうとするアホが出るんでな」
「まあ、そんな恐ろしい事を……」
「しかし、色が違っても恐ろしさを感じる刃ですな……」
「何か反ってますね。何か意味があるんですか?」
厄介な質問しやがるな、ルタは。仕方なく日本刀の話を少しする。ついでに、ダナやシュラの武器から俺の弓まで全て見せてやった。ここで襲ってくるアホは殲滅だ。
「この弓、引けないけど凄いのは分かる……」
「エルフから見ても凄いんだ……」
「このファルクスという剣は、非常に使いやすいですなぁ!」
「力で振り下ろす武器って楽だもんねー。アタイの武器もそうだよ」
「わ、私でも何とか……」
「長巻は無理だろ、こっちのグラディウスにしておきな」
「これが、鎧兜ごと真っ二つにしたという、ヒヒイロカネの矛ですか……」
「凄い魔力の通りやすさです! 希少金属とはこれ程の物なんですね!」
全ての武器を回収し、色々な話をする。ライブルは片手剣が当たり前の軍の装備を見直したい様だ。王女は何故か鎧通しと十手を欲しがった。捕物用の武器は珍しいんだろう。
5人組は、さっきからダリアをモフってる。聖獣とか言ってるが、俺達にも分からないから聞くな。
話し合いの途中で決まったのだが、何故か王女に武器を作る事に。王女と相談の結果、脇差と十手を作る事になった。
それに、王女とライブルを連れて狩りに行く事も決まった。何だか結局面倒な事になってるぞ!? 5人組も一緒なんだとさ。もう好きにしてくれ……。
ちょっと待て! これが王女のやり方か!? 侮れないな……。まぁ、今回は引くか。話し合いの途中で昼食を頼んでいたが、話が終わると運ばれて来た。
昼食後にギルドの訓練場へ行き、王女がどれだけ戦えるのか調べる事にする。その王女は部屋から出てくると、王族らしくない軽装だった。意外にしっかりしてるらしい。
ギルドの訓練場で剣を振らせる。片手剣だが、しっかりと全身で振れていて驚いた。5人組よ、お前達よりもたぶん上だぞ。もっと頑張らないと困る事にならないか?。
王族より弱い傭兵って、かなり問題あるだろうしな。次は試合形式でやらせる。相手はダナとシュラなので怪我なく全力で打ち込めるし、2人も十手で捌くだけだ。
王女が予想以上に動ける事が分かったが、近衛が予想以上に動けない事も分かった。……ムカつくなら、さっさと立とうな。俺は近衛の女性騎士を容赦なく地面に叩きつける。
夕方まで続いた訓練も終わり、宿の部屋に戻る。浄化して食堂に行き、夕食を注文して大銅貨4枚を支払う。
夕食後、部屋でゆっくりダリアをモフると落ち着くな。ダリアは満腹で良い気分なのか、そのまま眠りについた。
それを見逃す2人ではなく、ベッドに引っ張り込まれたが返り討ちにして寝かせる。最近少しづつ腕が上がってるな。
全ての浄化を終わらせて、俺も寝よう。今日も1日お疲れ様でした。
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0074終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨29枚
大銀貨35枚
銀貨5枚
大銅貨0枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のグラディウス
二角の角のククリ
二角の角の戦斧
風鹿の角の十手
槍木の弓
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ