0073
宿に戻って厨房に行き、余っている肉類を全て旦那さんに渡してから部屋に戻る。部屋で装備を外して浄化すると、やっと落ち着く事が出来た。折角だからダリアと遊ぼうか。
ダリアを浄化したり、モフったりしながら過ごしていると、夕食の時間になったので食堂に行く。今日は肉類を渡したので無料の夕食だ。メインはダブルホーンのステーキとなっている。
ステーキが多いけど、調味料も少なくて料理も発展していない時代だと仕方がない。塩は岩塩があるものの、香辛料の種類が少なくてバカ高い。胡椒でさえ見ていないぐらいだ。
この世界に胡椒が存在するのかどうかすら分かっていない。柑橘系の皮とか、植物の実や種とか、一部の魔物の内臓を乾燥させた物とかが、香辛料として使われている。
魔物の内臓は何故か胡椒っぽいので、これが胡椒の代わりなのかな? ブラックペッパーの味と風味だが……。ホワイトペッパー風味の魔物の内蔵は、あるんだろうか?。
夕食後は部屋に戻り、再びダリアと遊ぶ。昨日は遊んでやれなかったので遊んでいるのだが、驚くほどに喜んでいる。興奮し過ぎだろ!? ちょっと落ち着きなさい。
「ダリアはアルドの事が大好きなんだねぇ」
「私達と同じですね。ダリアもどこかで感じ取っているのでしょう」
「確かにそうだろうね。……既にツインホワイトじゃなさそうだから、聖獣なのかどうか」
「結局の所、魔物である事に変わりはありませんよ」
「そうなんだけど。………まぁ、いいか」
2人は酒を飲みながら話し合っているが、途中で話題が飛んでったりしている。適当に話しているのかと思ったら、ダリアが寝たら直ぐにベッドに押し倒してきた。
ここ最近2人は【房中術】を始め、闘気の使い方を重点的に特訓している。多少だが良くなっているが、それで勝てるほど甘くはない。今日も2人を撃沈し、浄化して寝る。おやすみー。
<異世界36日目>
おはようございます。今日は北に進んで行こうと思っています。確か西の山向こうの遊牧民は北回りで村に来る筈。だから、その道を逆に辿ってみようと思っている。
浄化していたらダリアが起きてきたが、今日は直ぐ後に2人も起きてきた。
「「チュッ! おはよう。アルド、ダリア」」
「おはよう、2人とも」 「ニャー!」
「今日はどうするんだい?」
「今日は北回りで来る遊牧民の道を辿ってみようと思ってる」
「北には殆ど行っていませんね。低ランクの狩り場を荒らしても仕方ないですから」
「遊牧民ねぇ。土の季節に塩を買いに来るけど、偶に今の時季に来る事もあるよ」
「なら間引きにも丁度良いな」
話を続けてもしょうがないので、そろそろ食堂へ下りよう。いつも通りの注文で大銅貨4枚を支払い、カウンター席で待つ。朝食が来たので食べていると、ヴェルさんが宿に来た。
「すみません。依頼を出しますので、マナリアを何とかして下さい」
「伯爵家の誰かが来るまで放っておいたらどうですか?」
「それでは必要な採掘量に届きそうにないんです」
「それこそ伯爵家の所為だろう。そういう風に利用しな」
「無茶言わないで下さい、魔銅は王様が関わってるんです。ダナさんなら出来ても、私では無理ですよ」
「俺が採掘したマナリアを奪われるのも業腹なんですが?」
「そこを何とか、お願いします!」
「うーん……。分かりました、受けましょう」
「ありがとう! 本当に助かります!」
その話の後、部屋に戻って準備を整えてギルドに行く。ギルドで依頼を受けて、通行許可の木札を受け取ってから出発する。妙な奴等が入り込まないように、許可制にした様だ。
2人は言いたい事がありそうだったが、黙ってついて来る様だ。質問されても、他人が多く居る所じゃ無理だしな。魔銅の鉱床のある洞窟前には見張りが居たので、説明して中に入っていく。
鉱床で作業をしていた人にマナリアの場所を聞き、目視で範囲などを確認する。意外と広範囲に渡っていて、ヴェルさんが泣きついてきた理由が分かった。
「割と範囲が広いな。まぁ、土魔法でやっていくか。2人は鉱石を集めてくれ」
「あいよ」 「わかりました」 「ニャ~ン」
ダリアもやるのか? お手伝いという名の遊びだろうけど。魔力を上手く浸透させた【土魔法】で無理矢理に掘り出していく。周りで作業している奴等が驚いているが、お前等は仕事しろ!。
掘り出しているとマナリアの部分は無くなったので、全て一箇所に集める。魔銅をある程度の純度に精錬して石を集め、含有量の少ないマナリア鉱石を量産して終わりだ。
簡単に言うと”質の悪いマナリア鉱石”を意図的に作ったという事だ。それが伯爵の所へ送られる、頑張って精錬してほしい。そんな事を2人に話して聞かせると、納得した様だ。
「それでも、マナリアは手に入るんだろ?」
「当然、手に入るさ。ただし、どれだけ苦労をしても良いのならな」
「苦労ですか? ……あぁ、成る程。苦労と利益が合わない訳ですね?」
「そういう事。あのマナリアの量だと長剣1本ぐらいかな? その程度のマナリアに、いったいどれだけ金を使うのやら」
「中々意地が悪いねぇ。アタシはそういうの大好きさ。ククククク……」
「私もですよ。ウフフフフ……」
2人とも、本当に貴族が嫌いなんだなー。気持ちは良く分かるよ、俺もあれ程だとは思わなかった。傭兵をやっているルタだって、アホなプライドが染み付いてるみたいだしな。
貴族って謝ったら死ぬ病気にでも罹ってるんだろう。そう考えないと欠片も理解出来ない。シュラも言ってたが、ここまで来れば謝らない方が恥だ。何で余計に恥を晒すんだろうか?。
考えても無駄だから、さっさと帰ろう。マナリア鉱石を持って洞窟を出て、村に戻る。ギルドに入ったら、ヴェルさんを呼んでもらった。
「もう終わったんですか!?」
「終わりましたよ。これがマナリア鉱石です」
「ありがとうございます! これを出しておけば、とやかく言われずに済みます!」
5人組が横で微妙な表情をしている。彼女達にとっては誇らしい伯爵家だったんだろうが、不手際を連発していて全く良い所が無いからなぁ。流石に反論は出来ないし、しょうがない。
何で昼前のこんな微妙な時間に5人組がギルドに居るんだ? 嫡男が来たのか? それとも伯爵家の誰かが来たのか? とりあえず聞いてみるか。
「何でこんな時間にギルドに居るんだ?」
「それが、御三方を探していまして……。家宰のマーク達が来ましたので、宿で会ってもらえませんか?」
「会うけど、ヴェルさんも同席してもらえますか?」
「えっ!? 何で私が同席するんです?」
「マナリアもついでに渡しちまいな!」
その一言で同席が決まってしまった。ヴェルさんはブツクサ言ってるが、ついて来ているので問題は無い。宿に入ると、食堂にはヒョロい背の高い男とマークさんと第3王女とライブルが居た。
「何で、第3王女とライブルさんが居るの?」
「お久しぶりです。私の名は、リンデリア・エッド・ガイアルムと申します」
このポーズは、確かカーテシーとかいう奴だな。初めて目の前で見たなー、こんなの日本では見ないか……いや、アニメでは見るな。……うん、アニメで見た事がある。今、思い出した。
「こりゃ、ご丁寧にどうも。知ってるだろうが、俺はアルドゥラム。アルドと呼ばれている」
「はい、存じております。話は変わりますが、何故伯爵家の者が居るのでしょうか?」
「さぁ? またアタシ達をバカにしにきたんじゃないのかい?」
「それともコケにしにきたか。どちらかでしょうね」
「それは双方の行き違いとい……」
「次に下らん事を言ったら”殺す”からな。注意して喋った方が良いぞ」
俺はヒョロい男の喉元に、ククリを突きつけながら言った。またクズを寄越したのか、伯爵家は。
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0073終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨29枚
大銀貨35枚
銀貨5枚
大銅貨8枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のグラディウス
二角の角のククリ
二角の角の戦斧
風鹿の角の十手
槍木の弓
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ