0071
昼食後、部屋に戻って装備のメンテナンスの続きをやる。汚れ等は一切無いが、歪んだりしているので手直ししておく。シュラは扱い方が力に寄っているので歪みが大きい。
ファルクスを始めシュラが使うのは力で戦う武器が多いので、どうしても歪んでしまうのは避けられない。そもそも刃物を扱う技術を訓練していない可能性もあるな。
2人は昨日と同じ足運びの修行を始めた。ゆっくりと何度も行い、自分の体に教え込んでいく。どんな技でもそうだが、反復練習を繰り返して自然に出来るまで修行は終わらない。
2人の練習を見て、悪い所を指摘しながら過ごしていると、もう夕方になっていた。休みの日って、何でこうも時間が過ぎるのが早いんだろうか。とにかく食堂へ行こう。
食堂で注文をして大銅貨4枚を支払う、丁度そのタイミングで5人組が入って来た。疲労困憊って様子だが、何で宿に来たんだ? 何か嫌な予感がするなぁ……。
「おや? あの時の若い子達じゃないか。領都から帰ってきたんだね、お帰り」
「ただいま戻りました。それよりお三方、お願いがあります!」
「お断りします!!!」
「早いよ! せめてルタの話を聞いてよ!」
「嫡男である上の兄上が来られるので、謝罪を御受け下さい。お願いします!」
「あー……。ここまでやらかしても、まだ当主が頭を下げないのかー」
「ここまできたら、頭を下げない方が恥なんですけどね」
「チンケなプライドの塊が貴族だからねぇ。所詮、伯爵もこんなものなんだろうさ」
「あの、父上は”死の影”の事でも忙しくなってしまい……」
「そんなもんは知らん。暗殺組織を領内に作られたのは伯爵家だし、子爵家の事を見抜けなかったのも伯爵だろ?」
「そうだねぇ。挙句、両方に好き勝手にされてる。伯爵は優秀だと思ってたけど、やっぱり”貴族”だね」
「断固たる決意を示すべく、準備を進めていますので……」
「永遠の準備か? 準備だけならいつでも出来るし、ずーっと準備中でも問題は無いな」
「アタイもそうだけど、ルタだって何の権限も無いんだよ! 出来る事が有る訳ないだろ!」
「まだ分からないのか? 何の権限も無いお前等を寄越してる時点で、話し合いも何もないんだよ! どこまで俺達をコケにすれば気が済むんだ!?」
「「「「「………」」」」」
「誠意があるならば貴女達ではなく、責任が取れる立場の者を寄越すんですよ。……普通はね!」
「アンタ達のようなので済ませようとしてるのさ、伯爵は。完全にこっちを見下してバカにしてる証拠だよ」
「さっさと手を出してくれないもんかねぇ? そしたら伯爵家の奴等を、”根切り”にしてやるんだがなー。お前も含めてな!」
「なっ!? ルタは関係ないでしょう!」
「それが通用するとでも? ついでにルタも失格だ。さっきから言い訳ばかりで、伯爵家の者として一切謝罪をしていない。お前も同じ”貴族”だよ」
「!? 此度の事、真に申し訳御座いませんでした!!」
「はぁ……。言われてから謝罪の時点で遅いって分かるよな?」
「は、はい! その……」
「まぁ、嫡男とやらが来てからですね。そいつによって全てが決まるでしょう」
「そうだね。命が助かるか、根切りか。どっちかしか無いからねぇ……」
「そもそもの話、アルドは暗殺組織の者を、ほぼ皆殺しにしているのです。その事を正しく理解していないのでしょうか?」
「してないか、まだ甘く見ているのか。プレートアーマーの奴がアルドに一刀両断にされたのにねぇ……」
「「「「「えっ!?」」」」」
「??? ……どうかしたのか?」
「あれは、アルドさんがやったんですね?」
「あぁ、そうだが? 君等も目の前で見てたろうに、何を言ってるんだ?」
「「「「「速過ぎて見えません!」」」」」
「んー? もしかして領主の館に居た奴等は、全員見えてなかったのかい!?」
「そんなの見えませんよ! 何となく、アルドさんがやったんだろうな? というぐらいしか分かりません!」
「魔法か何かの特殊な力を使ってやったんだろうと。一瞬しか使えない技を使ったんだろうと言ってました」
「自分達に都合良く考え過ぎだろうが!? 一瞬で近づいて唐竹割りにしただけだぞ。あんなもん何回でも出来るわ!」
「えぇーっ!! じゃあ何で鉄のプレートアーマーが真っ二つになるのさ!? アタイあんなの見た事無いよ!?」
「そんなもん、俺の矛がヒヒイロカネで出来てるからに決まってるだろ!!」
「「「「「!!!」」」」」
「「あーあ……、言っちゃった……」」
「あーもう今更だ、今更。第3王女やクソ牛まで知ってるんだから今更過ぎるし、襲ってくる奴等は皆殺しだ」
「確かにそうですね。バレるタイミングの話をしていましたが、バレる事に関しては確定していると言っていましたし」
「バレた所で殺す相手が増えるくらいだし、試し斬りに丁度良いねぇ」
「ですね。むしろ襲ってほしいくらいです」
「襲ってくれれば、実入りも増えるしな。暗殺組織は大白金貨を持ってたから、結構稼げたんだよ」
「あのねぇ、皆。食堂でする話じゃないんだけど? 部屋に行ってしてくれないかい?」
そろそろ部屋に戻ろう、女将さんが爆発しそうだ。俺達は部屋に戻るが、5人組はギルドの宿泊所に行くらしい。ダリアを抱えて部屋に戻り、ゆっくりとする。
2人は酒を飲みながら、何やら武器の話をしているようだ。今話しているのは遠距離武器の話で、弓や投石などの色々な遠距離武器の話だが、暗殺に対抗する為に話しているらしい。
遠距離武器ねぇ……。作っても良いんだけど、使わなくなりそうなんだよなー。弓もそうだが、遠距離武器って咄嗟の対応がし辛いんだよ。投擲武器なら使いやすいんだが。
んー? 2人を前衛に置いて、俺が後衛をやる。……悪くはなさそうだな。ウチの女性陣は驚くほど好戦的だから、俺が後ろで指揮した方が良いのかもしれない。
まだスピアウッドの丸太も残ってるし、弓1張ぐらいなら何とか作れそうだ。ただ素材の量的に、使い切るなら複合弓になるな。ダブルホーンの角とフレイムラットの皮も使おう。作るのは和弓だ。
弓の長さは221センチになる。これは俺でも知ってるが、和弓は全長221センチが基準と決められているからだ。ダブルホーンの角を芯にして、スピアウッドの板で前後を挟む。
ダブルホーンの角を細い弦の形に【変形】して【分離】する。これを3本作り、撚り合わせる。1本の弦にした物を予備も含めて3本作成。ダブルホーンの角とスピアウッドを板状に【変形】し【分離】する。
角の板を木の板で挟み、その3つの素材を反らして曲げていく。身体強化を使えば簡単に弓が張れるなぁ。ある程度形になったら、3つの素材の表面を【融合】しておく。
今度は逆側に反らしながら和弓の形にし、片方の端が整ったらフレイムラットの皮を巻き【融合】する。もう片方の端も形を整えて、フレイムラットの皮を巻き【融合】した。
弦の片方の端を輪にして張っていく。丁度良い長さを見極めて、弦をしっかり張れば完成だ。時間は掛かったが良い弓が出来たと思う。和弓モドキにしては優秀ではなかろうか?。
残っている端材で矢でも作ろう。矢羽は今は無いので、それ以外の部分を作っていく。スピアウッドの軸にダブルホーンの角の鏃を【融合】して1本ずつコツコツ作る。予想より面倒臭い。
素材が無くなった時には38本出来ていた。意外に端材は多かった様だな。これ以上は何も出来ないので終わりにして周りを見ると、妙な顔をした2人と寝ているダリアが見えた。
2人が言うには、こんな大きな弓は見た事が無いし、上下で形が違うので妙な顔をしていたらしい。失敗したのか問われた程だが、これで完成だと言っておいた。
今日は待たせてしまったので、全力の【房中術】を使って満足させた。2人は嬉しそうに撃沈して寝ている。浄化して俺も寝よう。おやすみなさい。
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0071終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨29枚
大銀貨32枚
銀貨6枚
大銅貨11枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のグラディウス
二角の角のククリ
二角の角の戦斧
風鹿の角の十手
槍木の弓
二角の革の帽子
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ