0068
崖の上から見る景色は本当に綺麗だ。高い所から見る景色はとても素晴らしく、遠くまで見渡せる。空と雲のコン「ニャー!!」トラス……はいはい、分かってますよっと。
「【肉体浄化】【精神浄化】【魂魄浄化】【空間浄化】」 「ニャニャ!! ニャ~ン」
「「グル……グ……ググ」」
うん? 何でダリアが反応してるんだ? 突っ込んだ!? ダリアは邪生に近づき、一緒に【浄化】の権能を受けている。……何やってんだよ。ちなみに邪生は2頭居て、熊だ。
大きさ的に両方ともソードグリズリーだと思われる。しかし、普通のソードグリズリーと殆ど大きさが変わらない。熊の大きさとしては、あれが限界なのかもしれないな。十分な程に大きいし。
邪生を浄化してから心臓を取り出す。2匹の心臓を4等分して3つの椀と餌皿に入れる。ダリアは直ぐに顔を突っ込んで貪っているが、シュラはともかくダナは我慢して食べている。
「そんなにキツイなら無理しなくても」
「キツイけど、強くなれるんだから食べるさ。それに多少は慣れていってるからね」
「その内、気にならなくなりますよ。流石にダリアほど喜ぶ事は……」
「またか……。またなのか? 俺の所為じゃないだろ、絶対に……」
邪生の心臓を食べたダリアは尻尾が2本に戻った。だが代わりに、毛先1センチ程が透明になりキラキラ輝いている。更に、大きさが縮んで普通の猫の大きさになってしまった。
それに、尻尾が3本になった時は強さは変わらなかったのに、今回は明らかに魔力も闘気も倍以上に増大している。小さくなったのに倍以上強くなるって、どういう事だよ……。
そのダリアさんは、強くなったからか凄く御機嫌だ。俺の足に頭と体を擦り付けている。嬉しそうなのはいいんだが、テンション高すぎませんかね?。
とりあえず、ソードグリズリーの皮を加工しよう。【錬金術】と【練成術】で皮を革にするのだが、2頭分なので結構な量がある。爪や牙に骨なども、素材として使えるようにしておく。
邪生の革なので灰色のままだ。ソードグリズリーの革で革鎧を作るが、俺の防具ではなく2人の防具だ。2人の防具も革の防具だが、ダナのはフォレストベアの革鎧で、シュラのはスマッシュボーアの革鎧らしい。
2人とも、意外に良い物じゃない。だが鎧も壊れたり、ヘタって駄目になる物だ。その為に高いお金を掛けても……という気持ちがあるらしい。もの凄く分かるよ、その気持ち。
まぁ、俺が作れば問題ないし、素材は目の前にある。さっさと作ろう。2人の革鎧も俺のと同じで、ベストみたいな形の鎧だ。
ズボっと被って両脇を閉じて完了。という凄くシンプルな物だが、作るのも簡単だし、必要ならこの上から更に防具を着ければ良い。2人にフィットするように、ほんの少しだけ余裕を持たせて作る。
外したカッパータートルの甲羅を、再び上から被覆して完成だ。邪生の心臓を食べてるからか、2人とも胸が大きくなっていた。正確なサイズが分かってしまう為に判明してしまった事実だ。
ダナもシュラも、今すぐ邪生を狩りに行こうとするぐらいに嬉しかったらしい。一旦落ち着かせて、剣帯や指貫グローブも2人に合わせて作る。ダリアには首輪も作っておいた。
嫌がるかと思ったのだが、全く嫌がる事もなく大人しく着けられていた。革は無くなったが、他の素材が残っているので剣を作ろう。要らなくなったら売ればいい。
ただ、剣と言っても幅広で短めの剣になる。所謂グラディウスと言えば分かりやすいだろう。分厚く幅広だが、日本刀の作り方を流用して切れ味は可能な限り持たせる。
骨を芯にして、爪を被覆する。刀身は50センチで握りは20センチの剣だ。短めだが太く重厚な剣で、誰かさんが振り回しても問題が無い物にする。これを3本作った。
持ち手に革を巻くのだが、この革は2人の鎧を流用する。鞘は木で作り、残っていた色石で3人それぞれの色をつけた。
素材が余ったので柳刃や出刃、菜切りや三徳などの包丁も作っておく。
宿に帰ったら旦那さんに渡そう。息子さんの役にも立つだろう。……さて、要らない素材は穴に捨てたし、そろそろ出発しようか。
2人は剣を持っている。あれー? 何で剣を持ってんの? 別に悪い訳じゃないが。直ぐに使いたいって事か……好きにしてくれ。都合良く魔物も出て来るからな。オーク2体だ。
「ハァッ!!」 「ヤァーッ!!」
あーあ……。左肩から右腰までバッサリ斬り裂かれてるよ。見事な袈裟斬りだ。売る時の事も考えて首を落とすって決めたのに……。臓物ぶち撒けてるんだけど? それ売れるんだよ?。
「ニャー! アグッ、ハグッ……」
ダリアが食べるなら、せめて浄化しておくか。……? 浄化した方がダリアの喰いつきが良いな? 何か理由がありそうだが……。この辺りは未だに良く分かってないんだよな。
ダリアが食べ終わった後の物を、【浄炎】で燃やして処理したら先へと進む。今まで誰も来た事が無いのか魔物が多い。慎重に進んで行かないと、思わぬ奇襲を受けそうだ。
反応が多すぎて捌ききれない。そんな事も無い訳ではないので、魔物を釣り出して倒す事に決めた。魔物の居る方に石を投げて誘き寄せる。古典的だが有効な方法なんだよなぁ。
投石リスや鉄蟷螂にジャンプスネークなどが数多く襲ってきたが、全て始末した。2人は剣を使ったり、いつもの長巻やファルクスを使ったり、思い思いの戦い方をしている。
持って帰っても困る量だったので、それぞれ5匹分だけ残して【浄炎】で燃やしておいた。……そろそろ村に帰らないとマズい時間だ。俺達は急ぎ、川を跳び越えて村に戻った。
村に着いたので解体所に行き査定を頼む。いつも通りのベグさんとジャロムさんが来た。
「今日の獲物は投石リス8匹、ジャンプスネーク8匹、鉄蟷螂5匹分、スマッシュボーアの皮と骨と牙か」
「高値はつきませんが、大量ですね」
「結構な頻度で襲われましてね」
「2人の防具が変わっとるようだが?」
「これは今日アルドが作ってくれた物だよ」
「ソードグリズリーの革鎧で、上にカッパータートルの甲羅を被覆してあるのですよ」
「随分と贅沢な革鎧だな。それ程の物はなかなか無いぞ」
「色で分かるだろうけど、両方邪生の素材だしねぇ」
「色石買って帰って、色を変えようか」
「ここまでの鎧ですし、変えた方が良いでしょうね」
「うむ、そうだろうな。獲物は全部で大銀貨1枚と大銅貨72枚だ」
「それでいいよ」
受付に行き、登録証や木札と売却金を受け取る。大銀貨1枚は俺が受け取る事になった。今までの宿代や食事代の事があるから素直に受け取っておく。大銅貨は1人24枚だ。
雑貨屋へ行き、色石を銀貨3枚分買う。折角なので色々見て回っていると、2人は麻布と狼革を結構多く買っていた。一体何に使うんだろうか? まぁ、俺には関係ない事か。
ギルドに行き、ミュウさんに手続きをしてもらう。終わったので宿に戻り、厨房に居るだろう旦那さんの所に行く。丁度居たので、包丁と共にソードグリズリーとスマッシュボーアの肉を渡して部屋に戻る。
装備を外して浄化すると、やっと一息吐ける。ダリアをモフりながら遊んでいると、2人が近くに来たので皆でイチャイチャする事になった。夕食までマッタリした時間が流れる。
食堂に下りてカウンター席に座ると、直ぐに夕食が運ばれてきた。今日はタダなうえソードグリズリーのステーキがメインの様だ。いつも通り美味い料理に満足し、いい気分で部屋に戻る。
部屋に戻り、それぞれの物に色を付けていると、2人から服と下着の製作を頼まれた。その為に雑貨屋で麻布と狼革を買っていた様だ。サイズが変わったのでキツイんだろうか?。
今回も2人にフィットするように2人の形に合わせて作る。正確に【変形】させて作る為、着け心地は良い筈だ。前と同じ物を作るので悩む必要も無く簡単に終わった。
2人は着けてから、色々と動いてフィット感を確かめている。俺は浄化しながらダリアと遊ぶが、直ぐにダリアはトロンとし始めて目を閉じてしまった。
それを見ていた2人は素早く俺をベッドに引っ張り込む。いつもの通りに2人を撃沈させ、浄化して俺も寝よう。今日も疲れた……。
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0068終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
金貨29枚
大銀貨32枚
銀貨6枚
大銅貨31枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪のグラディウス
剣熊の爪の斧
風鹿の角の十手
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ