0685
俺はカマクラの外に出て入り口を閉じた後、隠密の4つの技を使って武士っぽい13人の背後に回る。こいつ等が何者なのかは見た目では分からない。更に、この世界では神様が言語を1つにしたので、どこの者かが分かり難い。
田舎訛りなどが殆ど無いので、言葉だけではどこの出身か分からないんだ。国単位だと多少違う事もあるんだが……。
「ここに言うておった奴がおるのか? ただの港の様だし誰かがおる様には見えんぞ。伊賀者に嘘を教えられたのではあるまいな!?」
「静かにせよ。敵が起きたら如何する気だ? 我等は尾張の邪魔者どもを始末し、この地を平らげるのだぞ」
「そうだ。その為には邪魔な大陸の者は始末せねばならん。今川の奴等もどこかで見張っておる」
「くそ。何故我等が今川の命なぞ聞かねばならんのだ。松平の殿も何を考えておられるのか。我等だけで尾張など攻め滅ぼせるものを」
「今川の兵を利用する為だ。それは殿が仰っておられたであろう。神殿についた愚か者が予想以上であった所為で、兵の数が足りんのだ。尾張の奴等など蹴散らせると言うのは簡単だが、攻めるには明らかに兵が足りぬ」
「そうだな。適当に負けたフリでもして今川を利用し、その後で今川も潰してしまえば良い。それにしても今川め! 竹千代様を人質にとりおって!」
「今川の雪斎か。竹千代様の初陣をお守りするなどと嘘を吐きおってからに! 彼奴らは竹千代様を盾にしかねぬぞ。如何する?」
今川の目付けっぽい奴が、何処にも居ないんだよな。こいつ等は見張られてると言ってたが、どうやら今川は見張っていないらしい。
俺はさっさと【衝気】を使って気絶させる。手枷と足枷を嵌めたら尋問の開始だ。1人ずつ起こしては【白痴】を使って聞いていく。
結局、こいつ等は松平家の家臣ではあるが、下っ端の家の者でしかなかった。それは置いておくとして、やはり今川は尾張を狙っていて松平を利用したいらしい。既に松平の居城である岡崎城に到着しているらしく、いつ出発するかは知らないそうだ。
竹千代が人質にとられているのは事実らしいが、今は元服して松平広忠となっていると言っていた。まだ13歳らしいが、史実で広忠が伊勢に逃げたのってそれぐらいじゃなかったか? ここはヤシマの国だから色々違うだろうけどさ。
それにしても松平広忠が今川と共に攻めてくる……か。何と言うか、家康ならどうでもいいんだが、広忠は助けてやりたい気はする。苦労人なうえ、最後は父親と同じ様に暗殺されるのは流石にちょっとなぁ。それに、叔父に城を奪われるし。
まあ俺達を殺そうとしたこいつ等は始末するが、広忠が戦場で出てきたら少し手助けしてやるか。せめて死なない様にしてやろう。
俺は穴を掘って死体を処理し、カマクラへと戻って寝る。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界285日目>
おはようございます。今日は訓練9日目です。昨日は実戦訓練だったから、今日は身体強化の訓練だな。そろそろ闘神直伝の体操をさせるべきか若干悩む。……とりあえず、外に出て朝食が先だと思い直す。
焼き場の前で朝食をどうするか悩むも、揚げ饅頭が食べたくなったので決まった。生地を練って【熟成】したら竜の脂で揚げる。スープは野菜と魚のスープにした。そうしていると皆が起きて来たので、朝の挨拶をして朝食を食べる。
「今日はどうするんだい? 昨日、一昨日と実戦訓練だったし、今日は基本的な訓練に戻した方が良いとアタシは思う。実戦を経て、基本の大切さも多少は分かっただろうしね」
「そうですね。一定の領域を超えると、自在に身体強化を使えないと戦い自体が成立しなくなりますから。出来なければ死ぬという領域ですので……」
「そうなのよね。竜が相手じゃ、魔力金属だと武器強化をしないと戦えないのよ。希少金属だと戦えるけど、それはアルドしか最高品質を作れないし」
「竜……どこかで聞いたような……。あっ!? 思い出したぞ、蝦夷の竜だ! 神武の帝が蝦夷に渡った際に竜という獣と戦いになったらしいが、逃げ帰ったという話が残っておる」
「まあ、そうだろうね。不老長寿なんて関係が無いくらいに強いんだよ。正直に言えば、大陸の西側でも倒せたのは子供の竜ぐらいで、大人の竜を倒せた記録は無いんだ。私達以外には」
「私達は記録などに残したくはないので黙っているがな。竜を倒したなどと知られれば、アイテムバッグを持っている事以上に付き纏われる。竜の素材は魔力金属を超える代物なので、当然ではあるのだがな」
「それでも僕達が付き合ってやる義理も無いし、教えてやる義理も無いからね。だから黙ってるんだよ」
まあ彼等は竜と言われてもピンとこないだろう。竜の話を聞いていても理解していないみたいだし、むしろ騒がれなくて丁度良い。それよりも昨日の事を話しておくか。
「話を変えるが、昨日の夜遅くに松平の家臣がここに来ようとしていた。俺達の命を狙ってきたらしいが、全員始末して土の下だ。槍や刀で武装していたが、それはどうでもいいか。それよりも、今川の兵が三河の岡崎に着いているらしい」
「岡崎にか!? それでは真っ直ぐ尾張に進軍してくるではないか! 矢作川を越えれば後は何の障害もあるまい!」
「ただな、いつ出発するかは分からないらしい。奴等の言い方だと、今川が到着して直ぐにこっちに来た可能性が高いんだ。となると、編成なりで時間が掛かるだろうし、その間に兵を集めれば十分間に合う」
そんな事を話していると、ここに馬が駆けてくる音がする。そちらを見ると林さんが必死の形相で急いでいるのが分かった。到着すると馬から降りずに、用件だけを素早く言ってくる。
「礼を失してすまぬ! 大急ぎでアツタへ来てくれ! 弾正様がそこでお待ちだ。松平が今川と共に攻めてくる! 前から分かっていたが、こちらが考えるよりも早く出発してきたのだ! 私はツシマへ行かねばならんので失礼する!」
そう言って、馬と共に去って行った。一切こっちの予定を聞かなかったが、それぐらいテンパってたんだろう。予想よりも早く出発したって言ってたな? という事は、西部さん達が調べているのも分かったうえで、裏をかいてきたって事か。
流石は黒衣の宰相、厄介な人物だな。史実だと確か……三河の城を攻めながら小豆坂で織田信秀と戦うんだったか? そして織田軍は敗北する訳だ。
とはいえ、ヤシマの織田家は三河に城を持ってないし、そもそも第二次小豆坂ってあったのか疑問視されてたような……?。
まあ、考えていてもしょうがない。後片付けを済ませて、さっさとアツタへ行こう。俺達は直ぐに後片付けを終わらせ、身体強化を使って一気に移動していく。
訓練中とはいえダンジョンの移動でも練習していたからか、それなりの速さで全員が移動できた。
アツタの織田屋敷へ行くと、既に西部さんが具足を纏って待っていた。まさか藤を連れて来ているとは思わず、物凄く困った顔をされたが気にせず話を進める。
どうやら今川は3000もの兵を連れて来ているらしく、松平の1000を加えて4000の兵で進軍してくるそうだ。流石にそれだけの兵が居れば進軍を隠すのは不可能だな。となると、攻めて来ているのは事実だろう。
西部さんは前と同じ場所での迎撃を考えているらしい。問題は美濃からもちょっかいを掛けられている事だ。
1000ぐらいの兵が美濃と尾張の国境付近に近付いているらしい。どうやら今川への支援っぽいけど、やっているのがどっちかで厄介さは変わるぞ?。
どうやら、この動きをやっているのは土岐らしい。そこまでは分かっているそうだが、斉藤の動きが読めない為に織田3兄弟を出さざるを得ないみたいだ。
織田3兄弟は1200の兵で、こちらが2500の兵らしい。これでも必死に掻き集めた数なんだそうな。
日本に比べて人口が少ないし、国土が広いから仕方がないんだろうなぁ……。とはいえ、2500もあれば何の問題ない。
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0685終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨785枚
金貨497枚
大銀貨873枚
銀貨850枚
大銅貨1413枚
銅貨52枚
神石の浄化剣
神鉄の杖
神鉄の大太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




