0679
昼食後、西部さんと護衛は帰って行った。ガッツリ飯を食っていったが、昼飯が食いたいから来たんじゃないかと思ったくらいだ。午後からの訓練を始めるんだが、俺は【水歩】で沖に出て魚を捕まえてくる事にした。
ここにいる連中にも夕食の為だと言ったら、何も言わずに見送るんだから良い根性してるよ。俺は沖に出て、今まで忘れていた伊勢海老を探す。探すんだが……何かデカイ海老と蟹が居るぞ? それとヒラメとかカレイとか鯛も居る。面倒だから纏めて獲るか。
俺は対象の周囲の海水ごと【魔術】で引き上げる。【念動】で空中に出したら始末し、さっさと凍らせてアイテムバッグに回収した。ある程度の魚介類を手に入れたら拠点に戻り、皆の指導をしていく。やはり勝家君と藤は苦戦しているな。
2人はどうも細かいことが苦手らしいが、それは言い訳でしかない。実は集中して制御していないんだ。それは魔力や闘気の流れで直ぐに分かる。
仕方ないな。俺は木を伐りに行き2本伐って戻ったら、60センチの刀身の木刀を作る。
次郎君と勝家君を呼び、模擬戦をさせる事にした。ただし身体強化をして戦う事と、相手を殺さない事は言っておく。勝家君は楽しそうにしているが、君はこれから負けるからな? 両者をある程度離れた位置に立たせ、試合を始める。
結果からすれば勝家君は善戦したと言えるだろう。とはいえ、それは次郎君が手加減していたからだ。それが分かるからだろう、勝家君は猛烈に悔しがっている。
「これで分かったか? 肉体を動かす技術は必要だが、それと同じくらい身体強化は重要だ。勝家君と藤は、適当にやってるから上達しないという事を理解しろ。どんな事でもそうだが、適当にやって上達する事など無い」
勝家君は流石に理解したらしいが、藤は不服そうなので千代女さんと模擬戦をさせる事にした。結果、藤は手も足も出なかった。理由は千代女さんが欠片も手加減をしなかったからなんだが、手加減しなかった理由はウチの女性陣だ。
手を抜いたら私達と模擬戦だ。そう言われた千代女さんは、それはもう必死の形相で勝ちにいった。塚原さんが笑っていたくらいだし、試合後は「良い気迫であった!」と褒めていたくらいだ。逆に藤は不貞腐れている。
「良い気味じゃ。戦いというのは殺し合い。鍛錬とは殺し合いの為のもの。その鍛錬で気を抜くなど、殺してくれと言うておる様なものぞ。恥を知れ」
勝家君と藤は流石に凹んだのか、下を向いてシュンとしている。反省するかな? ……難しいところだな。2人とも調子に乗りやすい性格をしているから、何度も凹ませないと駄目かね? 面倒だなぁ……とはいえ、勝家君は仕事だから仕方ないか。
その後、【集中】を使って2人だけ無理矢理に集中させる。他のメンツは自分たちで集中して鍛錬するので、集中力の無い2人を重点的に鍛える事にした。そうしないと差が広がる一方だし、そうなると余計にやる気を無くしそうだしな。
それから夕方まで集中してやらせた御蔭か、何とか明日から体操に進む事が出来そうだ。それにしても、2人を限界ギリギリまで集中させるのには気を使うよ。やり過ぎるとおかしな事になりかねないし、俺みたいに前後不覚にする訳にもいかない。
さて夕食だが、今日の夕食は海鮮尽くしだ。蟹と貝の味噌汁、鯛の刺身、エビフライだ。先ずは鯛の刺身をさっさと作って出しておく。
寸胴鍋で蟹と貝の味噌汁を作りながら土鍋でご飯を炊いていると、藤が酒を要求してきた。面倒なんで焼酎を渡して放っておこう。
エビの身を綺麗に【分離】したら竜の脂で揚げていく。鯛の刺身には魚醤を出してあるので一応は食べられるだろう。戦国時代には近代の醤油なんて無かった筈だし、確か塩とか味噌で食べたりしてたと思う。
現代人に魚醤を出したら怒るかもしれないが、この時代なら文句も言われない。味噌汁はとっくに出来てるし、ご飯も炊けてエビフライも出来上がったので、早速食べよう。
それにしても、海老がデカイなぁ。已む無く唐揚げサイズにしなきゃいけない程デカイんだよ。そうしないと中華鍋サイズの鍋に入らないくらいの大きさなんだ。
しっかし、味が濃厚で美味いな。大きいから大味というのは当てはまらないらしい。まあ、ここ異世界だしね。それに蟹も美味いし、鯛の刺身も美味い。3メートルサイズの鯛と、タカアシガニよりも大きい蟹だったけども……。
皆も「美味しい!美味しい!」と食べているが、コウカは山だから滅多に食べられないんだろうな。そう思っていたら、ヤシマの国では大型の生き物は滅多に食べられないらしい。なぜなら海に引きずり込まれるからだそうだ。
聞いたら納得したが、という事は滅多に食べられない物尽くしって訳か。どうりで騒いでる筈だ。そう言ってウンウン頷いていると、塚原さんと藤に呆れられた。歴代の将軍でも、誰も食べた事が無いぐらい珍しいんだそうだ。
そりゃ京の都に居たら食べられないだろう。そう言うと、首を捻った後で納得顔になった。そもそも内陸の京では、海産物を食べる事自体が難しいだろう。そのうえ大きな物となると運ぶのも大変だし、そうなると当然腐る可能性は高い。
この世界のヤシマの国は2倍の国土だ。当然だが、元の世界の京都よりも海は遠いんだから、余計に新鮮な海産物を食べるのは難しいだろう。
アイテムバッグがあるから現状でも不可能ではないけど、現実的かと言われると……。そもそも俺以外に獲れるのか? という話になる。
そんな話をしながらの夕食も終わり、今はカマクラでゆっくりとしている。塚原さんも藤も、あまり焼酎を飲んでいなかった。一口飲んでキツい酒だと分かったからか、寝る前にゆっくり飲みたいと持っていってしまったんだ。
3匹は今日は起きてリバーシをしているが、最近ガウラがやっているからか打ち筋なんかを変えている様だ。良い意味で刺激になっている様だが、実はダリアが1番勝率が低かったりする。僅差ではあるんだが、ダリア自身は納得がいかないらしい。
今もまた負けたが、負けたら高い確率で……ほら来た。俺の胡坐の中に入って甘えてくるんだよ。
だいたいこのパターンなんで分かりやすいんだが、リバーシでも似たパターンの打ち筋なんじゃないかな? そう言うと、ダリアは愕然とした表情をしている。思い当たる節があるんだろう。
それから何戦かしたら3匹は眠ってしまい、全員を【精気】のみで大満足させた。俺は白湯を飲んでから布団に入って目を瞑り、各カマクラを【浄化】していく。全員寝ているので、さっさと浄化して俺も寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界281日目>
おはようございます。今日は訓練5日目です。予想とは違い、もう2日ほど訓練させてからダンジョンに行く事になりそうです。さて、朝の【浄化】を終わらせたら、さっさと朝食を作ろう。
焼き場の前で少し悩むものの、朝食は蟹の身と野菜の饅頭にした。いつも通り饅頭を作り、36個出来た段階で皆が起きてきた。
「「「「「「チュッ! おはよう」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「………」 「カ!」
「「「「「「「「おはよう」」」」」」」」
饅頭を蒸して食べながら今日の予定を話すが、いつも通りで変わらない。朝食後、俺はダンジョンに行き素材を集めて回る。今日のお供はガウラだが、頭の上で大人しくしてるな。前はスピードに喜んでたが慣れたんだろう。
ツシマの大橋さんの所に行き、いつもの仕事を熟して帰った。港に戻り、問題児2人に【集中】を使って体操をさせる。とにかく身体強化を自在に操る事が、何よりも重要であり基本だと教えていく。
昼食は肉巻きおにぎりと猪汁だ。土鍋でご飯を炊き、寸胴鍋で豚汁ならぬ猪汁を作るだけなので簡単に出来た。食事をしながら反省点や改善点を話し合い、午後からの鍛錬に備える。
午後からも無理矢理【集中】させて、鍛錬に励ませよう。
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0679終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨783枚
金貨497枚
大銀貨873枚
銀貨850枚
大銅貨1413枚
銅貨64枚
神石の浄化剣
神鉄の杖
神鉄の大太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




