0668
「クワナの連中がアルド殿を探している様ですから、気を付けて下さい。何でもツシマの港を作った者を教えろと、随分しつこいそうです。私の店には来てませんが、弱い立場の店に無理矢理言っていると聞いています。まあ、教える利が無いので誰も教えませんが」
「自分達の所にも同じ物を作れと言いたいんですかね? クワナって確か伊勢でしょう? 伊勢の連中に恩なんて無いんで助けてやる義理も無いんですけど、金を積めば簡単に言う事を聞くとでも思ってそうですね」
「そうでしょう。ですが、クワナの連中が積むのは悪銭しかありません。最近、ツシマの中で良銭が相当出回ってますからね。それも気に入らない様です。そうそう、ダンジョン前で買い取りを始めたんですが、あれは思っているよりも大変ですね」
「ええ。私達が居た村でも、長く目利きをやっている方が責任者でしたよ。どの魔物の素材がどう加工されて使われるか。獲物の傷はどれぐらいか、肉の痛み具合はどれぐらいか。長年の経験と感覚、そして知識が重要な仕事なんです」
「まったくもって仰る通りですよ。まさか、あそこまで大変だとは思いませんでした。持ってくる物も質が悪い物が多く、買取をさせている者も猟師や川原者に協力してもらっています。それと弾正様がダンジョンの東に川原者を集めて、解体をさせている様ですね」
「大陸の西側では買い取るのは解体所だったんですが、こっちでは商人が買い取って解体所に金を払う形になりそうですね。色んな形があって良いんじゃありませんか?」
「そう言って貰えると助かります。川原者の中には数を数えられる者が少し居るくらいで、殆どの者は読み書きや算術などは出来ません。あのまま彼らに任せると、簡単に騙されてしまうんです……」
「ああ、それは……」
確かに古い日本でも、読み書きや算術が出来た人は多くない。庶民が当たり前に文字を読めて計算出来る様になっていったのは、江戸時代だと言われてた筈だ。それまでは村の長老だったり、寺の坊主ぐらいしか出来なかったらしい。
川原者なんて乞食みたいな扱いをされる人達だ。読み書きや計算なんて不可能だろう。そうなれば簡単に騙されてしまう。権力者が囲って守ってやらないと危険過ぎる。代わりに乞食扱いだった彼等が正しく社会に組み込まれるなら悪くない。
川原者って文字通り川原で寝泊りしてるんだが、川の近くは天子様の物という理屈で彼らは税を払っていない。そんな彼らに対して、税を払わせる代わりに仕事を与えてやれば、正しい形で社会に組み込めるだろう。
彼らの中でだって、川原者であり続けたいなんて言う奴は少数派だ。大多数は已むに已まれず川原者になっているだけでしかない。言葉は悪いが、捨てられたり川原で生まれた子供も居る。そんな子達は最初から川原者であり、這い上がる道が全く無い。
今回の解体所は、そんな彼らの救いになるかもしれないんだ。日本の古い時代よりも、血の穢れが云々という迷信は少ないので大丈夫だろう。
「まあ、神殿とクワナとダンジョンに関してはそんなところです。それよりも北の美濃と東の三河が混沌としてきました。尾張は相当に追い詰められていましたが、その反動が美濃と三河に跳ね返っている様に見える程です」
「もしかして、それが先程の疲れた様な表情の原因ですか?」
「ええ。美濃では斉藤利政の実弟が暗殺を謀って失敗。家族を含めて処刑されたそうです。斉藤はこれを土岐が唆した所為だと言い、対決姿勢を強めました」
「まあ、当たり前と言うか、実際にマムシさんの言う通りでしょうけどね。自分から進んで行ったか、周りから言われたかは別にして、唆されたのは間違いないでしょう」
「ですね。ちなみに土岐側は、乱心する兄を成敗しようとした義心に溢れた者を殺したのは、乱心者の証だと言い張っているそうです。どうも土岐側は、思っている以上に美濃で土岐頼芸が信じられていない事に、相当の危機感を持ったみたいですね」
「今さら!? 土岐を選んだ時点で織り込み済みなんじゃないの? マムシさんに付いた武士以外がアホにしか見えないな。北部織田家の半数の家臣や、元南部織田家の家臣、美濃の土岐に付いた家臣。多くの武士って頭が悪過ぎないか?」
「有能な武士は、有能な方に味方しますからな。家を滅ぼしてでも無能に味方する者は居ません。斉藤側は、上手く無能を押し付けた形でしょうな。美濃で有名な武士は殆ど斉藤側ですし」
「流石はマムシ、抜け目が無い。とはいえ、数多くの武士が死ぬと美濃が荒れるけど大丈夫なのかね? 何か後始末まで考えてないっぽい気がするなぁ。尾張は俺が居るから後始末のお金はあるけど、美濃にそれだけのお金があるのかは疑問だ」
「そこが私達商人にとっても話題になっているところです。争いは斉藤側が勝つでしょうが、美濃がどれだけ疲弊するかによって、その後の行動が変わりそうですから。美濃国内で済むのか、尾張に奪いに来るのか……」
「それは土岐と斉藤の争いが一定程度進まないと、おそらくは見えてこないでしょうね」
奥さんは暇になったのかガウラと遊んでいる。俺がリバーシを出したら興味を持ったのでルールを教えると、今はガウラと対戦している。ただし、相当負け越しているが……。
「三河の方ですが、松平と神殿の戦はおかしな方向へと向かい始めました。東三河の神社が、西三河の両者に争いを止める様に申し入れたそうです。松平は無視しただけで終わったのですが、中央神殿は使者を殺してしまったらしく、三河の商人の間では神神の乱かと騒ぎになっています」
「本っ当に、神殿は碌な事をしないな。使者なんて松平みたいに無視するか、追い返せば済むだろうに。何で殺して騒ぎにするんだよ。頭の悪い奴しか居ないのか?」
「元々神社と神殿は、未だに神神の乱の責任を押し付けあってますからな。その所為でいつまで経っても落ち着かないのです。アレの最大の原因が管領なのは誰もが知っているのですが、実際に荒らしたのは神社と神殿ですので」
「まあ、国家の首都を荒らしたんだから、その責任は極めて重いわな。にも関わらず、1番責任の重い管領とやらが責任をとってないのが……」
「それも、足利将軍家が軽んじられる理由の1つですね。家臣に罰も与えられないと言われてしまえば、反論は難しいですから。本当かどうかは知りませんが、帝でさえ足利将軍家には呆れているという噂もあります」
「それって多分、”流された”噂なんでしょうね。そういう情報の出し方は、何処の国でもしますから」
「ええ、我々もそう思っています。何故なら、その噂では足利家に対しては呆れですが、管領の細川に対してはお怒りだそうですから。しかし細川は気にもしていないと聞きます」
「そのうち家臣に裏切られそうだな。どんな強者であろうとも、分断されて各個撃破されてきた歴史を知らないのかね? 細川家がどれだけ強くとも、家臣が裏切って割ってしまえば弱体化するぞ?」
「そういう風な噂はあります。三好という家臣の家を好き勝手にした所為で、殺された家臣の嫡男が相当の恨みと憎しみを抱えているという噂です」
「三好長慶?」
「ええ、確かそのような名前だった筈です。ご存知なんですか?」
「いえ、京の都で聞いた様な気がしたので……」
「ああ、成る程」
あっぶねぇ! ついつい三好長慶の名前を口に出しちゃったよ。日本だけでなくヤシマの国でも、三好長慶は細川弱体化のキーマンの様だ。あいつが細川家を割った御蔭で、最後には細川は没落するんだよな。ヤシマの国でも裏切れよー、頑張れ長慶君。
多分、まだ若いと思うんだよな。でも年代的にはそろそろ裏切るのかね? まあ三好が裏切る前から足利は駄目だから、気にする必要もないか。近江に逃げて、京に戻るのを繰り返すぐらいだ。たしか朽木谷だったかな?。
足利義藤こと義輝は……まともなら助けてやるか。
▽▽▽▽▽
0668終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨159枚
金貨128枚
大銀貨588枚
銀貨514枚
大銅貨69枚
銅貨64枚
神石の浄化剣
神鉄の杖
神鉄の大太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




