0659
平氏の屋敷を後にした俺達は、京の都の北東に進む。こっちって鬼門じゃないの? と思いながらもついて行く。
この世界では、西では魔法、ヤシマでは陰陽術と言うんだよな。ただ、中国っぽい所で何と言うのかは調べていない。あそこは通過しただけだからなぁ……。
少し進むと、がらんと空いている場所があり、その中心に迷宮紋があった。間違いなく迷宮紋だし、ダンジョンの入り口だ。俺達は清常さんと山科さんに、間違いなくダンジョンの入り口である事を伝えて中に入る。
光が止むとそこは草原と言うべきか、それとも湿地帯と言うべきか迷う場所だった。とにかく葦が山ほどあって、地面が殆ど見えない程に密集して生えている。
清常さんと山科さんも来たが、脱出紋の上以外は密集して葦が生えているので、どうにもならない。一旦脱出する。
「何だい、アレは!? あんな酷いの初めて見たよ! 草が大量に生えていて歩く事すら難しいじゃないか!!」
「古き書に書いてある通りだが、あれが普通の穢門ではないのかな? ……そなたらの驚き様を見ておると、どうやら違う様だな」
「アレは何なんでしょうね? 永きに渡り放っておいた所為でしょうか。幾らなんでも初めてですよ、あんな地形は」
「古き書の中でも、1番古い書には荒地の様な場所であったと書かれているのだ。その次には多少の草が生える所と書かれており、その後は草が伸びていっている記述がある」
「ダンジョン内の地形が変わる事はあるけれど、永い間放っておかれた所為であんな事になっていたのね。困ったものだわ」
「アレは攻略するのに時間がかかりそうだ。私達でさえ移動を優先して本気で攻略しなければ無理だね。正直に言えば、足手纏いを連れて行くのはお断りしたい」
「アルメアの言い分は最もだな。1度攻略すれば地形も変わる筈なんで、俺達が攻略するまで待ってくれないか? 上手くいけば今日中に、最悪は3日ほど掛かる」
俺は通常のダンジョン攻略法、つまり情報収集の事を話す。ダンジョンは中の地形などが変わるが、正確に記録をとっておけば無駄にはならない為、そういう情報を集めながら地道に進んで行くものだと話す。
「平手さんには少し待っていてもらいたい。俺達としても、こんな厄介そうなダンジョンは虫地獄以来だ。だからダンジョン攻略までは、色々なところに挨拶するなりして暇を潰していてほしい」
「いや、そなたらの御蔭で京の都まで2日で来れたからな。十二分に予定は余っているのだ。私がやるべき事は終わっているのでな、2~3日待つくらい何でもない」
「じゃあ、俺達は全力で攻略してきますよ。1度攻略すれば、ほぼ間違いなく地形が変わるんで、そうすれば普通のダンジョンになると思います」
そう言って俺達は再びダンジョンに入っていく。光が止んで見えた光景は、やっぱり葦が大量に生い茂る景色だった。……ま、変わらないよな。
豊葦原中津国とは言うけれど、こんな天然のトラップありかよ……。まあ、愚痴を言っていても仕方ないので、さっさと進んで行くか。俺は皆に後ろをついてくる様に言い、皆を引き連れて大回りに円を描く様に移動していく。
1層の転移紋は東にあったので、上に乗って2層へ。2層も葦地獄だったので、東へと真っ直ぐ進み3層へ。3層の葦地獄も東へ進み4層へ。4層も同じで5層も同じ。
ある意味では楽だが、移動が面倒すぎる。そのうえ魔物が殆どいない。極稀にウサギの魔物がいる程度だ。光が止むと、そこは平原だった。やっと移動が楽になると思ったら、妙に広い川が流れている。
たまに川があるダンジョンはあったが、こんな20メートルも川幅があるダンジョンなんて無かったぞ。なんで京の都のダンジョンだけ、こんなにおかしいんだよ。
腹を立てつつも、邪気を吸引し浄化しながら進んで行く。平原は北に転移紋があったので7層へ。8層、9層、10層も北の転移紋から進んで行き、11層に到着した。
今度は山なのだが、鬱蒼と木々が生い茂る山だった。このダンジョン、地形が面倒臭すぎるだろう!。
ここまで地形が面倒で、移動に時間が掛かるダンジョンは初めてだ。それでも次は西か南だと分かってるだけマシか……。そう思い直して西へと進む。
これが正解で、転移紋は見つかり12層へ。13層、14層、15層と進んで行くのだが、このダンジョン魔物がずっと少ないな。
地形で殺しに来る訳でも無いのに、魔物も少ないってどういう事だ? 地形も面倒なだけで、死ぬ様な危険のあるものじゃない。
溜め込んでる邪気は相当の筈だが、何でこんなに危険の少ないダンジョンなんだろう。何か嫌な予感がするなぁ……この後、一気に来るんじゃないの?。
16層に辿り着くも、そこは夜の山だった。俺は皆に【光球】を使う事を言い、自分達からは結構離れた場所に使用した。おおよそ50メートルほど離れた場所だ。
ドドドドドドドドドッ!! という轟音が響き渡り、黒い鳥が地面に激突していた。ダルダン聖国のダンジョンで出てきた槍鳥が大量に降ってきたんだが、やっぱり間違ってなかった様だ。
【空間把握】に嫌なものが見えた気がしたんで、【光球】を離れた所に使ったんだが正解だった。
俺達は灯りを点ける事無く南へと移動し、転移紋から17層へと進む。18層、19層、20層と進み、南の転移紋から21層へ。光が止むと、そこは洞窟だった。
このダンジョンはどこまで悪辣なんだ。嫌な地形を一纏めにした様な場所だな。
流石に昼を過ぎているので、ここで一旦休憩にして昼食をとる。土鍋でご飯を炊きながら、大根と干し肉のスープとイエローボアの唐揚げを作る。
近くには魔物の気配は無いので【光球】を使って明るくした。暗いとテンションが下がるので、食事の時くらいは明るくしていたい。
「ここのダンジョンは滅茶苦茶すぎるよ。面倒な地形ばっかりだし、罠みたいな魔物を配置して! 油断を誘って殺しにきてるのかと思えば、今度は洞窟かい!」
「魔物が少ないですから移動自体は楽なのですが……槍鳥以外は魔物も少なく、嵐の前の静けさがずっと続いている感じですね」
「そうね、いつ殺意の高い地形や魔物が出てくるか分からないのが怖いわね。最奥の魔物が、倒せないぐらい強い事も考えておいた方が良いのかしら?」
「ああ……。邪気が溜まっていれば溜まっているほど、最奥の竜は強いんだったね。どんな竜が現れるのか分からないけど、死闘と言える戦いになりそうだ」
「どんな相手であろうと戦うしかない。何度も入って邪気を浄化し続けても、最奥の竜が弱くなるという保障は無いからな。1度は私達が倒しておくしかない」
「仕方ないよね。ここのダンジョンは怖いけど、そうも言っていられないし……。僕達はやれる事をやるだけさ」
「ここまで来ると、最奥の竜はヤマタノオロチかヒュドラーか……。おそらくは多頭の蛇みたいなタイプだと思うんだよな。特にヤマタノオロチの可能性が、どうしても消えてくれない」
「「「「「「???」」」」」」
俺は皆に神話の中のヤマタノオロチの説明をする。皆は直ぐに納得した様で、そういう相手に対しどう戦うかを考えている様だった。ヒュドラーなら首を落とした後【浄炎】で焼いてやれば良い。だけどヤマタノオロチにそんな記述は無いしなぁ……。
しかもヤマタノオロチって確か水神じゃなかったか? ゲームでは魔物扱いされたりするが、そもそも水に関わる神様であり、現実では暴れ川の事だった様な……。俺も詳しい事は覚えてないけど、気を引き締めておかなきゃいけないな。
皆と対策などを話し合いながら、ゆっくりと昼食をとった御蔭で随分リフレッシュできた。皆も大分ストレスが減った様で胸を撫で下ろす。俺達の場合は強力な魔物より仲間の暴走の方が怖いからな。ちゃんと見ておかないと。
昼食後、俺達は後片付けを終えて出発する。このダンジョンどこまで続いているんだろう?。
▽▽▽▽▽
0659終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
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金貨128枚
大銀貨588枚
銀貨514枚
大銅貨121枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の大太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




