0643
ダンジョン前に到着した俺は、さっさとダンジョンに入っていく。それにしてもダンジョンに入る奴が随分と多いな。
もしかしてダンジョン内が暖かいからか? こんな所で一晩明かそうと思ったら死ぬぞ。それでも経験しないと理解しないか……そうやって無意味に死んでいくんだろうな。
失敗しなきゃ分からない奴には、失敗させるしかない。言っても分からない奴には、経験させるしかない。結果として命を失っても自業自得だろう。
1層で本当に屯して喋っている奴等が何グループかあったんだ。それを見た時に、暖かい所へ逃げて来たんだって分かったよ。
耐火石や金属に米、色んな物を手に入れながら最速で進んで行く。方角もルートも分かっているので一気に進み、必要な物を手に入れたら脱出する。
ダンジョンのある場所の南へと行き、昨日から行っている炭窯作りを再開しよう。と言っても、残りは2つ。昼前には終わるだろう。
せっせと炭窯を作り、予想通り昼前には終わった。温泉地へと戻り昼食の準備を始めると、カマクラの中から皆が出てきた。
どうやら本当にカマクラの中に篭っていたらしい。今日は大工連中の動きも鈍いぐらいだ。相当寒いのは事実なんだが、それにしても……そこまでか?。
出てきた皆に全粒粉と聖水と塩を渡して練ってもらう。魚を3枚におろしながら、寸胴鍋に聖水と塩と貝を入れて煮込んでいく。
魚を一口大にして鍋に入れていき、大根の葉や茎と半月切りの大根も投入する。生地が練れたら蒲鉾型にし、メルに竜の脂で揚げていってもらう。
途中フォルと交代しながら揚げていき、揚げパンが出来上がったので昼食を始めよう。では、いただきます。
「今日の煮物は美味しい! というより、優しい味かね? ガッツリ来ないけど、じんわり来る感じがアタシは好きだよ」
「魚がホロホロ崩れる柔らかさで、この大根も柔らかいですね。貝が入ってますが、大量に入ってないので優しい感じなんですかね?」
「どうなのかしら? 美味しい物は美味しいで良い様な気もするけど、確かに優しい美味しさって珍しいのよね。ちょっと気になるわ」
「考えるにしたって食べた後で良いだろう? 考え込んでいると冷めてしまうよ。折角の暖かい食事が冷めてしまったら、勿体ないだろうに……」
アルメアの言葉を機に、3人は考えるよりも食事を優先する事にした様だ。優しい味になったのは、大根から出た水分かな? それとも貝の種類だろうか? 割と適当に料理してるからなぁ、俺は。
「そういえば炭窯作りをすると言っていたが、終わったのか?」
「ああ、昼前に終わったよ。後は報告ついでに銅貨を作ってきて、南の港で大量の塩作りをするぐらいだな。トコナメの者達の塩作りを邪魔する気は無いから、献上品の塩しか作らないけどね」
「献上品ってどういう事? 僕達何も聞いてないけど……」
「昨日ツシマに行ったら足利の家臣が居てな、献金なり献上品を送れば、西部織田家を紅衆にしてもいいと言わんばかりの事を言われたんだよ。もちろん、ハッキリとは言わないヤツだ」
「あー……いわゆる、「分かるだろ?」ってヤツだね。貴族なんかがよくやる事だし、裏稼業もよくやる事だよ。僕も昔に何回か言われた事があるし、言った事もあるね」
「で、アイテムポーチを渡してやったんだよ。ヤシマの国では非常に珍しいらしいから、アレで良いかと思ってな。ただ、それは足利に対する献上品でしかない。その後、官位を貰う為に朝廷に献上しなきゃいけない訳だ」
「面倒だねぇ……あっちもこっちも「寄越せ!」って言ってくる国ってどうなんだい? 幾らなんでも強欲過ぎるだろうって思ったけど、よく考えれば貴族どもってそんなものだったね」
「そうですね。ヤシマの国でも貴族どもは何も変わらない様です。ここまでくると、貴族がクズなのは真理なのでしょう」
「一応説明されたが、ヤシマの国の中心とも言える山城の国。つまり京の都がある所の紅衆は足利だが、殆どの税は足利ではなく朝廷のものだ。足利は朝廷から多少与えられているだけでしかない」
「それでは足利とやらは貧しいのでは? 殆ど実入りが無い様にしか聞こえませんよ?」
「だから献金なり献上品を寄越せって言ってくるんだよ。一応政治のトップは征夷大将軍である足利が行うんだが、そのトップが貧しくてアレコレ寄越せって言うんで、だんだん邪魔になってくる訳だ」
「まあ、政治もせずにアレコレ寄越せと言われても、下の者達は困るだろうね。実際には各国の紅衆が統治してるんだし、国全体の事と言ったって外から攻められる事は殆ど無い。足利っていうのは何をするんだろう?」
「この国は朝廷が権威を持って、足利が権力を持っていると考えればいい。ただし、統治する権力は山城の国だけだ。後は各国の紅衆に命令する権利があるくらいだな。尚、聞くか聞かないかは紅衆による」
「何と言えばいいのかしら……聞いていると頭が痛くなってくるわね。こんな滅茶苦茶な体制をよく続けてきたと思うわ。西側の体制が正しいとは言わないけれど、幾らなんでも酷すぎる」
「まあ、日本でも複雑怪奇な状態だったからな、この時代は。征夷大将軍といえど強権が揮える訳でもない。朝廷への取次ぎみたいな事をやってたのも記録に残ってる。そのうえ、献上の多さで決めていた節もあったらしい」
「それって要るのか?」
「さあ? ディルが言いたい事は良く分かるが、足利は荒れていた国を纏めた事は間違い無いんだ。その後の統治の形を上手く作れなかったんだろうな。でも、だからこそ200年以上続いたとも言えるんだが……」
「周りの者が上手く利用できたからだね。足利っていう利用価値が高いものを、わざわざ打ち倒す理由が無かったって事かい。碌なものじゃないねぇ」
「で、それを終わらせたのが織田信長だ。一説には、信長は当初足利を終わらせる気は無かったとも言われているが、最後の将軍である足利義昭を放逐したのは紛れもなく信長だ。それによって足利体制は崩壊した」
「なるほど、最高権力者を放逐した訳ですか。英傑と言われるのも分かる気はしますし、アルドが会ってみたいと言った気持ちも分かりますね」
「そうだね。でも、何故放逐したんだろう? 僕なら大々的に発表して、全ての罪を押し付けて始末するけどね。今まで散々国を腐らせてきたんだし、それぐらいは役に立ってくれないと」
フォルって地味に辛辣な時があるよな。元孤児だし、辛い事を幾つも越えてきたからか、容赦が一切無い時があるんだよ。
「まあ、その話はもういいか。それより昼からはツシマに行った後、戻ってきて港で塩作りだ。だからツシマに居なければ、南の港に居ると思う」
昼食後、後片付けをしてからツシマに向けて出発する。皆はまたカマクラに入って行った。今日は寒いから仕方ないとはいえ、おそらく最短でも2日ぐらいは続くだろう。まあ、ゆっくりするタイミングとしては丁度いいか。
美濃も三河も荒れそうだし、尾張が攻められる可能性は低い。東と北からの猛攻を防いだんだ。仮に美濃と三河で揉め事が無くても、当分尾張に攻め込む事は出来ない。それだけのお金も食料も無いだろうからな。その時間で尾張は固まるだろう。
あの細川って奴もアイテムポーチを盗んだりはしない筈だ。出来ないと言った方が正しいか。あの話し合いの際、西部さんが清常さんの話題を出したからな。京の都に伝手はあるから盗んだらバラすぞ。そう言った様なものだ。
牽制はしておいたからな、しかも将軍への献上品の横領だ。間違いなく死罪だろうが、一族郎党にまで及びかねない。
それもあって、アイテムポーチは将軍の手に渡るだろう。問題は有象無象が俺にも寄越せと言ってくる事だが、それ等は始末すればいいだけだ。
おっと、考え事をしていたらツシマの前まで来ていた。
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0643終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨159枚
金貨527枚
大銀貨588枚
銀貨517枚
大銅貨154枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




