0063
ダナとシュラはともかく、この失禁してるゴミを連れて帰ってもらわないと宿の迷惑だ。5人組に言って連れて帰ってもらおう。視界の端でダリアさんは欠伸をしてるよ。俺もしたい。
「済まないんだが、この失禁してるゴミを連れて帰ってくれる? 宿の迷惑だからさ」
「えっ? あの、我が家に来られないのですか?」
「えっ? 行くワケないじゃん。もうお金払ってるんだからさ」
「いえ、宿泊費であれば我が家で」
「払ったって言ってるんだよ。つまりは、もう遅いって事だ。いちいち言わせんなよ。さっさとそこのゴミを連れて帰れ」
「………」
俺は5人組とゴミに背を向け、ダリアを連れて部屋に戻る。ダナとシュラもついて来た様だ。ダリアは俺の手を舐めている。何で汚しますかね? 仕方なく浄化して綺麗にする。
「アルド。いいのかい? あんな風な別れ方して。後で余計に揉めるかもしれないよ?」
「何故か妙に強気ですね? もっと面倒には関わらないようにすると思っていました」
「貴族ってのは際限なく調子に乗るからな。最初にキッチリ叩いておかないと面倒なんだ。そう魔神は教えてくれたよ」
「魔神様は何をアルドに教えてんだい!?」
「魔神はドロドロした権力闘争が大好きだぞ?」
「「………」」
「ちなみに、念神は愛憎劇とか浮気とか不倫の話が大好きだ。まぁ神様にとったら、ただの娯楽だからなぁ……」
「「神様………」」
神様のイメージが悪くなったか? だがな、他人でもそんなもんだ。他人の不幸は蜜の味ってな。無関係だと人間でさえ娯楽にするんだから、昼ドラ感覚でいいんだよ。
ダリアを浄化してモフりながら、そんな会話をする。ダリアは気にもせず嬉しそうにモフられているが、もう眠たいようで目がトロンとしている。ついには眠ってしまった。
それを見た2人は俺をベッドに押し倒してきたので、反撃で撃沈させる。2人も【房中術】が上手くなってきたが、まだまだ先は長そうだ。全て浄化して俺も寝よっと。おやすみー。
<異世界30日目>
おはようございます。床で寝ていたダリアが、何故か俺の横で寝ています。いつ入って来たんだろう? 全て浄化していると、最初に起きたのはダリアだった。
「おはよう、ダリア」
「ニャー」
ベッドから出て、備え付けの椅子に座ってダリアをモフる。何と言うか物凄く手触りが良いんだよな、ダリアって。ちょっと不思議だ。猫ってこんなに手触り良かったか?。
ダリアは浄化されながらモフられると、全て受け入れてトロンとしている。余程気持ちいいんだろう、全てを委ねている気がする。アレ? これって邪生の反応と同じ?。
邪生も内側から浄化すると、全てを委ねて安らかな顔をするんだよなー。なんか共通するトコでもあんのかねぇ? 考えても分からないから止めよう。ん? 2人が起きたか。
「「チュッ! おはよう。アルド、ダリア」」
「おはよう、2人とも」 「ニャー」
「今日はどうするんだ? 手紙は届けたんだろ?」
「手紙は届けてあるよ。……なら領都に居る必要は無いね? 帰るかい?」
「それが良いでしょう。関わると面倒ですし」
「なら、何も無かったら帰るか」
「いいのかい? 狙われたりするかもしれないよ?」
「領軍が暗殺か? そもそも軍って弱点だらけだからなぁ。それに暗殺組織であろうと、俺に勝てると思ってるなら潰すまでだ」
「弱点だらけ……ですか?」
俺は2人に兵站を始め、軍や組織の弱点を教えていく。部隊指揮官の狙い撃ちでの潰し方などの、組織を組織として機能させない為の戦術だ。こんな時代なら、これでも十分通用する。
2人は話を聞きながら頷いたり驚いたりしていた。こういう話はあんまり無いのかもしれないな。面白そうに聞いていたり、質問してきたりする。話が終わったので食堂へ行こう。
厄介な事に朝っぱらから食堂に5人組が居た。それ以外にもう1人、結構年をとっていそうな人物が居る。
「おはよう、5人とも。何で朝っぱらから居るの?」
「おはようございます。申し訳ありませんが、領主館までご足労願います。こちらは家宰のマークです」
「お初にお目に掛かります。ディアス家の家宰の位にあります、マークと申します」
「これはご丁寧にどうも。自分は傭兵のアルドゥラムです。よろしくお願いします」
「………普通にできるじゃないですか。昨日は何故……?」
「俺は礼儀には礼儀を。無礼には無礼を返してるだけだ。昨日のアホは最初から非を認めず、伯爵家の名を勝手に使って手打ちにしようとした。許される訳が無いだろ?」
「仰る通りでございますな。それを許せば、家臣が勝手に伯爵家の名を使う事になりかねませぬ。お嬢様、それは決して許してはならぬ事でございます」
「そ、そうなんですね。すみません」
「とにかく、朝食を食べたら正式に訪問させて頂きます」
「かしこまりました、お待ちしております。それでは皆様、失礼致します」
そう言ってマークさんは去っていった。流石は伯爵家の家宰だ、一切隙が無い。戦いの隙なら沢山あったが、政治的な隙は一切無かった。相手が厄介過ぎて強敵過ぎる。どうしよう?。
悩んでいてもしょうがない。余分に大銅貨2枚を払い、3人と1匹で朝食にする。昨日と変わらず美味いなー、ここの料理人はホントにレベル高いよな。
さて、食事も終わったし、行くしかない。領主館に向かい歩いて行くが、5人組が逃がさないように後ろを半包囲してる。囲まなくても逃げないが、どうも信用が無くなったらしい。
領主館の門の前まで来たが、昨日の門番どもが居ないな? 解雇されたか、物理的に首を斬られたか。どっちでもいいし、どうでもいいな。アホの末路など聞く気も無い。
門を抜け、正面玄関の前に来ると何やら武装している奴が居た。長めの剣を右手に持ち、左手には盾を持って、鉄のプレートアーマーを装備している。兜は被っていないが完全武装か。
「妹を軽んじた愚か者よ! 我が剣の錆にしてくれる!」
「何でこういうアホって、居なくならないんだろうな?」
「お兄様、お止め下さい! これでは我が家の恥です!」
「止めるな妹よ! 覚悟しろ、蛮族めぶっ!」
何でアホを待つ必要があるんだろうな? さっさと潰せばいいだけだ。顔面に掌底を打ち込んで、ぶっ飛ばしてやった。死んではいないが、鼻の骨は大丈夫かな?。
「おのれ、蛮族め! 正々堂々と戦う事も出来んのか!?」
「その”正々堂々”とやらは、お前にとって都合が良いだけだろ? 随分と頭が悪い奴だな?」
「ふん! 蛮族ごときが! さっさと私の剣の錆になれ!」
「問答無用で剣を振り回している方が、よっぽど蛮族だがなぁ。蛮族にとっては正しいのかね?」
もう鬱陶しいのでボコる事にした。プレートアーマーを着ているので、露出している顔面を執拗に狙ってボコボコにする。泣きながら謝罪していたが、いつも通り執拗にボコった。
声も出せないようになったので回れ右して帰る事にする。いい加減、付き合いきれない。こっちを見ている奴が複数居るのは分かってるんだよ。何を考えてるんだ?。
「じゃあ、俺はこの辺で」
「ちょ、ちょっとお待ちを! これは何かの間違いです! 兄上が……」
「あのさー。あそこにもあっちにも。それからあっこにも居るし、あそこにも居る。こっちを伺ってる奴がさー、沢山居るんだよ。それで何かの間違い? ナメてんの?」
「私はこの館の警護を任されているザイコスだ!!! 貴様は坊ちゃ」
「今すぐ、死ね」
そう言うと、俺はこの場の誰も反応出来ない速さで接近し、矛で唐竹割りにした。偉そうなヤツが着ている鉄製のプレートアーマーごと、何の抵抗もなくあっさり斬れた。
ゴミの口上を聞くほど、俺は暇ではない。さっさと帰るか。領都って碌な所じゃないな。俺は矛を浄化して、その場を立ち去る。
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0063終了時点
金貨27枚
大銀貨27枚
銀貨13枚
大銅貨7枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪の斧
風鹿の角の十手
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ