0627
戦は終わったものの、戦場の死体をこのままにしておく訳にはいかない。松平との戦では大半が逃げたので直ぐに終わったが、今回の戦では北部織田家の兵が大量に死んでいる。
死体の処理をするのはヤシマの国でも変わらない。邪生の問題は、この世界共通の問題だ。
俺は戦場の真ん中辺りに大きい穴を掘り、そこに身包みを剥がした死体を放り込む様に言っておく。兵達も手を合わせながら、黙々と死体を運んでは捨てている。
一定量の死体が溜まると【浄炎】で燃やし、骨や灰を【粉砕】したら再び放り込む。そんな事を繰り返している時、重大な発見があった。
「殿!! 北部織田家の殿と御嫡男様がここに!!」
「なんと……これは如何するべきなのだ……。北部織田家は御嫡男どのしかおらんのだぞ。このままでは宗家である北部織田家ですら、断絶しかねんではないか!」
「ふむ……、コレはマズいのう。早めに北部織田家の家老衆と話し合わねばならん。されど、家老衆は生き残っておるのか? 場合によっては重臣の一族でさえ、討ち死にしておるやもしれぬぞ」
「父上。このままでは尾張北部の抑えが無くなり、美濃勢を押し留める事が……」
「最悪は北部織田家と南部織田家に、そなた等を入れる事になる。その覚悟だけは持っておけ。いきなりで悪いが、事は尾張全体の問題ぞ」
「オレや兄上がどちらの家に入る事になっても、手助けはしてもらえるのであろう、父上? でなければ美濃を抑える事など出来んぞ」
「分かっておる。とはいえ、おそらくは南部取り潰しとなり、宗家を信康か信光に継がせる事になるじゃろう。条件は西部を宗家とする事か。それで下らぬ争いは減る筈じゃ」
「そうですな。それにしても、こんな形で織田家の揉め事が決着するとは……。斯波家の先代様が今川に敗北してから今日まで、無駄な血が随分流れてしまいましたが、それもこれで終わりとなりましょう」
「兄上の仰る通りですな。まさかこんな形で決着が着くとは……。誰も予期していなかった事でしょう」
「それよりも死体の片づけを手伝ってくれませんかねぇ?」
西部織田家の皆さんの手が止まっているので急かす事にした。しんみりするのは後でも出来るんだから、今は死体の片づけをやれよという感じで言うと、我に返った様に動き始める。
多くの者の武具も大量に積まれているが、それは俺達が持って帰る事になった。アイテムバッグを持っている者が誰も居ないので、大量の武具を持って帰るには俺達が運ぶしかない。放っておいたら近くに住んでいる者に奪われるだけらしいし。
俺達としても運ぶ事ぐらい何の問題も無いので持って行く。今回の戦のMVPはおそらく勝家君だろう。
彼は武功を得たし、今後は柴田家の当主として、ちゃんと認められるんじゃないだろうか。どうしても子供というイメージで見られてるみたいだからなぁ。
全ての死体の片づけが終わった頃には、夕日が顔を出し始めていた。ここからどれだけ急いでも、夜になるまでにキヨカワに辿り着く事も出来ない。なので、今日はここで野営をする事になった。
死体の数が減る毎に集めた兵に半金を渡して帰していた様なので、残っている兵は200人程だ。美濃勢も逃げ帰っているので襲ってくる事は無いだろう。俺達は1番北に焼き場とカマクラを作り、夕食の準備を始める事にした。
今日は戦場だし簡単に済ませようと思い、寸胴鍋に聖水と塩と干し肉を入れる。次に甜菜の葉と茎を一口大に【分離】して寸胴鍋に入れたら煮込んでいく。
籾と糠を綺麗に【分離】したら、甜菜の葉と茎を一口大に【分離】して塩と一緒に土鍋で炊いていく。
後は魚を3枚におろして骨を【分離】し、身に残っている骨は【粉砕】して塩を振って馴染ませる。ある程度ご飯が炊けてきたら魚を焼いていこう。
魚の脂が焼ける香ばしい匂いがしてくる頃には、ご飯も炊きあがっていたので夕食を始める。
「菜っ葉飯も美味いな。良い感じでしんなりとしているけど、青臭く無いからご飯と良く合ってる。今日の魚は名前は知らないけど、随分脂がのっていて魚醤が無くても美味いぐらいだ」
「うん。野菜と一緒に炊くなんてって思ったけど、確かに合っていて美味しいね。野菜嫌いなヤツでも食べられそうなくらい美味しいよ。それに、この干し肉のスープが美味しい」
「アルドの作る干し肉は塩で固めた干し肉ではなく、旨味で固めた干し肉ですからね。アルドいわく長持ちはしないそうですが、冷凍してアイテムバッグに仕舞っていますから、1年以上は保つそうですし助かります」
「普通の干し肉でも1年も保ったりしないから、アルドの干し肉は美味しくて長持ちなのよね。もちろんアイテムバッグあっての事だけれど。それにしても美味しいわね」
「小麦と違い、具材と一緒に簡単に調理できるのが米の良いところだろう。良い匂いのする物なら米の方にも香りが移るみたいだし、色々考えられる穀物だと思う。案外、肉や魚と一緒でも良い味や香りになるのかもしれないな」
「僕は肉巻きおにぎりの様なのも好きだし、アルドが言うには、米を粉にして小麦に混ぜるともっちりするんだって。そういう使い方もあるらしいよ」
「米粉パンな。米は水分の多い食べ物でもあるんで、焼き上がりがモチモチした感じになるらしい。当たり前だけど、自分で作った事は無いから1度作ってみないと分からないけどな」
周りから視線がガンガン飛んでくるが、全てを無視して食事を終えた。俺達が食べてる物は全部自分達で用意したものである以上、文句を言わせる気も無い。食事後はさっさとカマクラ内に入り、入り口を閉じてしまう。
中に入ってゆっくりしていると、皆はダラダラと酒を飲み始めた。流石に戦場でとは思わなくもないが、既に戦闘が終わっている以上は別にいいかと思いスルーする事にした。
灰持酒と焼酎を混ぜたり、オリム酒を飲んだりしながらダラダラと会話を楽しんでいる。
まあ酔っ払ってくると、いつも通り会話が成立しなくなっていくのだが。酒飲みなんてそんなものだと思いながら、撃沈するまでディルの指導をするのがいつものパターンだ。今日もまた同じで、皆から酒を貰ったダリアとフヨウも纏めて撃沈している。
皆が寝た後、ディルを【房中術】と【鋭覚】で撃沈して寝かせる。【探知】と【空間把握】で問題の無い事を確認し、俺も寝る事にした。それじゃあ、おやすみなさい。
……夜中に目が開いた。カマクラに悪意を持つ奴が近付きつつある。それも美濃方面からだ。もしかしたら俺達に対してだけじゃないのかもしれない。まあ、とにかく近付かれる前に動こう。
カマクラの入り口を音も無く壊し、塞ぐ。次に隠密の4つの技を使ったら、神鉄の太刀を抜いてこっちから近付いていく。すると黒ずくめの一団が居たので、先頭の奴の首を斬り落として様子を見る。
怪しい連中は直ぐに立ち止まり、何やらハンドサインで合図をしている。流石に符丁が分からないので何を話しているかは分からない。しかし、慎重に一歩一歩進み始めたので、今度はそいつの首を斬り落とした。
流石にこの状況になって、自分達が狙われていると理解したらしい。ゆっくりと後ずさりしながら遠ざかろうとするが、再び先頭の奴の首を斬り落とす。
それでも悲鳴を上げないのは立派だが、我先にと逃走し始めた。俺は追い駆けながら次々と始末していき、最後の一人は足に棒手裏剣を投げて止めた。
転がった黒ずくめに対して、俺は隠密の4つの技を解除して姿を現す。足を引き摺りながら逃げようとしているが、俺は無事な方の足にも棒手裏剣を投げて足を使えなくしておく。激痛に呻いているが知った事じゃない。
他の奴等がこいつを逃がそうとしていたので、こいつが1番偉いのは分かっている。後は【白痴】を使って聞き出していくだけだ。おそらくは美濃のマムシさんが用意したんだろうけどな。
それも含めて、聞けば分かるか。
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0627終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨593枚
銀貨522枚
大銅貨167枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




