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0623




 西部さんに泊まっていけと言われたので、泊めてもらうついでに台所の使用許可を貰った。俺は既に部屋に案内されていた皆と合流し、全員で台所に向かう。既に夕方だったので、忙しそうにしている人たちの近くで準備を始める。


 鍋に竜の脂を入れて準備し、米の籾と糠を【分離】する。メルにロングスネークの唐揚げを頼み、他の皆に汁物を頼んだ。寸胴鍋に聖水を入れて塩と干し肉と野菜を出すと、台所の人達の料理が終わった様だ。俺達は入れ替わるように台所に立ち、料理を始める。


 俺は土鍋でご飯を炊いているのだが、ダリアとフヨウは暇なのか横に来てジッとご飯の炊ける様子を確認している。2匹はお腹が減ってるんだろうか? 今日は限界まで炊いているので、1つの土鍋で8合ずつ炊いている。これで満足するとは思うが……。


 ジャ~、パチパチパチ。ロングスネークの唐揚げの良い匂いがしてくると、我慢出来なくなったのか2匹はメルの方に行った。やはりお腹が空いているらしい。今日はダンジョン攻略だったから仕方ないか。そうこうしている内に汁物の方は出来上がった様だ。


 ご飯も蒸らしに入っているので、もう直ぐだ。唐揚げは時間が掛かっているが、それは量が多いからだし、途中からフォルが揚げている。どうもメルの集中力が保たなかった様で、【加熱】で火加減を調整できるフォルにバトンタッチしていた。


 フォルの方も完成した様で、大皿2つに山盛りになっている。俺達は台所の端を借りて夕食を始める事にした。



 「うんうん。蛇の肉はさっぱりしているけど、旨味は割と強いんだよ。それが噛む度に、良い感じに出てくるね」


 「ええ。竜の脂を使っている以上は美味しくて当たり前だと思いますけど、それでも様々に個性は出るんですよね。不思議な事ですが」


 「そうね。竜の脂の味のみには、不思議とならないのよ。旨味が強いにも係わらず、何故か中の肉の味はきちんと感じられる。竜は別格だと言えば終わってしまうけれど、不思議よね」


 「何を言っても”竜だから”で終わってしまうから、そういう物だと納得するしかないよ。歴史上、ここまで竜の素材を手に入れた人達は居ないんじゃないかな?」


 「そう言われれば、そうだな。生涯に一度でも食べられれば幸運とまで言われる物だ。その事をすぐに忘れてしまうのは、頻繁に食べている所為なのかもしれない」


 「仕方ないよ。美味しい物を我慢するのも何か違うし、自分達で狩った物を自分達で食べるのは普通の事だしね。たとえそれが竜でも……」



 夕食に満足していると、横からダリアが甘えてくる。何だと思ったら、おかわりが欲しいらしい。


 フヨウの分も含めておかわりを入れてやると、美味しそうに食べている。野菜分が少ないが仕方がない。甜菜の処理が終わってないので葉を食べるのはお預けだ。


 食事の後、綺麗に後片付けをする条件で台所を借りる。俺がやるのは甜菜から砂糖を搾る事だ。これには皆にも手伝って貰わなきゃいけない。


 まず始めに、夕食の汁物に使った寸胴鍋を綺麗に【浄化】する。次に甜菜の根の部分と葉の茎を切り離す。これは各自のナイフを使って貰った。根の部分は寸胴鍋に入れて、葉と茎は凍らせてアイテムバッグに収納する。


 十分に寸胴鍋に入ったら小さく【分離】し、聖水を入れて温める。ある程度の温水になったら【熟成】を使い糖分を滲み出させる。残った繊維は捨ててしまう。北海道では家畜のエサとかにするらしいが、そもそも俺は家畜を飼ってないしな。


 出来た糖液を【念動】で全て持ち上げ、小樽の上で糖分のみ【抽出】する。これで塩と同じく砂糖の結晶が落ちてくるので、砂糖の完成だ。残った糖液から蜜液を【抽出】し、それは小さな陶器製の瓶を借りて入れる。


 同じ事を何度も繰り返し、大量の砂糖と蜜液が手に入った。西部さんを呼んでもらい、陶器瓶の代金として砂糖と蜜液を少し分けたら仰天していた。俺が予想した通り、ヤシマの国でも砂糖は超高級品の様だ。まあ、サトウキビが作れる気候じゃないし当然か。


 俺は西部さんにダンジョン内で手に入れた甜菜の種と、覚えている育て方を伝え部屋へと戻る。種を持って呆然としている西部さんを残して。


 部屋に戻った俺は早速、酒の入っていた瓶を出してもらいオリムの実を処理していく。【浄化】も使って綺麗にしたら、オリムの実と砂糖と焼酎を入れて蓋をし、【熟成】を使い一気に梅酒にする。


 出来上がった物を少しコップに入れてみたら、見た事のある色になっていたので試飲してもらう。



 「うん! これは美味しいねぇ!! 本当に砂糖を作り出すなんて思わなかったけど、まさか砂糖でこんな美味しい酒が出来るなんて知らなかったよ!!」


 「あー、このお酒は良いですね。柔らかいのに強くて美味しいなんて不思議ですけど、ついつい飲み過ぎてしまいそうな気もします」


 「でも、アレね。このお酒には干し肉は合わないわ。どんな物を食べるのが良いのかしら? 色々悩んでしまうけれど、海産物かしらね」


 「ああ、焼きながらって事だね? それも良いかもしれない。この部屋にも囲炉裏は付いているし、ちょっと借りて焼いてみようか?」



 皆がそんな話をしている最中、俺は蜜液を乾燥させて甜菜糖を作っていた。いわゆる茶色い砂糖の事だ。これは料理に使うので、これも余っている樽に入れて保存する。大橋さんの所に行って、いくつか甕とか買った方がいいかな?。


 皆に言われるままに魚や貝を出し、適当に【分離】し骨を【粉砕】して渡す。魚醤を薄めた物も出しておいて、後は酔っ払いに全て任せて放っておく。俺は皆が採ってきたアルダでシードルを作らなきゃならないんで、相手をしていられない。


 ディルも酔っ払いから逃げてきて、俺のシードル作りをアルダを食べながら見ている。ダリアやフヨウは、早速梅酒ならぬオリム酒を貰って飲んでいるが既に怪しい。


 思っているよりもアルコール度数は高いんだが、口当たりの柔らかさで騙されているんだろう。


 それでも飲むのを止めないのはどうなんだ? と思うが、初めての酒でペースが分からないんだろう。いつもは大人しく飲んでいるのに、今日に限っては早くも……撃沈した様だ。フヨウもダラーっとしているので、こっちも撃沈したらしい。


 加熱機を使っているので風邪をひいたりはしないだろうが、あのまま囲炉裏の近くに居させてやろう。シードル作りが終わっていないので、誰も俺を連れて行こうとはしない。それが良いやら悪いやら、何と言っていいか分からない。


 やっと全員分のシードルを作り終わったと思ったら、既に全員が眠っていた。布団は既に敷いていたが、全員が布団に入って寝てるとは……。


 あーあー。囲炉裏に置いた焼き網の上に、黒コゲになった物体が乗ったままじゃないか。コレ魚か? とりあえず【分離】して、焼き網を【浄化】する。


 囲炉裏の灰の中に落ちたソレを【粉砕】し、後は放っておく事にした。聖水を白湯にして飲みながらボーっとしていると、なんだか不思議な気分になった。未だに囲炉裏の中で炭が燃えているからかもしれない。良い気分のまま今日は眠れそうだ。


 今日も一日お疲れ様でした。



 <異世界260日目>



 おはようございます。ダンジョンは昨日で攻略を終えましたので、今日はどうするかの予定が決まっていません。ゆっくりしても良いし、皆の訓練をしても良い。皆が起きてから決めるか。まずは加熱機の魔石を交換しておこう。



 「おはよう。ダリア、フヨウ」


 「ニャー」 「………」



 囲炉裏に炭を入れて熱していたらダリアとフヨウが起きてきた。今日は早いなと思いながら、鍋で麦茶を淹れてコップに入れる。2匹の水皿にも入れてやるとゆっくりと飲み始めた。


 2匹と一緒に言葉の無い時間を過ごすのも良いもんだ。そう思いながら、ゆったりとした時間を過ごしていたが長くは続かない様だ。



 「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」


 「おはよう、皆」 「ニャ」 「………」



 今日も一日が始まる。不思議と皆が起きてくると、そう感じる様になったな。



 ▽▽▽▽▽


 0623終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨593枚

 銀貨525枚

 大銅貨167枚

 銅貨64枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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