0621
鍋と蒸篭を取り出して残っている饅頭を蒸していき、雑談しながら今日の予定を話す。
とはいえ、ダンジョンに行く事は決まっているので、どう攻略するかという話し合いだ。特に洞窟の地形だが、アレが3層続く筈なので気を付けなければいけない。
俺達なら遭難する事はないが、余計な時間を使うと攻略に影響が出かねない。成るべく迅速に攻略したいが、そう上手くはいかないのが洞窟だ。
広く薄く【空間把握】を使って、出来る限り早く正解ルートを特定するしかない。俺でさえ、それぐらいしか攻略方法が無いのが洞窟という厄介な地形だ。
饅頭が蒸しあがったので早速食べているが、1人に2個は無いので俺とフォルは1個で済ませている。代わりにスープを多めに作ったので、それで調整した感じだ。
久しぶりの干し肉を使ったスープだが、皆も満足している様で良かった。塩ぐらいしか使ってないので優しい味なんだが、旨味は強いので美味しい。
朝食後、後片付けをして出発する。今日は一日ダンジョンだろうから気合い入れて進まないとな。そう決意していると直ぐに到着したので、早速ダンジョンへと入る。
1層から14層まで一気に進み、西の転移紋へ進みながらもスマッシュボーアとウインドディアーを探す。
【探知】と【空間把握】を使って探し教えると、一気に接近して首を刈っている。倒した獲物を持ってくるので、【念動】と【抽出】と【冷却】を使い血抜きをしていく。
【浄化】を最後にもう一度行い、後はそれぞれのアイテムバッグに仕舞っている。それなりに集まったころ、ようやく17層への転移紋の側に進む。
1人につきスマッシュボーア2頭と、ウィンドディアー2頭は多かったんじゃないかな? それなりに時間掛かったけど、攻略に支障が出てなきゃいいんだが……。
1頭のスマッシュボーアは昼食になった。3つの土鍋でご飯を炊き、スマッシュボーアの肉をブロック単位で豪快に焼いていく。
【加熱】を使って中から焼いているので、長い時間が掛かる訳ではない。焼けたブロック肉を切り分けながら食べているが、たまには豪快な料理も良いな。
十分に満足する昼食が終わった後、後片付けを終わらせて少しゆっくりとする。次は洞窟の地形だから気合いを入れないといけない。
その前にリラックスして落ち着いておかないと……。さて準備は出来た、横にある転移紋から17層へと進もう。
17層の転移紋は多分だけど北西だろうから、そちらの方角へと進んで行く。アバウトに進みながら転移紋を探し、逆算して正解ルートを見つける。
そうやって行……もうあったぞ! これって向こう側から回って来なきゃいけないタイプじゃないのか!? ここが、こうで……ああなって、ってアレ? ……ああ、成る程。フェイクか。
なんと、この層は回り道すると失敗する層だった。真っ直ぐとは言わないが、それに近いルートで先に進む事が出来る。なので、さっさと転移紋に行き18層に進む。この調子でサクサクと行きたいもんだ。
18層に到着して直ぐに転移紋を発見したが、北から大回りするルートだった。それでも正解ルートが分かっているので、コウモリなどを魔法で始末しながら進み、転移紋で19層へ。
19層は到着した部屋の隣に転移紋があった。影と曲がった道の所為で、非常に見え難くなっている隠し部屋の様な場所になっている。
最初に間違えたら延々と彷徨う羽目になる所だったので、久しぶりに皆の背筋が寒くなってしまった。20層へと進み光が止むと、平原の地形が見える。
北へと進んでいき転移紋を探していると、何故か大根と甜菜を見つけた。よく分からないものの、移動しながら【念動】で収穫していく。
この層の魔物はミノタウロスとケンタウロスだったが、食べる気にもならないので全て燃やしている。20~22層の間で、結構な数の大根と甜菜を確保できた。
特に甜菜の量が非常に多く、花が散った後の物もあったのがちょっと気に掛かる。もしかして外で栽培させようとしてる?。
まあ、枝から種を取り外せばいいだけなので、西部さんに渡しておけばいいだろう。しかし、大根と砂糖大根ってネタで用意したんだろうか? ダンジョンに聞いてみたいような、聞きたくないような……。
甜菜の種は枝にイボイボみたいに付いているんだが、昔ネットで見た事が無かったら見逃すところだ。ラノベなんかで甜菜が扱われたりするので調べた事があるんだよ。
実は俺が生きていた時代でも普通に砂糖の原材料として使われていて、凄く驚いた事を今でも思い出せる。日本の砂糖生産量の多くは甜菜であって、サトウキビじゃないんだよ。
帰ってから砂糖を採る事になるだろうが、どれくらい採れるかね? 古い時代の甜菜は1パーセントしかショ糖を含んでいないらしいが、品種改良で20パーセントぐらいまで増えたそうだ。
この甜菜がどれぐらいの糖分を溜め込んでいるかで価値が大きく変わる。ヤシマの国でも砂糖は売ってなかったからな。
そんな事を考えていたが、意識を切り替えて23層へと進む。光が止んだ後に見えたのは、荒地というか岩場だった。そして敵は1頭しかいない。しかもアレは王角竜だ。
前の異常な強さの奴よりは小さいが、それでも非常に強そうな角であり、硬そうな皮膚をしている。
「ここの竜は王角竜だ! 散開!! 突撃してくるぞ!!」
「「「「「「了解!!」」」」」」 「ニャー!!」 「………」
ドドドッ、ドドドッ、ドドドッ……という音と共に地響きが鳴り、地面が揺れる。俺は王角竜の正面に立ち、身体強化を全力で行いながら待ち受ける。
王角竜が角で突き上げようと屈んだ瞬間、横に跳んで回避し、一気に飛び込んで右後ろ足を切断する。刃の長さから3分の2しか切れなかったが、自重で千切れたので良しとした。
「グギャーーーーーッ!!!!」
足が千切れたからか、吹き飛ぶんじゃないかと思うほどの強烈な声で悲鳴を上げる竜。それにも怯まず一気呵成に攻撃を叩き込むメンバー。
結局、その後は苦戦も何もせず、首を斬り落として終わった。今は王角竜の血抜きと解体をしているが、皆には俺が指定した場所に行ってもらっている。
ここにはアイテムポーチ4つと小型のアイテムバッグ、それと魔道具が1つある。魔力の流れで【探知】に反応がある為、すぐに分かった。皆にはそれを取りに行ってもらったんだが、地形に苦戦しているらしい。
岩場なので小さいと見つけ辛いのか、何度か戻って聞きにきた。魔力の流れを調べれば簡単に見つけられるんだがな。
それでも解体が終わる頃には全て回収し終わっていた。ちなみに魔道具は、【清潔】が誰でも使えるという魔道具だ。板状の物で、体のどこかが触れていれば【清潔】が発動できる。
指定は肉体と手に持っている物なので、それなりに使い勝手は良い物だ。【聖潔】では無いので体内の病原菌には作用しないが、それでも病気になる確率は減らせるだろう。
使用者本人の魔力を使うタイプなので、魔石を必要としないという一点だけで非常に優秀な魔道具ではある。
意図的に魔神が放り込んだのか、ヤシマの国の人に手に入れさせようとしたのかは分からないな。日本も古くは麻疹や天然痘が何度も流行してるし、清潔にしていれば感染せずに助かる事もある。
そういう事を考えると、ヤシマの国の人に与える為に放り込んだ可能性もある。でも在ったのは竜のいる層だし、それは無いか。……さて解体も収納も終わったし、さっさと帰ろう。
ダンジョンを脱出すると、そこには西部さんが居た。護衛は多少居るが、勝家君や林さんは居ないみたいだ。何かあったのかね?。
「おお、そなた等戻ってきたか! ダンジョンに行くとは聞いておったが、なかなか出てこんで困っておったのだ。そなた等には、ちょっとツシマの屋敷に来てもらいたい」
「はあ……まあ、構いませんけど。勝家君や林さんはどうしたんです? 2人は護衛か何かでしょう?」
「勝家はともかく秀貞は家老じゃよ。当主付きの者じゃからな、愚息に家を譲った訳じゃからアヤツに付いておるよ。まあ、ツシマに行きながら色々話すとしようかの」
そう話す西部さんは馬に乗り、俺達はその横で歩いて移動する。馬に乗っていても、護衛が歩きなので意味が無い気がするのは俺だけか? そう思うも、馬の維持にかなりの金が掛かるので仕方ないんだろう。
▽▽▽▽▽
0621終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨593枚
銀貨525枚
大銅貨167枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




