0618
温泉地に着くと、何やら人が入り口に屯していた。何かと思ったら、大工さん達だったらしい。慌てて周りの土で橋を作り、渡って貰った後に潰す。何故橋を壊すのか聞かれたので、堀にしておかないと魔物が入ってくると言うと納得していた。
温泉の湧き出ているポンプの前に、俺達が使ってるのと同じ浴槽と屋根を作っておく。次に、浴槽の近くに扉付きのカマクラを3つ作り、大工の寝床とする。後は焼き場を作って、持っていた唯の鉄で焼き網を作って置いておけば終わりだ。
近くに少し盛り上げた場所を作り、屋根を取り付けて木材を全て出す。一部を薪にして使っていい事を伝えておいて、即席で土鍋を6つ作る。
温泉から離れた所に井戸を掘って水を確保したら、ようやく受け入れ準備の完了だ。大工を受け入れるのに自分基準で物事を考えていた。
上手く水を確保出来て良かったよ。米に関しては持ち出しだけど、1俵置いてきた。大工達も食べる物なんかは支給されるらしいけど、米が食えるとは思わなかったと喜んでいる。
箸や椀は自分達で適当に作るから気にするなと言われたので、自分達の家の場所へと戻った。
もう夕暮れになってしまったので鍋と蒸篭を取り出し、朝の残りの饅頭を蒸していく。皆も分かっているので何も言わなかったのと、メルが饅頭を蒸す代わりに濁酒を灰持酒と焼酎にする事で納得してもらった。
灰持酒はともかく、焼酎はアルコール濃度を上げた単なる蒸留酒だ。濁酒から作っているので米焼酎に分類されるのかな? 酒には詳しくないが、そんなところだろうと思う。
ただし、俺が作る焼酎は濁酒の風味を残す事も出来るので困った。普通は蒸留を繰り返すので風味は残らない筈なのだが、俺の場合は意図的に残す事が可能なんだ。コレをどうするべきか……。
酒を飲む皆に聞くと、残っていないのが本来の物なら残さなくて良いとの事だった。なので風味も無い普通の焼酎を造った。
まあ、後で梅を漬け込むなり色々出来るので、風味が無い方が使い勝手はいいと思う。それを説明すると、果実を漬け込む果実酒だと理解したのか考え込んだ。
俺は確認もしていなかったが、ダンジョンの森にアルダとオリムが生えていたらしい。オリム? と思ったが、聞いてみると梅の実らしい。
俺が前に説明した梅干しや梅酒の事を覚えていたらしく、森で偶然オリムを見つけたそうだ。まあ、梅干しを作るには紫蘇が足りないし、わざわざ作る気も無いのだが、梅酒はなぁ……。
砂糖をどうするかという事を考えなきゃいけないが、最悪は砂糖無しで作れば良いだろう。絶対に砂糖が無ければ作れないという訳ではないし、無理矢理に糖分を抽出して結晶化させて作れなくもない。
とはいえ、この時代的には色々マズいやり方ではあるので、出来ればやりたくはない方法だ。
そういえば大陸の西側は3世紀~5世紀ぐらいなのに、ヤシマの国は戦国時代に近いんだよな。戦国って16世紀だろ? とは思うが、文化的や技術的にはそんなに発展してないんだよな。
江戸時代辺りになって、ようやく色々なものが発展していくのであって、戦国なら大して変わらないか。
皆は結構な量の酒を買っていたので、その分の灰持酒を作るのに時間が掛かった。焼酎だと、アルコール分を抽出するので量を減らせるし、何も必要無い。
それに比べて灰持酒は、灰を必要とするので時間が掛かったんだ。ある程度の灰は使い回したが、それでも時間はかかる。饅頭を食いながら頑張ったよ。
やっとゆっくり出来ると思ったら、大工の連中が酒を欲しがってこっちに来た。面倒だったので、余っている濾過しただけの濁酒を渡すと喜んで戻っていった。
やれやれと思いながら浴槽の所へ行くと、既に女性陣が入っていたので見張りをする事にした。大工もおかしな事はしないと思うが、何があるか分からないしな。
何もなく皆も上がってきたので、今度は俺が入る。広い浴槽でゆっくりしていると、ダリアとフヨウが入ってきた。君達さっきも入ってなかったか? と思うものの、温泉に何度も入るって普通の事かと思い直す。
大工連中の歌が聞こえてくるのが、現在微妙な気分になってる原因だ。アイツ等もしかして、酒を飲みながら風呂に入ってるんじゃないだろうな? 死んでも知らんぞ。思っているよりも危険なんだが、唄を歌って良い気分な奴等には通じないだろう。
浴槽から上がり体を乾かしたら、カマクラの中へと入る。皆はとっくの昔にカマクラ内で酒を飲んでいた。どうも灰持酒に焼酎を混ぜているらしい。何をやってるんだ、何を。強い酒が手に入らないと思ってた? いや、濁酒も弱いわけじゃないだろ?。
どうやら女性陣いわく、ブランデーやウイスキーの様な酒は、ヤシマの国にいる限り手に入らないと思っていたらしい。
そんな事は無いし、最悪でっちあげる事も可能なんだが……。結局のところ大麦から作ればいいだけで、エールやビールから作って濃縮させれば終わる話だ。
それを聞いた女性陣は何故か安堵していた。ダリアとフヨウは酒を貰って飲んでいたが、風呂上りで酔いが回ったのだろう既に眠りかけている。
ああ、どうやら撃沈したみたいだ。フヨウはともかく、ダリアは酒の入った水皿に顔を突っ込むところだった。
カマクラの隅に2匹を寄せると、久しぶりに全員が襲い掛かってきたので【房中術】と【極幸】と【至天】でキメてさっさと寝かせる。
【探知】と【空間把握】を使っても、大工連中がおかしな事をする気配は無い。おそらく大丈夫だろうと思うので、俺も寝るとするか。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界258日目>
おはようございます。大工の連中が来ているので、今日からダンジョンで木を伐って来なければいけません。どれぐらい必要になるんだろうな? ウチのメンバー全員で1日か2日ダンジョンで伐ってくれば足りると思うんだが……。
アイテムバッグに詰められるだけ詰めてきて、ついでにアルダとオリムも集めて来よう。そろそろ熊のきぐるみを来て外に出るか。
俺は入り口を崩して外に出て、再び入り口を作って閉める。防犯上、1番良いのは入り口が無い事だ。故に今もこうしている。
まずは朝食の前に、斧を全員分作っておこう。柄は大海竜の骨で、刃は大海竜の牙で作る。伐採斧なので、武器としての使い勝手は考えなくていい。その点は楽ではあるんだが、木を伐る為の切れ味と耐久力は気にしなきゃいけない。
これで、終わりっと。結局、朝食までに誰も起きて来なかったな。今日の朝食は皆が作る筈だったんだが、まあいいか。土鍋3つを使いご飯を炊きながら、寸胴鍋に聖水と貝類と野菜を入れて煮込む。十分に煮込み終わったら、最後に魚醤を入れて出来上がり。
次にアイテムバッグに入れたままのアーマーベアとブラックベアとロングスネークを解体し、肉は全て凍らせる。
完全に浄化していたので内臓も腐ってはいなかったのだが、危険な気がしたので穴を掘って【浄炎】で焼いてから埋めた。ロングスネークの肉を一口大に【分離】して竜の脂で揚げていく。
今日は蛇の唐揚げだが、蛇肉って淡白な味だから揚げ物にして丁度良いくらいなんだよな。揚げ物のジュ~という音や、パチパチパチパチという音が食欲をそそるのは何故だろう? そんな下らない事を考えながら蛇肉を揚げていると、皆が起きてきた。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「………」
「今日の朝は唐揚げかい? これは……モグモグ……うん、蛇の肉だね。淡白だけど身がしっかりしてるし、ちょっと硬いからロングスネークの肉だって直ぐに分かるよ。とはいえ、竜の脂で揚げると美味しいねぇ」
「ダナ、行儀が悪いですよ? 土鍋のご飯は炊けている様ですから、私達も朝食の準備ぐらいは手伝いましょう。ただでさえ遅れたんですから」
「今日の朝食は私達が作る筈だったのに、結局起きられなかったしね。準備くらい、さっさと済ませましょう」
皆が準備を手伝ってくれたので、直ぐに朝食の準備は終わった。朝食の為に結構な量の唐揚げを作ったんだが、全部食われそうな勢いだな。
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0618終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨593枚
銀貨525枚
大銅貨167枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




