0617
昼食後、見る物も無くなったのでアツタを出てダンジョンへと戻る。味噌はまだ2キロほど残っているので問題ない。野菜は買ったし、減っていた分の米は補充した。まあ、それ以前にダンジョンで手に入れた米が大量にあるんだけどね。
ダンジョン前に辿り着くと、何故か結構な数の武士が居る。こいつらいったい何をしてるんだと思うも、その中から織田家3兄弟が出てきた。今回は長兄の信秀さんまで居るらしい。
「おお、そなた等ちょうど来てくれたか。ダンジョンに来たものの、そなた等がおらんので困っておったのだ。私や信光が案内してもよいのだが、あまり詳しくはないからな」
「うむ。兄上に間違った事を伝える訳にもいかんからな。そなた等が戻って来んかと思っておったら、丁度良いところに戻ってきてくれたわ」
「すまぬが、そなた等に案内を頼みたい。ワシ等で中に入っても良いのだが、良く知っておる者が居ると助かるのでな」
「まあ、構いませんけどね。ただ、足を引っ張るのは勘弁して下さい。ダンジョンの中は殺し合いです。外に居る普通の魔物と違い、ダンジョンモンスターは殺意しか持っていません。何があろうと関係無く、こっちを殺しにきますので注意して下さい」
「分かっておる。弟達にも注意はされたのでな。このダンジョンとやらの中の者は、執拗にこちらを殺しに来るうえ、死兵と何も変わらぬとな。死兵相手に舐めてかかる阿呆は死ねばよい。そのような輩は戦場でも役に立たぬ」
役に立たぬと信秀さんが言った瞬間、場がピリっとしたな。覇王じゃないけど、覇王の父親だけはあるよ本当に。それはともかくとして、案内を頼まれた以上はダンジョン内を案内しないとな。俺達は迷宮紋から中へと入る。
光が止んで確認するも、中の構造は変化していないらしい。しっかし、ここに居る全員が革鎧を着ている事に笑う。
どうやら信康さんと信光さんは、音を鳴らす危険を正しく報告した様だ。本当ならアーマーベアの革を使った革鎧ぐらいを着けてほしいんだが、流石に高望みしすぎか。
信秀さんは当主になったらしいし、信定さんはどうするのかね? まさか、本当に温泉地に屋敷を作って引っ越すのだろうか? 別に良いと言えば良いんだけど、温泉の取り合いはしたくないなぁ……。
「ほぉ、ここがダンジョンとやらか。確かにまったく違うな。外に比べて随分暖かいし、草が生い茂っておる。水の季節はただでさえ食う物が無いというのに、ここには普通に食う物があるのか」
「雑草粥か……。水の季節でも野菜は作れる様になったが、それはここ最近の話だ。それに、野菜を売って雑穀を買わねば飢えかねん。民の暮らしがもう少しマシになれば良いのだが……」
「まあ、ここで手に入るのだから、今までよりはマシになろう? 兄上も、もう少し物事を良い様に考えた方がいいと思うぞ?」
「信光よ、お前は楽観に過ぎると思うがな。とはいえ悲観的に考えても意味は無いか……」
周りの護衛がダンジョンモンスターに襲われているが、勝家君と同じ事をしてる。小さい魔物相手に大きな槍を振り回してどうするよ? 3メートル超えの槍を振り回されても邪魔なだけなんだがなー。脇差抜けよ、さっさと。
「ウサギ相手に槍を振り回す阿呆がおるか! さっさと脇差を抜いて始末せい!!」
あーあ、信秀さんに怒られたよ。普通に考えれば分かるだろうに、何で持っている武器に拘るかね。……うん? もしかして戦闘中に武器を手放したりって普通はしないのか? いや、戦場でもそういう事はある筈だよな。単に鈍いだけか。
平原を北に行き、1層、2層と突破する。次に荒地を北東に行き、3層、4層と進んで行く。5層、6層の山を東に行き、7層、8層の森を南東に移動して行く。9層、10層の沼地を南に行くと、11層は草原だった。
「本当に、次から次へと変わってゆく場所だ。沼かと思ったら次が草原など、話に聞くだけなら頭のおかしい奴の戯言にしか聞こえんであろう。目の前で見ておっても信じ辛い事ぞ」
「しかし草原とは……先程の沼地では戦う事もまともに出来ませなんだが、ここならば我等も」
「アレはなんだ?」
信康さんが見ている先には、普通の牛の2倍ほどの大きさもある角の大きな牛が居た。正直に言うと、こっちを既にロックオンしていて、荒い鼻息を吐きながら地面を足で掻いている。これから突っ込む気マンマンですね。分かります。
「アレはビッグホーンカウだね。ビッグカウは体が大きいだけなんだけど、ビッグホーンカウは角も大きいのさ。乳も肉も美味い魔物なんだけど、ダンジョンモンスターだから乳を搾るのは無理だね」
「アレの乳はなかなかに濃厚で美味なのですが、勿体ないですけど仕方ありません。ダンジョンモンスターは侵入者を敵とする死兵ですからね。乳を搾る余裕はありませんか……」
ダダッダダッダダッ! という音と共にビッグホーンカウが走ってくるのに、呑気に会話をしている2人。
それとは対照的に、逃げ腰の織田家組がちょっと面白い。そんな事を考える余裕があるくらいには、俺達にとって敵にもならない相手だ。とはいえ、乳は勿体ないので頂くが。
俺はビッグホーンカウを【念動】で浮かせて、無理矢理動けなくして乳を搾ってゆく。下に樽を置いて入れていくのだが、【念動】で強制的に搾っているからか凄く速い。乳がビュービュー出続けていると言えば分かりやすいだろうか? そんな感じで搾っていく。
搾っていくと段々と弱り始めたが、俺の知った事ではない。ただしダンジョンモンスターだからか、乳自体が結構な邪気に汚染されている。
まあダンジョンモンスターの体の中にある物なので仕方がないとは言えるし、肉と同じ様に浄化してしまえば済む事だ。
絞りきった後で乳を浄化したらアイテムバッグに仕舞う。その後で首を落とし、逆さ吊りにして血を【抽出】する。生きている間は錬金術が効かないので、乳を【抽出】する事は出来ない。その為、搾るのに【念動】を使ったんだが、もうちょっと良い方法ないかな?。
ビッグホーンカウの死体をアイテムバッグに収納したら進むのだが、織田家組の護衛達がバケモノを見る様な目で見てくる。
正直に言って面倒臭いと思っていたら、信秀さんがアッサリ俺達の事を不老長寿だと説明した。その事自体はどうでもいいのだが、それを聞いてから畏れ敬う態度に変わったのが何とも言えないな。
とにかく、この層では護衛が戦えないとの事で脱出する事になった。沼地でも戦えてはいなかったが、あれは沼地と言う特殊な環境での事だと思っていたらしい。
自力で越えられなければ意味が無いとは言っておいたが、理解してないっぽいな。そもそも次は一緒になんて行かないぞ?。
そう言うと護衛達は固まってしまった。当たり前だろう、自分達で1層、1層、攻略していくんだよ。それが迷宮攻略ってもんだ。
本来なら地図を描いて、ダンジョンモンスターの情報も集めて、素材の分布も記して、そうやってダンジョンそのものに慣れていくんだよ。
地道に攻略しない奴はどこかで死ぬ。特に強いモンスターか厄介な地形に殺されて終わりを迎える。大陸の西では傭兵ギルドがあるにも関わらず、毎年多くの者がダンジョンで死んでいくんだ。
そう言うと顔を真っ青にしている奴と、鼻で笑ってる奴に分かれた。当然の事だけど、鼻で笑ってる奴が死んで行く奴だ。
ダンジョンの中では護衛達が主に戦っていたが、誰もモンスターを持って帰ろうとしなかったので、全て【浄炎】で燃やしてきた。
なので今回はビッグホーンカウぐらいしか戦利品がない。案内する為に金属とか米とかを無視した所為だ。今度はじっくりと俺達だけで攻略しようかね。
外に出ると夕方前だったので、急いで織田家組は帰っていった。西部城はそこまで遠い訳ではないが、それでも距離はあるので早めに帰りたいらしい。織田家の面々を見送った俺達は、ゆっくりと温泉地に帰る事にした。
向こうに着いたら夕食の準備をするか。
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0617終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨593枚
銀貨525枚
大銅貨167枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




