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0610




 「塩に強い銅か……使い道としては、やはり塩作りぐらいしか思いつかんの。他になんぞあるかもしれんが、思いつかんのでは意味が無い。それに、塩作りもあまり上手くはいっておらんのだ。雨なんぞ降ったら終わりだからの」


 「まあ、そこに関しては仕方がないのでは? 俺も流下式塩田ぐらいまでしか良い方法を知りませんし、あれも天候に左右されますからね」


 「なんじゃ、それは?」



 俺は流下式塩田について西部さんに話す。流下式塩田とは、竹箒の様な<支条架>と呼ばれる物に、海水を掛けて乾燥させる方法だ。本当はポンプとか使うらしいのだが、俺が子供の頃に動画で見たのは全て人力の物だった。


 とはいえ、今よりも塩の生産量は増えるだろう。西部さんに聞くと、未だにヤシマの国では揚浜式塩田らしい。


 揚浜式塩田とは古い方法で、砂の上に海水を撒いて乾燥を繰り返し、塩の混じった砂と海水を混ぜて濾過した後に、釜で炊いて塩を作る方法だ。その後、入浜式塩田、流下式塩田と進歩していく事になる。


 入浜式塩田や流下式塩田は、それほど技術を必要としないので職人を育成する必要が無い。やり方さえ知っていれば簡単に塩を作れる。


 もっと簡単な方法はあるんだろうが、俺自身が詳しくないので何とも言えない。もし塩作りをするのなら、隠せる所でやった方が良い事は伝えておく。



 「それは当然じゃ。とはいえ、一時凌ぎにしかならんじゃろうがの。銭でも掴まされれば、簡単に喋るのが人というものよ」


 「だったらトコナメの者達に、配下に加わる代わりにやらせたらいいのでは? 恩を売る様に教えて塩を買い取れば、仮に裏切られても問題は無いと思いますよ。裏切って漏らせば、自分達の作った塩が安くでしか売れなくなるんですからね」


 「……ふむ、案外上手くいくかもしれんな。トコナメには焼き物があるが、昨今は木を伐る余裕が無いそうじゃからの。昔は禿山にするのではと思うほど木を伐っておったらしいが、ある時から獣に襲われる様になったらしく。今では碌に焼き物用の木が手に入らんとも聞く」


 「だったらカニガワの南に港でも作ったらいいのでは? ダンジョンからは幾らでも木が手に入りますし、確かトコナメの者って海賊もしてるんですよね? 木を買ってくれるお得意様になってくれるかも……」


 「うむ。それに、あそこに我が西部織田家の港が出来るのは良いな。そなたに頼めば、良き港も作ってくれそうじゃしの」


 「まあ、構いませんけど……それより、戦の報酬である俺達の身分の保証。どうするかは知りませんけど、お願いしますよ?」


 「心配致すな。既に左兵衛介様に文を送っておる。紅衆である左兵衛介様からのお墨付きを貰えば、少なくとも尾張でそなた等に文句を言うものは出んよ。斯波家の名は地に落ちたとはいえ、今もって軽くはないからの。坂井も愚かな事をしたものよ、立場が急速に悪くなっておる」


 「坂井甚一朗とかいう人ですか? 勝家君から聞きましたけど、随分好き勝手してるらしいですね」


 「坂井家はそれなりに力のある家じゃからな。そのうえ、奴の家は婚姻で色々な家と関わりがあるからの。その者共も味方をしておった様だが、今では顔を真っ青にしておるのではないか? 南部の殿は子がおらぬ。娘がおったが流行り病で亡くなっての、それ以降は完全に生きる力を失われてしもうた」


 「気持ちは分かりますけど、それでは家臣は困るでしょう。……ああ、だから坂井が好き勝手をし始めたんですね?」


 「そういう事じゃ。今回の事で南部の殿も目を覚まして下さればよいがの。とはいえ、己で家を終わらせる訳にもいかぬじゃろうし、難しいとしか言えんわ。こちらと争うという事はあるまい。既に力の差は明確じゃ」



 その後も細々とした話をしたら、夕方になってしまっていた。俺は西部さんに断って、台所を使わせてもらう事にした。


 何故かついでに屋敷の者の飯も頼まれたが、台所の物は使っていいそうなので了承して皆で向かう。大きな屋敷の台所とはいえ、平氏の屋敷と然程変わらないものだった。


 いや、平氏の屋敷と変わらないっていうのは、それはそれで凄い事なのか。平氏と織田氏の分家じゃ家格が違いすぎるからなぁ、少なくとも台所が同じって時点で凄いか。


 おおっ! デカいお釜発見! 1升炊きの釜か? 動画とかでしか見た事が無いけど、マジでデカイな! ああいうのって羽釜って言うんだっけ? この時代にある物なのか。まあ、ここはヤシマの国だし別にいいか。


 それよりも台所に皆を呼んだのは餃子を作る為だ。もちろん台所の料理番にも手伝って貰う。まずは小麦を【分離】して胚乳のみにする。


 次に胚乳を【破砕】した後に【粉砕】して、真っ白で上質な小麦粉を作っていく。まだまだ作るが、皆には聖水を渡して生地を練ってもらう。


 台所の者達にも手伝って貰い、どんどんと練っている間に俺は買ってきた野菜と猪肉を細かくして混ぜ合わせていく。


 生地が出来たら【熟成】を使った後、小さく【分離】して薄い円状に【変形】する。皆には、生地作りが終わった者から包んでいく工程に移ってもらった。


 台所の者達も見よう見まねで包んでくれたが、ハミ出なければ良いんだ。ヒダを作る餃子はそもそも皆には教えていないので、素早くどんどん量産してもらう。その間に俺は小麦の余った部分を全て燃やして灰にしてしまい、その灰を小瓶に詰めておく。


 餃子を包み終わったらフライパンを出して焼こうと思ったが、数が多すぎるので茹でる事にした。鍋に聖水を入れて沸騰させたら、餃子を投入して茹でていく。


 台所の者達には焼く方法を<焼き餃子>、茹でる方を<水餃子>と言うのだと説明しておく。こちらだと汁物に入れて楽しむ事もできる。いわゆるスープ餃子だ。


 俺はその横で魚醤に聖水と米酢を混ぜて、丁度良い塩梅のタレを作っていた。サラダ油というか、常温で固形化しない油を持っていないので、ラー油が作れないんだよな。


 故にポン酢のようなタレしか作れないんだが、知らない人にとってみればコレで十分かな? 皆に味見をしてもらおう。1人1個な。


 台所の者達含めて「美味しい」と言っていたので、お世辞でなければ問題ないだろう。茹で上がった物を皿に乗せて、つけダレと共に持って行って貰う。


 自分達の分や他の人達の分も作り終えていないので、俺達はまだ食べられない。とにかく、どんどん茹でていこう。


 ……やっと全て茹で終わったので食べようか。いただきます。



 「うん。このまま食べても美味しいし、このつけダレで食べても美味しいね。温かいし、なんと言っても皮がモチモチなのが良い。お酒にも合うし堪らないよ」


 「この濁酒と言いましたか、このお酒も口当たりが軽くて飲みやすいので悪くはありませんね。元々は米が入ったままのを飲むそうですが、アルドが取り去ってくれたので凄く飲みやすいですよ」


 「そうね。さっき元の濁酒を飲ませて貰ったけど、結構飲み難かったわね。似た様なお酒の事は聞いた事があったけど、飲んだのは今回が初めてよ」


 「昔は似た様なお酒があったのは知っているけど、私がお酒を飲むようになったのは随分経ってからだからね。話に聞いた事があるだけで、私も飲んだ事は無いよ」


 「私の故郷、里だと似た様な酒はあった筈だ。それぞれの家で勝手に作っていた酒だった筈だが、生憎私も飲んだ事が無い。あんまり美味しい物では無いとも聞いたが……」


 「実際、美味しくないんじゃないかな。僕が元いた<黒蛇>でも勝手にお酒を作ってたのは居たけど、美味しい物じゃなくて酔えればいいって言ってたよ。僕は飲んだ事は無いけど」



 台所の者達も美味しそうに食べているし、ダリアも美味しそうに食べているな。ダリアは物によっては食べ難い物もあるんだが、餃子は食べやすくて楽そうだ。ちょこちょこタレにつけて食べてるけど、そっちも美味しそうに食べている。


 今回の餃子は、成功と言って良いだろう。



 ▽▽▽▽▽


 0610終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨596枚

 銀貨525枚

 大銅貨176枚

 銅貨64枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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