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0608




 「初めまして、私は大橋重長と言います。ツシマで商人をしておりまして、何か御用があれば申して下さい」


 「大橋殿はツシマを纏めておられる御仁で、殿の覚えも大変めでたい方だ。我が家も世話になっている」


 「俺の名はアルドゥラムと言います。周りからはアルドと呼ばれてますので、そう呼んで下さい。それよりも話があるのでしたら、昼食の準備をしながらでもいいですか?」


 「ええ、どうぞどうぞ」



 獲ってきた猪を【念動】で浮かせたまま【分離】を使って解体する。解体は直ぐに終わり、必要の無い部位を凍らせてアイテムバッグに仕舞う。


 まずは腸をかす肉にする作業だが、これはダナとアルメアに頼んだ。既に血合いなどは【分離】してあるので、鍋に呼び水を入れて揚げるだけでいい。


 次に肉を切り分けるのはディルとフォルに任せ、俺は寸胴鍋に聖水を入れて骨から旨味を【抽出】する。十分に抽出出来たら小麦粉を作りそれに混ぜる。


 野菜を切り分けて入れ、自然薯をすり鉢でとろろにしたら投入する。後はざっくり混ぜたらタネの出来上がりだ。


 猪肉を【熟成】し薄切りにしたのと短冊切りにしたのを作り、短冊切りの方は混ぜてしまう。後は鉄板を出して猪油を少し貰って引いたら、薄切り肉を熱した鉄板に置いて、その上にタネを乗せる。


 皆も思い出したと思うが、俺が焼いているのはお好み焼きだ。今ある材料で適当に作っているが、俺的には十分お好み焼きだと思う。


 大きな鉄板なので1度に6枚も焼ける。土鍋でご飯も炊いているんだが、果たして足りるんだろうか? 勝家君の顔がヤバイ事になっている。この世界では美少年なんだから、熊臭さを出さないでほしい。食欲に支配されきってるぞ? その顔。


 ひっくり返したりしながら焼き、最後に出汁と魚醤を混ぜたものを塗ったら完成だ。皿に乗せていき、ご飯を盛ったら好きに食べなさい。……それはそうと、大橋さんも食うんだな。別に良いんだけどさ。



 「いやー、実に美味い。麦を取り出して粉にしたのも驚きですが、こんなに美味い物になるとは信じられませんな。麦は安値でしか売れなかったのですが、これからは高値で売れるやもしれません」


 「あの饅頭というのも美味かったし、大陸には美味い料理が沢山あるんだろうな。大陸に行っても何もする事が無いと思ったが、もし行く事が出来たら美味い物を食い歩こう!」


 「ほう、柴田の若当主は大陸に行きたいのかな? それは結構。私にも有名な大店になりたいという夢がある。そなたも夢に向かって歩むべきだ!」


 「痛っ! 叩かないで下され」


 「ハハハハッ! すまん、すまん」



 本当に世話になってるのか、勝家君の言葉使いが丁寧だな。それはそうと、もう少し待ってくれ、まだちょっと早い。ご飯も驚くほど早く減ったので、ついでに土鍋2つで新たに炊いている。


 そっちもそろそろ……よし炊けたな。こっちも焼きあがったし俺達も昼食にしよう。お好み焼き定食なんて馬鹿にされたりするが、俺の実家では昔からこうだった。


 そもそも批判する奴等は炭水化物と炭水化物で云々と言うが、俺は栄養素を食べてるんじゃなく”料理”を食べてるんだと言いたい。簡単に言えば、美味けりゃいいんだよ! という事だ。


 食事に面倒臭い事を持ち出す時点で、無粋だという事が理解出来ないんだろうな。実は日本の職場に居たババアがそれだったんだ。


 楽しく食事してんだから空気読め! と何度言いたかったか。理屈を捏ねたきゃ鏡に言えばいいんだよ、鏡に。ちょっと思考がおかしな方向に行ったが、美味しく食事をしよう。


 昼食後、大橋さんと勝家君に午後からの予定を言うとツシマに行く事になった。まあ、これは仕方がない。この流れで予定通りアツタに行くのは、流石の俺にも無理だ。


 昼食の後片付けを行ったあと、閂をせずにそのまま出る。ツシマへの道中で大橋さんに大工をお願いしたら、既に西部さんより聞いていたらしく手配は済んでいると言われた。


 代金も西部織田家から支払われるので、俺が支払う必要は無いらしい。ただ建てる場所が決まっていないので、早急に決めてほしいと言われた。


 ……温泉が掘れそうな所、あそこに家を建ててしまおうか。自分の家に温泉があるって贅沢だし、それぐらいは許されるだろう。


 そんな事を考えながら歩いているとツシマに到着した。町の中に入り大橋さん達と歩いていると物凄く注目されるな。


 勝家君にとっては普通の事なんだろうけど、移動しにくいし面倒だなぁ……。誰だ、アイツ? って感じで見られるんだよ。


 大橋さんの店はツシマの中では大店と言って良いほどだが、たぶん堺なんかの大店と比べるとまだまだなんだろう。


 堺には行ってないんで詳しい事は分からないが、行く気も無いので興味は無い。本人が大店だと思えればそれで良いんじゃないかな?。



 「私の店もツシマの中では大きい方なので、お目当ての物は見つかるかもしれませんよ。それで、入用な物は何でしょう?」


 「あ~……それはですね……」



 ちょっと言い難いが、まあいいか。俺は特に食べ物関係と酒関係を大橋さんに求めた。どうやら戦国時代の様な座と市は無いらしい。


 座と言うのは同じ系統の物を売る商人のグループの事で、コイツ等が新規参入を妨害している事も多かった。米座とか酒座とか油座とかが有名かな。


 もう1つの市は、寺社で行われる青空市場の事だ。お金を払えば好きに参加できるフリーマーケットの様なもので、物の売り買いを寺社が支配していたと言われている。


 この世界では浄化やお祭りなどを生業としているからか、神社も神殿も商売に介入したりはしていないらしい。


 実際に邪気が当たり前にある世界だと、浄化魔法が使えれば敬われたりするからな。神社や神殿だって、そっちに注力するのは当たり前か。


 それにお布施というか、お金だってそれなりに儲かるだろうし、権力者に取り入るのに都合が良い。だからこそ、商売は何処ででも行われている。


 行商人の様に村などに自ら足を運んで買い付ける者や、村人に持って来させる者など様々な商人が居る。少なくともヤシマの国においては商売をするのは自由だ。こうなっているのは、おそらく魔物の所為なんじゃないかと思う。


 神社や神殿のお膝元だけで商売をさせようとしても、運んでくる際に魔物に襲われれば成り立たない。


 ましてや、商売をする全ての者に護衛を付けるなんて非現実的だ。結局、自己責任という形に落ち着いたんだと思う。それが1番良いのは間違いないからな。


 それに、運ぶ仕事で馬借が潤うんだから、世の中はちゃんと出来ていると思う。ここヤシマの国では、日本の戦国時代に比べて馬借の重要度が高そうだ。魔物を蹴散らして商品なんかを運ぶんだから、ある程度の腕がないと務まらないだろうしな。


 大橋さんの所で色々な物を見せて貰っていると、お酢を発見した。結構な高級品ではあったが、ちゃんと米と麹から作られた米酢だったので銀貨1枚分購入した。それ以外にも、根野菜を中心に野菜を銀貨1枚分買った。


 刀とか槍とかも見せられたが、俺は必要ないと拒否した事に勝家君が驚いていた。なので、俺のナイフを2人に見せて切れ味を試させた。


 大橋さんは納得し勝家君は欲しがったが、あげる訳が無い。自分で作った物だと言ったら目が点になっていたが、事実なので諦めてほしい。


 大橋さんには、大陸の者は皆そんな切れ味の武器を持っているのかと聞かれたので、これは俺達くらいしか持ってないと言うと安堵していた。まあ、アダマンタイトが当たり前に出回ってたら、鉄の武具は売れないだろうから気になるのは分かる。


 勝家君が戦の時に持っていた太刀は中々の業物らしく、柴田家に代々伝わっている物らしい。普段は普通ランクの脇差や槍しか持っていないが、戦の時には家宝を持ち出すそうだ。


 大体どこの武士もそうらしく、良い武具が手に入れば懇意にしている商人が伝える様だ。良い武具を買う、お得意様って事ね。



 ▽▽▽▽▽


 0608終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨597枚

 銀貨525枚

 大銅貨176枚

 銅貨64枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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