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0603




 アツタの大きな屋敷の玄関前で待っていると、ガシャガシャとした音が沢山聞こえてきた。誰か来たのかと思い音のほうを見ると、織田親子4人がやってくる。


 鎧も既に着ており準備万端という感じだが、既に疲れた様な顔をしているのは何故なんだ?。



 「殿、然様な顔は見せてはなりませぬ。……しかしながら、何か面倒な事があった様でございますな」


 「ああ秀貞、実に面倒な事を言い出してきおった。南部の殿の家臣が参陣するんじゃと。つまり功を寄越せと言ってきおったんじゃ。いちいちワシを煩わせるのが好きな方じゃわ、全く!」


 「まあまあ、父上。その御蔭で我等が松平との戦をしている時に、南部が攻め込んでくる目が無くなったのですから良かったではありませんか。ここは前向きに考えましょうぞ」


 「兄上の申される通りです。父上の事ですから、南部の家臣を前面に押し立てるのでございましょう? あやつ等は猪武者ですからな、放っておけば勝手に自滅しましょう」


 「兄上の言う通り突っ込ませれば良いとして、その後をどうするかが問題だ。オレが前に出ても良いが、その時は敵が勢いに乗っておる筈。松平を勢いに乗せると面倒にしかならんぞ」


 「そこじゃ、そこをどうにか凌がねばならん……という事で、そなた等の魔法とやらで押し返してほしい。流石にあそこまで術を使われたら一旦退くだろう。退かねば兵が減るだけだからな」


 「それは構いませんけど、まずは戦場に行ってからですね。見てみない事には、どこで迎え撃てばいいかも分かりませんから」


 「それは道理じゃな」



 少し元気が出てきたらしい西部さんと3兄弟と共に、アツタの屋敷を出て進んで行く。あの大きな屋敷は織田家の屋敷だったらしく、アツタは傘下ではないものの時間の問題だそうだ。俺達は一路アツタから南東に向かって進軍していく。


 南東にカリハマという場所があり、そこに刈谷城という城を持つ水野氏が居るそうだ。その辺りが尾張と三河の国境なんだそうだ。そのカリハマで戦をするのだが、尾張側で迎撃する形で戦う予定だと教えて貰った。


 いわゆる東海道上で戦うのだが、奇襲されたりしたらどうするんだと思ったら、300人以上を動員して道無き道を行く阿呆はいないと笑われた。


 詳しく聞くと、道無き道を行けば魔物に襲われて逃げ帰る羽目になるとの事だ。そういえば魔物が居るのをスッカリ忘れてた。


 この世界では魔物に横槍を入れられない場所で戦う必要があり、それが大きな街道の上なんだそうだ。だから田畑で曲がりくねった道があまり無かったのか、成る程な。


 戦国時代では進軍を遅らせたり、突撃出来ない様に道が蛇行させてあったと聞いた事がある。


 蛇行させている道の隙間は水田にしてあって、泥で足がとられる様にしてあったそうだ。本当に戦の為だけに様々な事をしていた時代だと思う。


 そのパワーを農業や漁業に向けなかったのは何故なんだろうね。そうすれば、もっと豊かになった筈なんだが……。


 しっかし、ダラダラと移動してるな。せめて隊列ぐらい整えろよ。こういう時に奇襲でもされたら目も当てられないだろうと思うんだが、周りの誰も気にしていないな。俺達は林さんと勝家君と一緒に歩いているんだが、思っている以上に女性が多い。


 金で雇われる兵なんだけど、女性の比率が思っている以上に多いんだ。6対4よりも7対3ぐらいで女性の方が多い感じがする。


 何故なのか聞いてみると、女性でも普通に戦えるし、家の当主が女性である事もよくあるらしい。ヤシマの国では女性当主は普通に認められているそうで、女性も立身出世を求めて戦に参加する事は多いみたいだ。


 そこで強さを示した女性は側室だったり妾になる事もあるそうで、競争率は非常に高いらしい。武士の家も強さを求めるので、家柄や血筋よりも強さの方が先だとの事。


 かつての古い時代には家柄や血筋が先だったそうだが、大陸から攻められた後ですっかり変わったんだそうな。


 大陸にあった帝国が崩壊した切っ掛けは、ヤシマの国に3度攻め込んで返り討ちにあったからみたいだ。1度目は辿り着くのもやっとで、2度目は船の上で疫病が流行ったそうで勝手に瓦解。3度目は台風で沈んで終わり。何とも悲しい結末だ。


 この世界でも大陸から攻められ……ああ、大陸の帝国に金山と銀山がバレたのか。日本もそうだが、金山と銀山の埋蔵量は多いからな。


 この世界だとダンジョンがあるのでそこまででもないが、それでも埋蔵量の多い金山や銀山を抱えている意味は大きい。だからこそ攻め込まれた訳だしな。


 3回ともヤシマの国の武士は戦っているが、運が良かっただけとも言える訳で、コレに危機感を抱いた武家が血筋より強さに傾倒していったのが現在まで続いているそうだ。まあ当然と言えば当然か。


 碌に戦っていない事が、逆に危機感に繋がったんだな。日本だと鎌倉武士団がちゃんと戦ってるし、自分達の力で勝ったなら危機感は湧かないか。


 歩いて進んで行き、昼を過ぎても休む事もしない。何でだと思って聞いてみたら、ヤシマの国では1日2食だった。そういえばガイアルム王国でも傭兵以外はそうだっけ?。


 俺は1日3食なのですっかり忘れていたが、この時代は1日2食が当たり前か。それでも食糧が足りないんだから、戦なんぞしてる場合か? と、俺は思うけどね。


 俺達だけ昼食を食べる訳にもいかないので、黙々と歩いて行く。こんな事なら干し肉を作っておけば良かった。


 歩きながらアイテムバッグをゴソゴソ探ると、前に買ったチーズがあった。そういえば奪ってから一度しか料理に使ってないな……コレでも食うか。


 そう思って取り出し、【分離】して一口サイズにするとダリアが寄ってきた。どうやらお腹が空いているらしい。


 首に巻き付いているフヨウも欲しがっているので、2匹にあげると食べ始めた。しかしながら、食べていると置いていかれるので困ったダリアが鳴いている。


 しょうがないなと思いながら、チーズをダナに手渡してダリアを抱き上げてやった。美味しそうにチーズをモグモグしているが、よく考えれば俺が食べれないんだが?。


 そう思ってダナを見ると、ナイフでチーズを切り分けながら皆と食べていた。あの大きなチーズを片手で器用に切るもんだと関心したが、そうじゃない。俺も食べたいんだよ。


 結局、切り分けたチーズを口に入れてもらう形で落ち着いた。俗に言う「あ~ん」というヤツだ。人前だと結構恥ずかしいんだが、もちろん顔には出さなかった。



 「その黄色いのは何だ? 食べているから大丈夫なんだろうが、それは本当に食べ物なのか?」


 「これはチーズといって、牛の乳を固めた物だよ。大陸の西側では普通に食べられている物で、保存食なんだ」



 勝家君は若いからお腹が空いたんだろう、ナイフの先端に突き刺したチーズを貰って食べていた。


 勝家君いわく「普通」だそうだ。口に合わない訳ではないが、別に美味しい訳ではないとの事。まあ、料理に使わないとチーズの真価は発揮できないと思うけどね。


 そのまま歩き続け、夕方になると敵軍が見える所までやってきた。既に敵軍は炊事の煙を出しているが、こちらの兵も近くの森に焚き木を取りに行った。


 敵軍から白地に松平の家紋が描かれた旗を掲げた者がやってきて、西部さん達と話をしている。どうやら松平軍からの使者らしい。


 俺達は適当な所にカマクラと焼き場を作って、夕食を作る事にした。まずは、魚を取り出して鱗を【分離】して3枚におろす。


 次に一口大に切り分けて骨を【粉砕】する。寸胴鍋に聖水と魚醤と魚と野菜を入れて煮込み、小麦粉を全粒粉にして生地を作ってもらう。


 朝と同じではあるが肉まんではない。皆に生地を作ってもらったら【熟成】を使い、饅頭に成形していく。成形が終わったら竜の脂で揚げていこう。


 今回は蒲鉾型の饅頭にしてあるので、どちらかと言うとマントウという感じだ。揚げパンって何故か食べたくなるんだよな。


 竜の脂の良い匂いもしてくるし、皆もガン見してるな。竜の脂の美味しさが饅頭に満遍なく付くんだ。そりゃあ、ガン見ぐらいするか。


 周りの連中まで凄い形相してるし。でもやらないよ。3日は自分達で用意した物を食べる決まりだから、しょうがないね。


 だから西部さん、諦めてくれない?。



 ▽▽▽▽▽


 0603終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨597枚

 銀貨527枚

 大銅貨176枚

 銅貨64枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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