0599
西部さん御一行とダンジョンの中に入り、今はウサギとかリスとかを狩っている。ヤシマの国の魔物は微妙に違うみたいで名前が違うと思うのだが、この国ではウサギとか鹿とか猪としか呼ばれていない。
ガイアルム王国などでは傭兵ギルドがあったから個体名が付いていたが、ギルドが無ければ付ける必要もあんまりないか。個体名を付けるのは種類によって売値が変わるからだし、売る事も殆ど無ければ名前が分からなくても問題は無いんだろう。
しっかし、他の護衛は戦えているが、勝家君は相変わらず苦戦してる。ウサギみたいな小さい魔物相手に、長い槍を振り回してもしょうがないだろうに。脇差を使え、脇差を。
おっ! やっと気付いたか。槍はリーチが長いが、当たらなきゃ踏み込まれるし、踏み込まれたら使い難い。適度な距離が無いと使えないうえ、小さい的だと当たり難いのが槍だ。
人間種相手だと十分に使えるが、小さい魔物相手だと難しいだろう。勝家君の槍は3メートル近くあるし。
西部さんが大工を派遣してくれるらしいので、俺達は木を伐ってアイテムバッグに収納している。ダンジョンの事を西部さん達に教えているんだが、途中で魔物が襲ってくる為に護衛の人達が戦っている。さっきの勝家君の戦いもそれだ。
ダンジョンでは魔物が手当たり次第に襲ってくる事を伝え、緊張感を持ってもらう。実際にダンジョンの魔物は普通の魔物と違って、痛みに怯えたり竦んだりはしない。とにかく相手を殺すか、それとも殺されるまで戦闘を続ける。
それがダンジョン内の魔物なんだと、正しく理解しておかないと危険だ。手傷を与えたと気を抜くと即座に食い殺される。それがダンジョン内の戦いであり、ある意味では死闘と言えるものだ。
軽く見ない様に強く言ったからか、護衛の人達は顔を若干青くしている。それとは別に、”望むところだ”という顔をしているのが勝家君で、大笑いしているのが西部さんだ。
「ハハハハ! 丁度良いではないか。大口を叩くだけの阿呆もおる。このダンジョンという所で本当の死闘をさせればよい。それでも大口が叩けるなら認めてやろうぞ。それにしても、痛みを与えても殆ど効果が無いとはのう。まるで死兵のようじゃな」
「たとえ相手が死兵であろうとも、戦って勝つのが武士でありましょう! 死兵相手の鍛錬だと思えば、丁度良いと思います。ここで死兵の様な相手に慣れておけば、必ずや武者働きの役に立ちましょうぞ!」
「それはよいが柴田よ、お主はまず戦い方を覚えよ。この様な相手では槍は役に立たんであろうに……」
護衛の人からツッコミを受けた勝家君は、若干頬を膨らませたものの、落ち着いて護衛をし始めた。
周りの武士がその姿を見て頷いているところを見ると、どうやら織田家中でも気に入られているらしい。まあ勢いの良い若者は気に入られやすいとは思う。特にこういう時代だと。
ダンジョンの知識としては、層の話もしておかないといけない。2層、3層、4層と、転移紋を使って先へと進めば、地形が変わったり魔物が変わっていく事も伝える。
特に洞窟という最悪の地形の事は、丁寧にしっかりと教えておく。迷子になれば出る事も出来ず、飢え死にしかねない最悪の場所だと。
流石に恐ろしさを理解できたのか、西部さんまで顔が真っ青になっていたが、洞窟だったら直ぐに脱出すればいいと言うと安堵していた。
山の地形などでは金属が出る事もあり、銅や鉄だけではなく金や銀も出ると教えると、どのように持ち出すかと早速考えている様だった。まずは見つけるのが先だろうに……。
「それにしても凄いのう。まずは松平の相手をせねばならぬのが悔やまれるわ。これ程の場所があるのなら、松平の相手をしておる場合ではないぞ。清康め、余計な事をしに来おって」
うん、やっぱりね。織田信定が生きているんだから、当然だけど松平の当主は清康だよな。こいつが暗殺なんてされるから、息子の広忠は苦労したうえに暗殺されたんだ。三河の武士って尾張の武士以上に忠義が無い奴が多いからな。
家康が三河を纏めたけど、その家康も家臣の人質を見捨てたりしてるし。本当に碌でもない奴が多い土地なんだよ。
尾張と三河って一向一揆で荒れた土地だからしょうがないんだろうけど、あの時代の宗教勢力って軒並み最悪だし、奴隷にして売り飛ばすって事を普通にやってたしな。
1番荒れた時代っていうのも納得せざるを得ない。そんな戦国と源平が同時に来ているこの国は、これからどうなっていくのかね?。
西部さんや勝家君を見ていると普通に生かしてやりたい気もするんだが、彼らは武士であり施政者側だ。責任をとる立場でもある。普通に生きるのは無理だろう。
……そういえば、柴田家はこの世界では城を持っていないらしい。城と言うか、当時は大きな屋敷の様な物を城と呼んでいただけだが、それも無いそうだ。
勝家君に「城は?」と聞いたら、「ある訳ないだろう!」と言い返されたんだよ。どうやらヤシマの国では、相当の金持ちしか城を持てない様だ。
迂闊に作れば補修に金が掛かるうえ、魔物の被害が馬鹿にならないらしい。普通の堀だと飛び越えたり泳いでくる魔物もいるらしく、それで荒らされる事も多いそうだ。
結局、城を建てるよりも、倉を建てる事の方を優先せざるを得ない事情がある。領地持ちも居るのだが、この世界では貨幣がしっかりしているので、儲からない領地経営より金銭の褒美を求める傾向が強いらしい。
気持ちは分かるが、この世界の武士が土地に縛られていないとは……。最後まで武士は土地に縛られていたという日本と比べると、驚くしかない。
西部さんに銭は足りているのか聞くと、ツシマとの関係は良いので出させる事は出来ると言われた。これって矢銭かと思ったが、俺が突っ込んでも良い事は無さそうなので止めておいた。
だが清常さんにも見せて貰ったが、悪銭と鐚銭まみれの状況は何とかした方がいいと思い、一応話しておく事にする。
すると、「何とか出来るのか?」と聞かれたので、綺麗な良銭を貸してもらい【空間把握】で細部まで確認する。
次に悪銭を貸して貰い、持っていた銅と錫を使って【分離】【融合】【合成】を使って良銭と金属の比率を合わせる。
最後に良銭と同じ形に【変形】すれば完成だ。西部さんが手にとって唖然としている。
「本当に良銭と同じとは……目の前で見ていたのに信じられんわ。お主、本当に滅茶苦茶だな。神様に関わりがあると言われても信じてしまいそうだぞ……」
「関わりがあるというか、俺達は不老長寿ですよ」
「「「「「えっ!?」」」」」
あー、良銭を作った以上に唖然とされたな。この状況ど……おっと林さんが帰ってきたみたいだ。この状況を訝しんでるみたいなんで説明をすると、林さん達も唖然としている。
そんなに驚く事じゃない筈だぞ。ガイアルム王国でも多少驚かれたとはいえ、それだけでしかなかった。何で唖然としてるんだ?。
「その表情を見るに、お主らは理解しとらん様だな。このヤシマの国にとって、不老長寿というのは神武の帝だけなのだ。皆を纏め上げ、ヤシマの国を創られたという神武の帝以外に不老長寿の方はおられぬ。その神武の帝も、600年ほど前に流行り病でお隠れになったそうだ」
「600年前という事は、私が生まれたくらいですか。姉上は生きていた筈ですが……」
「残念ながらヤシマの国は随分離れているからね、聞いた事は無いよ。そうか、不老長寿の男性は居たのか……まあ、あんまり意味は無いけどね」
「……何じゃろうの、急に頭が痛くなってきたわ。まさか神武の帝が生きておられた時代の方に出会うとは、夢にも思っておらなんだ。ワシも半霊族とはいえ、寿命は150年ほどしかない。まさか600年も生きておる方にお会いするなど……」
「アタシは400年ほどしか生きてないけど、その言い方は婆みたいに聞こえるから止めてほしいねぇ」
「これは申し訳ない。謝罪いたします」
「いや、今まで通りでいいですよ。俺達は全員不老長寿ですけど、大して気にしていませんしね」
そう言うと、余計に恐縮された。……何故?。
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0599終了時点
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銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




