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0005




 カラン! カラーン!


 ギルドに帰ってきたら、中に居た人達が一斉にこっちを向いた。この時間に帰ってきたのが不思議なんだろう。


 受付嬢のミュウさんの所へ行こうとすると、目の前を誰かが塞いだ。



 「アルド、なんかあったのかい?」


 「買い取りを済ませてきたので、木札の提出をしにギルドに戻ってきたんですよ」


 「ふーん……。木札見せてみな」


 「これですが……何かあるんですか?」


 「へぇ、この短時間でフォレストゴブリン3匹とフォレストベア一匹かい。やっぱりアルドは優秀だね」


 「フォレストベアですか!? 新人が戦うのは危険過ぎます!」


 「危険も何も傭兵は自己責任だし、アルドは見たところ傷一つ負ってない。なんの問題もないさ」


 「それはそうですが………」


 「文句言うより仕事しな」


 「分かりました……」



 心配してくれた気持ちは受け取っておこう。登録証を出して評価を記してもらいながら、ダナさんに話しを聞く。


 傭兵の仕事は、商人の護衛や薬の素材を取ってくる等いろいろあるが、戦闘能力が最も評価が大きいらしい。


 村や町を守るのが傭兵の一番の仕事である為に、何よりも戦闘能力が求められる。


 ただし護衛や素材採取なども記録される為、そういった事が得意な傭兵に、そういった仕事は割り振られやすくなる。


 護衛は商人との人脈、素材採取は薬師との人脈など無駄にはならないそうだ。話しをしていると終わったらしく、カウンターの上に登録証が置かれていた。


 挨拶をしてギルドを出ると、丁度昼時になったのか屋台で昼食を買う人達が見えた。


 荷車を引いて村から出て、少し森に向かって歩いた所で昼飯を食う。離れた理由は人目があるからで、人目を避けるのは【水魔法】を使うからだ。


 【水魔法】で生み出す水は空気中などの水分を集めたものであり、何も無い所から創造する訳ではない。


 その水を【念動】で浮かせて飲んでいるので見せられないのだが、帰ったら水筒を買おう。


 ちなみに、川の水を【念動】や【水魔法】で持ち上げて【浄化】を使ったら、もっと清潔な水が手に入る。こっちは更に見せられないが……。


 昼食を食べ終わったので再び森へ行く。川と森を少しずつ浄化しながら進んで行くと複数の反応があった。反応は低い場所で数が多いのでたぶん狼だろう。



 「「「「「グルルルルルル……」」」」」



 体長140センチほどの5頭の狼に半包囲されたものの、特に焦るでもなく槍を地面に置き短剣と鉈を持つ。複数相手ならこちらの方がいい。


 狼が襲ってくる前にこちらから右端の狼に襲い掛かる。狼が反応するより速く頭をカチ割ってやった。


 それに驚いたのか狼達の動きが鈍る。立ち止まったら死ぬということを知らないのだろうか? そう思いながら頭をカチ割り喉を突き刺してゆく。全滅させるまで3分も掛からなかった。


 前の時も思ったが処理の方が時間がかかる。仕方がないとはいえ、どうにかならないものか。それに狼5頭で荷車がいっぱいになってしまい、また早く帰る羽目になってしまった。


 村の入り口に着き登録証を見せて村に入る。解体所の受付に登録証を預け職人を呼んでもらうと、先ほどの熊の獣人がまた来た。



 「今度はフォレストウルフかい? こいつは肉と腱がよく売れるよ。牙は武具に、腱は弓の弦などになる。肉は臭みはあるが食べられるし皮も売れるんだ」


 「金額はどんな感じ?」


 「前のと同じで処理が綺麗だから、色を付けて1匹銀貨1枚と大銅貨1枚だね」


 「了解、それで頼む」


 「あいよ」



 受付で登録証を返してもらい、売却金と木札を受け取る。その後、荷車を浄化し返却する。今日はもう狩りを止めて水筒を買いに行こう。



 「すみませーん、荷車の返却にきました」


 「えらく早いねー。荷車はそこに置いといてくれればいいよ」


 「じゃあここに」



 返却し終わったのでギルドに行くのだが、ドアを開けると中に居る人が一斉にこちらを向いた。そんな中、ミュウさんの所へ視線を無視しながら行く。



 「登録証と木札です」


 「また木札を持ってこんなに早く……今度はフォレストウルフ5頭ですか。昨日登録したばかりなんですから、もう少しゆっくりした方がいいんじゃないですか?」


 「ゆっくりも何も、襲ってくるのを倒しているだけですよ」


 「しかし、フォレストウルフは森の近くまで行かないと出て来ない筈です」


 「ミュウ。心配するのは分かるけど、傭兵は自己責任だと言ったろう?」


 「はい……ですが………」


 「ミュウ、お前アルドの顔がいいから心配してるのかい?」


 「ちが……違います! そうじゃないです!!」


 「アハハハハ! そこまで動揺すると図星にしか見えないねぇ」



 なんか男が入り辛い会話になったぞ。すでに登録証は返却されてるのでさっさと出よう。コッソリと出るため、無駄に【闘気術】の【気配消失】と【無音動作】を使いギルドを出た。


 村の中を浄化しながら雑貨屋を探す。幸いにも直ぐに見つかったので中に入り色々と見て回る。


 水筒以外にも必要な物があれば買ってもいいかもしれない。投げナイフやロープにフック、更には杭やハンマーなど様々あるが欲しい物は中々見つからない。


 革の水筒以外に買うのを決めたのは、木のスプーンとフォーク、登山用のバックパックほど大きな革製のバックパック。


 それ以外には替えのシャツとパンツにズボン。蓋付きの鉄の小鍋2個と鉄のフライパン2つ。それに薪と炭を購入する。麻のリュックは売れたが、たった銅貨3枚だった。


 全部で銀貨3枚と大銅貨4枚だったので直ぐに支払った。鉄製はやっぱり高かった様だ。


 宿に帰る前に屋台に寄ると、夕方前だがちょうど料理をはじめたばかりだった。


 少し待ち、スープを先ほど買った小鍋に入れてもらいパンも買う。スープの値段は銅貨2枚で、パンも銅貨2枚なので大銅貨1枚を支払いお釣りを貰う。後は宿に戻って食べるだけだ。



 「お客さん、お帰り。今日も早いね」


 「ただいま。確かに早いけど、荷車牽いて2度も森と村を往復したよ」


 「おやまあ、そりゃ大変だったね。でも、その分儲かったんじゃないのかい?」


 「まぁね。ただそれ以上に疲れたんだよ」


 「はい鍵。なるほどねぇ、ならゆっくり休みなよ」


 「あぁ、そうさせてもらうよ」



 部屋に入り鍵をかけ一息吐く。椅子に座り、部屋と自分を浄化しながら飯を食っていると夕焼け空が暗くなり夜になってきた。


 神様は春に下ろすと言っていたので寒くはないが、【光魔法】の【光球】を使い光の球を出してから窓を閉める。


 この世界では闇に属する魔法や魔術は存在しない。光が無ければ自動的に闇なのだから当然と言えば当然で、強制的に闇を作るのは光属性に分類される。


 【光魔法】は【魔術】の言い訳用だ。普通魔法が使えないと蝋燭や油を使う。主に使われる油は動物や魔物の獣脂なのでやたら肉の香りが強い、それが嫌なので【光魔法】を使っている。


 昨日は早くに寝たので必要なかったが、今日はまだ起きているつもりなので【光魔法】を使用した。魔法を維持する訓練だと思って使えばいい。折角だから効率的に使おう。


 この世界の魔法は1回使えば5分持続するような、ゲーム的な魔法ではない。魔力を供給しないと効果が無くなる為、維持するのは中々難しい。


 口の中と買ってきた食器を【浄化】し、まずは買ってきた薪の皮を【分離】し木の部分を【圧縮】する。その後【変形】させ箸を作る。余った木の一部は鉄のフライパンの持ち手に使う。


 次に鉄の小鍋と鉄のフライパンを【融合】し、鉄を【抽出】し【分離】する。残ったのは様々な混じり物、いわゆる不純物や他の金属だ。


 これで純度の高い鉄ができたので、炭を上に乗せて炭素を【抽出】し【錬金術】の【合成】で鋼にする。炭素の量を変え2種類の鋼を作り心鉄と皮鉄にする。


 鋼ができたので、日本刀の様に皮鉄で心鉄を挟む。刃長25センチ程の鋼の刃を【融合】と【変形】で作った。余った木と鉄を各種部品や柄と鞘にして鋼の短刀の完成だ。


 青銅の短剣はバックパックに入れて予備にしよう。これで適当な鉄の安い武器を買ってきて、鋼製の武器に変えられる事が分かった。武器を良くしていく為にも、明日からも狩りを頑張ろう。


 今日はこれで終わりだ。それじゃあ、おやすみ……。



 ▽▽▽▽▽


 0005終了時点


 金貨3枚

 大銀貨6枚

 銀貨9枚

 大銅貨13枚

 銅貨4枚


 鋼の短刀

 青銅の短剣

 石の鉈

 石の槍


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