0598
その後、ちょこちょことした話を聞いて、西部さん達は帰って行った。
西部城という城があるらしいが、そこには嫡男や兄弟達が住んでいて、西部さんはツシマに屋敷があるらしい。ツシマは西部さんの代で手に入れたから、重要視している事をアピールしなくちゃならないそうだ。
そう言いながらも、ツシマの方が飯が美味いからとか色々言ってたけど。奥さん達もツシマに居るらしく、割と自由に暮らしているらしい。ツシマの商人も西部織田家の当主が居てくれるので、要望をあげやすくて助かってるみたいだ。
西部織田家とツシマは、持ちつ持たれつという形に治まっている。ちょっと深く聞いたところ、服部という奴は最後まで争った後で逃げたらしく、逃げた先で穢れ者に殺されたらしい。
という事で、服部党に悩まされる事は無さそうだ。ただし、願証寺という一向宗の寺があった所には神殿があると聞いた。
そこの奴等は大陸の西側と同レベルぐらいには腐っているらしく、この辺りでも高値で効果の薄い浄化をしているらしい。
史実では村に1つというぐらいに大量にあった寺に比べればマシではある。ヤシマの国では神社と神殿だけなので、そこまで大量には存在しない。
大半の人は浄化もして貰わずに普通に生きている。ヤシマの国が広く山や森ばかりで戦が起こり難いのも理由かもしれない。日本と同じ国土なら、もっと戦が起きているか、それとも魔物の天国になっていただろう。
そんな事を考えながら、ダンジョンを中心に半径2キロから外に堀を掘る。幅は10メートルで深さは5メートルにした。
出た土は、堀の内側に作る壁の建材に使っていく。【融合】と【圧縮】を使いガチガチに固めた後、反り立つ様に傾斜を付けて【変形】させる。
幅5メートル、高さ5メートルの壁が出来たので十分だろう。入り口のみ壁を作らずに堀だけにしておく。今は誰も入って来れないが、夜中なので気にする必要も無い。
皆にも手伝ってもらって、何とか夜中に終わらせる事が出来た。カマクラを作っておいたのだが、中では既にダリアとフヨウが眠っていた。
カマクラを閉じた後、【房中術】と【鋭覚】で全員を撃沈してさっさと寝かせる。俺も早く寝よう。堀と壁を作るので疲れた。
それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界252日目>
おはようございます。昨日は随分遅くまで堀と壁作りで大変だったので、皆はゆっくり寝かせておこうと思います。加熱機の魔石を入れ替えて……っと、これで切れる事も無いだろう。それじゃあ、熊のきぐるみを着て外に出るか。
ダンジョンの直ぐ横にカマクラを作ったので、ダンジョン突入には便利なんだが、もうちょっとズラすべきだろうか? まあ、その辺りは後で考えるとして、まずは朝食を作るか。鍋には昨日の脂が冷えて固まって残ったままだが、それを温めて使う。
小麦を全粒粉にして昨日の猪肉に塗したら揚げていき、その横では土鍋でご飯を炊いている。自分一人だと、汁物を作るのは面倒臭いので作っていない。適当に白湯でも飲めばいい。
パン粉を作るのが面倒なので、パン粉を使う料理は作らない。料理全体から考えれば多くないが、揚げ物には使うんだよな……。
卵も手に入らないので、トンカツならぬイノカツはお預けだな。それでも十分美味そうに揚がっているのは、肉と油が同じ奴の物だからだろう。そういえば大麦を買ったのを忘れてた、後で麦茶にしておかないと。
……ご飯も蒸らし終わったな。それじゃあ、いただきます。
うん、自画自賛する訳じゃないが美味い。やはり血抜きなんかの処理が良いと、肉は美味いんだよな。薄めた魚醤を掛けてるけど、これもなかなか良い味を出してる。
決め手は聖水で薄めた事と、綺麗に浄化している事だろうな。魚醤から臭味が消えているんで、使いやすいし美味しくなっている。
自分で魚醤を作ればもっと美味しい物が出来るだろうが、今ある分を使い切ってからだな。ガッツリした朝食を朝から食べて満足したら、ダンジョンに入って木を伐り倒す。
周囲を浄化しながら伐り倒してアイテムバッグに収納して出ると、大きな声が聞こえてきた。
壁の入り口へ行くと、勝家くんが必死に大きな声を上げていた。西部さん達も居たので残しておいた土を使い、一気に道を繋げたのだが悲鳴をあげられてしまった。……そんなに驚く事か?。
「そなたはワシの心の臓を止める気か!? 奇怪な動きで土が動いたかと思うたら道が繋がるなど、面妖に過ぎるわ! ……アレが昨日聞いた魔法とやらか?」
「まあ、似た様なものですね。堀や壁を作ったのも同じですよ」
「で、あろうな! でなければ一晩でこれほどの物を作るなど無理じゃ。滅茶苦茶な事をするわ。何も無かった筈が、急に難攻不落の城になった様なものだぞ」
「難攻不落? まだ堀を掘って壁を作っただけですよ。本来なら、ここから石垣を組んで高くして、その上に城を建てるんじゃないんですか?」
確か日本の城ってそんな感じだよな? 石垣の上にある筈だし。入り組んだ作りになっていたり、真っ直ぐ進めない様に錯覚を利用していたりする筈だ。
それに食べられる物で作ってあったりして、最悪の場合は壁を剥がして保存食にするんだっけ?。
「なんじゃそれは? ……もしかして石で土台を作るのか? そんな贅沢な物を作ってどうするのだ。堀と言っても半分もあれば十分だし、深さもあんなに要らん。壁も高すぎるし、普通は土塀か木塀だぞ。そもそも、あれは何で出来ておるのだ?」
「殿! 色は土の色ですが、信じられぬ程に硬い壁です。脇差で削ろうにも全く歯が立ちませぬ。むしろ脇差が傷付いてしまいました」
「どれだけ硬いのだ……。幾らなんでも滅茶苦茶過ぎやせんか? これでは矢も術も効きやせんぞ。さきほどワシが言うた通り難攻不落じゃろうよ。その上ダンジョンとやらで幾らでも食う物が手に入る。……本当に難攻不落ではないか!?」
あー……確かに。言われてみればそうなるな。とはいえ、この堀や壁ぐらいなら幾らでも作れるから、この程度の防御施設ならポコポコ作れるけど。
俺がそう言うと、西武さんと護衛は頭を抱え、勝家君はまた目をキラキラさせてるぞ。それはいいから、ちゃんと護衛しなさい。
さっきも脇差で壁を削ろうとして逆に脇差が傷付いてたし、君はちょっと好奇心旺盛すぎやしないか? むさい熊じゃないから、色々イメージが変わって困るんだよ。
西部さん達は、俺達が夜の内にここまでの物を作ったという事実を放り投げる事にした様だ。まあ、作って欲しければ頼まれるだろう。それまで……うん? 護衛が西武さんに耳打ちしてるな。
「あー……うむ。アルドと言ったか、流石にそなたを野放しには出来ん。とはいえ、ここまでの物を作る者を敵に回す訳にもいかん。そこで、だ。そなたらには戦の時に陣の構築を手伝ってほしい。報酬はちゃんと払う」
「それは構いませんが、いつからですか? 俺達としてはダンジョンの近くに家でも建てたいので、土地を売ってほしいんですが」
「そんなもの、ワシが許すから好きに建てればよい。松平が攻めてくるのは3日後だ。昨日、向こうを発ったと報せがあったのでな。こちらも明日には進軍せねばならん。今、家臣に命じて兵を集めさせておるのだが、明日の出発にはそなた等も同行せよ」
「はぁ、分かりました。じゃあ俺達は家でも建ててます」
「それはワシが手配しておくから、おぬし等にはダンジョンの事をもっと教えて貰わねばならん。すまぬが秀貞よ、ツシマに行って大工を連れて来てくれ。銭はワシが払うと言っておけば集まるだろう」
「はっ。それでは行ってまいります」
林さんは3人ぐらいでツシマに行ってしまったけど、護衛を減らして大丈夫なのか? 意図的に減らして俺達を様子見って感じでもないし、信頼の証ってところなんだろう。こういうアピールが上手いから立身出世したんだろう。きっと。
織田家って異世界でも才能あるんだなー。
▽▽▽▽▽
0598終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨597枚
銀貨527枚
大銅貨176枚
銅貨64枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




