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 外に出て悩んでいる西部さんを横に置いて、俺は焼き場を作り猪を解体している。全て解体し終わったら、鍋を取り出して腸をかす肉にしてもらう。その間に猪の肉を【熟成】したら、【冷却】で凍らせてからアイテムバッグに仕舞った。


 小麦を出して全粒粉を作ったら、聖水と塩を渡し生地を練ってもらう。かす肉をある程度作れた様なので、寸胴鍋に聖水とかす肉と野菜を入れて煮込んでいく。


 火の通りは【加熱】で制御しているので問題なし。生地が仕上がったので【熟成】したら、焼き網を出してチャパティを焼いていく。


 フライパンを出し、猪の肉を一口大に【分離】したら塩と胡椒モドキをかけながら焼いていく。十分な量が焼きあがったら、チャパティで肉を包んで完成だ。


 今の時季は根野菜ぐらいしか採れないので、野菜を包む事が出来ない。短冊切りにして入れても良かったんだが、汁物に入ってるしな。寸胴鍋の中身は仕上げに魚醤を入れてある。すまし汁にしては油が多いが気にしてはいけない。


 皿にタコスモドキを乗せて、予備の椀に汁を入れたら西部さんに渡す。予備の箸を渡したら、俺達は勝手に食べ始める。他の護衛の飯は知らないよ。



 「む、このような料理が大陸にはあるのか。小麦を使ってどうするのかと見ておったが、あのように料理をするとはな。見ておらねば信じられん程よ。それに、先程狩ったばかりの猪がもう食べられるとは……狩りをする者は1日置かねばならんと言うておったはず」


 「それは【錬金魔法】の【熟成】で、強引に【熟成】させてるんで大丈夫なんですよ。死後硬直がありますから、普通は川に沈めて1日というところでしょうね」


 「成る程のう、色々あるんじゃな。しかし、それにしても美味い。腸なんぞ食えるのかと思ったが、クニュクニュしとるだけで普通に食えるとは、今まで勿体ない事をしておったわ。ずっと捨てておったからの」


 「そもそも西部さんって偉い人なんですよね? その割には色んな事知ってるみたいですけど、何で庶民的な事まで知ってるんですか?」


 「それは簡単じゃな。ワシが若い頃からヤンチャばかりしておったからよ。まあ、それは半分冗談じゃが、そもそもワシの代で西部織田家と言われるようになったくらいなのだ。それまでは土豪と変わらんよ」


 「という事は西部さんが、西武織田家として立身出世を果たしたという事ですね。戦争で活躍したんですか、それとも領地を増やしたんですか?」


 「両方だな。戦で活躍もしたが、1番はツシマを手に入れた事だろう。ツシマを手に入れた事により、我が西部織田家は一気に裕福になった。だからこそ、南部の攻めをいなせるようになったのだ」


 「南部の攻め? 南部って南部織田家ですよね。何で身内で争うんです。あ、いや、向こうから攻めてきてる? という事はアレですか? 下っ端が台頭してきて気に入らないって事ですよね?」


 「うむ、その通りじゃ。南部の殿にも困ったものよ、そんな事をしている暇は無かろうに。東からは松平が、北からは長井と斉藤が尾張を狙っておるというのに……。美濃は北部の殿が抑えておるが、三河はワシが抑えておる有様よ。その為にもナコヤが必要じゃと言うのに、散々邪魔しくさりおって……!」


 「ああ、聞きましたよ。西部さんの嫡男の方がナコヤを奪ったとかなんとか、そういう噂話がツシマでありました。あれって東の抑えだったんですね」


 「うむ。松平は今勢いがあるからの。東のナコヤが今川の手にあれば、必ず松平を素通りさせるであろうよ。それだけではない、今川めは松平と共に攻めて来かねん。そうなれば南部の殿には悪いが、南部織田家の力ではキヨカワを奪われかねんのだ。尾張の中心であるキヨカワが奪われれば、尾張は陥ちたも同然。斯波家の名も、織田家の名も地に落ちる」


 「成る程、そうなんですね。ナコヤより東には城とか無いんですか? もしくは城を建てるとか……」


 「ナコヤより東か……無い訳ではないが、そこは両属の状態で信用ができん。国境なんぞ、そんなものだがな。トコナメの者らは我関せずじゃ。まあ、あそこは生きるのに厳しいから、仕方がないのであろう。ワシも強く言えん」


 「そうなんですね。ナコヤを奪ったという事はもしかして……」


 「近く、松平が攻めてくるという報せがあってな。それで急遽アヤツにやらせたのよ。まさかワシも上手くいくとは思ってなかったがのう。上手くいかねば、獣に襲われようとも城を建てねばならんかと思っておったわ」


 「大変ですね。俺達は観光してるだけなんで気楽ですけど」


 「何を言うておる。戦となれば、そなた等にも手伝ってもらうぞ。あれ程の強さなのだ、松平に味方されては困る。銭払いはきっちりするので、ワシからの一報を待っとってくれ」


 「銭は要らないんで、代わりにダンジョンに潜る許可をくれませんかね? 説明しましたけど、ダンジョンには莫大な資源が眠っています。それを持っていって良いという許可が欲しいんですよ。ここって西部さんの領地なんですよね?」


 「うーむ……確かにそうじゃが、そんなもので良いのか? 命の危険もあるだろうし、褒美は正しく与えねばならんのだが……」


 「とはいえ、俺達は余所者ですからねぇ……銭は持ってますし、食べる物は自分で料理しますし。なら俺達の身元を保証してくれませんか? ほら、怪しい奴と思われ続けても面倒なんで」



 俺は未だにこっちを怪しんで警戒している護衛を見ながら、西部さんに後ろ盾になる事を求める。西部さんは、その護衛を見ながら苦笑いをしていた。


 さっきウサギと戦って傷を負った若者だ。最初にこっちを警戒していたのもこの子だが、年齢は13歳か14歳ぐらいかな? いわゆる小姓という奴だと思うんだが……。



 「勝家は何をそこまで警戒しておるのか知らぬが、この者達は警戒せずともよい。柴田家の若き当主として気負うのは分からんでもないが、矢鱈に敵を作るのは良うない事ぞ」


 「はっ! 申し訳ございません!」



 柴田? もしかして柴田勝家なのか? マジかー……むさい熊じゃないじゃないか! 何だったら、耽美に描かれる森蘭丸ばりの美少年なんだけど!? 色々おかしくない?。


 後、見た目的には鬼人族なんだけど、耽美系の鬼人族って色々アウトな気がする。具体的には言えないけどね。


 ちなみに、最初にこっちを訝しんでた人は林秀貞と言うらしい。おいおい……色々言いたい事はあるけど、ここはヤシマの国であって日本じゃない。


 それに林秀貞は裏切った後で許されてるしな。案外とヤシマの国では裏切らないかもしれない。しかし、コイツの弟が問題なんだよな……裏でコッソリ始末するか。


 邪気関係の事を考えても、西部さんには更に家を大きくしてもらわないと困る。案外、ヤシマの国には長く居る事になるかもしれない。何となく、そんな気がする。


 そういえば護衛の連中だけど、ディルが伐ってきた木で椀と箸を作ってやったら喜んでたよ。それと腸に関しても忌避感は全く無いらしい。肉に関しては言わずもがな、食えれば何でも良いそうだ。


 折角なので残った油は灯り用にも使えると教えると、護衛も含めて全員が真剣に考え始めた。


 何でも灯り用の油もそうだが、油自体が値段の高い物らしく、軽々しくは使えないらしい。たとえ肉の匂いがする油と言えども、油自体が少ない為に使えるし売れるそうだ。


 特にダンジョンがある以上は幾らでも手に入ると言うと、西部さん達は何とも言えない表情をしていた。


 ある事を思いついた俺は、西部さんにダンジョンを守る為に色々していいかと聞くと、即座にOKが出た。


 西部さん自身も、金のなる木と言えるダンジョンを、どうやって守るか考えていたらしい。俺が言い出したので、俺に丸投げする事に決めたそうだ。……本当に良いのかね?。


 護衛の人達は微妙な顔をしていたし、それが普通だと思う。勝家くんさ、何で君はキラキラした目で西部さんを見てるんだ? ……器がデカい? アレは面倒臭がってるだけだろ。



 ▽▽▽▽▽


 0597終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨597枚

 銀貨527枚

 大銅貨176枚

 銅貨64枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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