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0592




 俺達は都の中に入り歩いて行くが、ある程度入っていくと荒れてない所が出てきた。どうやら外側に行くほど荒れているらしい。ぽつぽつと普通に生活している人達も見えるようになってきたが、生気が感じられないのは変わらない。


 ”死んだ街”と表現する他ないほどに、人々が荒んでいる。俺達も1塊になって行動しないと、どこから攻撃されるか分からない。首都がそれほど危険な場所になってしまっているなんて、普通はありえないんだが……。


 とはいえ、目の前に現実がある以上は受け入れるしかないんだよな。


 気を取り直して、俺達は1人に対し銅貨5枚を渡しながら情報収集をしていく。4人に話を聞き終わったが、核心に届かない微妙な話しか聞けなかった。【白痴】を使っているので嘘じゃないんだが、詳しい事は知らない様だ。


 次は誰に聞こうかと考えていると、目の前を1人の男に塞がれた。



 「お前達は何者だ? なぜ銭を渡して話を聞いている。事と次第によっては容赦せんぞ」


 「俺達は西から来たんですが、此処がこの国の首都だと聞きましてね。それで見に来てみたら、荒れ果てていてとても都とは思えない。本当に都なのか情報を聞こうと思い、聞いている最中です。情報を聞くにはお金を少し渡すのが、どこの国でも1番手っ取り早いんですよ」


 「……ふぅ、成る程な。そなた等は大陸から来たのか、どうりで見慣れん輩がおるという話になる筈だ。ああ、すまない、名乗ってなかったな。私の名は清常きよつね。平清常だ。一応、都に居るように命じられている下っ端だよ」


 「清常さんですか、俺の名はアルドゥラム。呼び難かったらアルドと呼んで下さい」


 「ふむ……大陸の者の割には妙な名をしているな? まあいい、こっちへ来い。私の屋敷に案内しよう。そこで色々教えてやる。大陸の者が都で殺された等となれば、我が国の威信に傷が付く」


 「はあ、分かりました」



 俺達は清常さんに案内されるままに連れて行かれる。仮に俺達を殺すつもりだったとしても、残念ながらこの程度では相手にならない。なので、ついて行っても特に問題は無い。


 それよりも平氏が目の前に居る事の方が重要だ。この世界では平氏が滅んでいない。という事は、三種の神器が失われていないんだよ。


 どこにあるのか知らないが、三種の神器が残っているというのは日本人として嬉しい事だ。仮の物じゃなくて、正真正銘の本物が残ってるんだからな。


 清常さんに案内されたのはデカい屋敷だった。京にいる平氏が小さい屋敷に住む訳にもいかないんだろうけど、それにしてもデカすぎない? 小学校ぐらいデカいんだけど……。ちなみに、敷地は小学校のグラウンドぐらいある。


 その屋敷に案内されて、今は奥にある一室に通された。清常さんは日課の散歩の帰り道だったそうで、そこで金を渡している俺達を見て怪しんだんだそうだ。


 折角なので大陸の話が聞きたいと言われた為、素直に話していく。俺達としては知られても痛くも痒くもないからな、問題なく話せる。



 「ほう、かつて我が国が学んだ大陸の国はもう無く、10国以上に分裂しておったとは……嘆かわしい。諸行無常、いつか滅ぶという事であろうな。それにしても、大陸がそんなに広いとは思わなんだ」


 「ヤシマの国も十分に広いですけどね。まさか移動にこれほど時間が掛かるとは思いませんでしたよ。特に林とか森とか山が多いんで、内陸を移動するのは大変です。あと沼地も多かったような……」


 「まあ、我が国は山や森が多過ぎて、獣どもを減らす事すら難しいからな。特にあやかしや穢れ者が出てきたら大変だ。穢れ者など神官に頼らねばどうにもならんしな」


 「穢れ者……?」



 よくよく話しを聞くと、穢れ者とは邪生の事だった。ヤシマの国では邪気を<穢れ>と呼び、邪生を<穢れ者>と呼ぶらしい。それと妖は、特殊能力や魔法を使う魔物の事だった。


 動物も魔物も纏めて<獣>と呼んでいるらしく、区別はしていないらしい。それと、都が荒れている理由も教えて貰った。


 理由は、尾張の紅衆である斯波という家の御家騒動と、神神の乱というものの所為みたいだ。御家騒動に関しては都で対立したのが原因で、周りの家も巻き込んで戦を起こしたそうだ。とはいえ、この御家騒動で都がここまでになった訳では無い。


 最大の原因は<神神の乱>であり、神社勢力と神殿勢力の殺し合いの結果、ここまで都が荒廃したそうだ。武士ならこれ以上はマズいとなると止めるのだが、神社と神殿は止め時を知らずに全滅するまで争った。その結果が今の都の荒廃らしい。


 神神の乱が起きたのが10年ほど前で、ここ山城の国の白衆筆頭である細川が裏で煽っていたそうだ。山城の紅衆は足利だが、今の足利は家臣の勝手を止める力が無いそうで、半分言いなりになってしまっている。



 「我が祖先が隙を突いて争い始めたとはいえ、強き力を持っておった足利でさえこれだ。いつかは傾くものと言えど、哀しきものよな」



 その後も色々教えて貰った。今1番力を持っているのは細川らしい。何でも山城の国の白衆筆頭だが、丹波の国や阿波の国などでは紅衆をやっているそうで、動員できる兵力が非常に多く、その所為で逆らえる者が殆どいないらしい。


 ちなみに紅衆の赤は平氏の旗の色からきているらしく、白衆の白も源氏の旗の色からきている。とはいえ、今では気にしている者は誰もいないんじゃないかと笑っていた。


 こっちからも大陸の話を沢山したし、向こうからも細かい事を色々聞いた。例えば官位の話だったり、武士としての生き方の話であったり、戦の話も聞いている。


 ここ最近、都の周りでも小競り合いなどは増えてきているらしく、偉い方々は戦が広がるんじゃないかと噂しているそうだ。


 小競り合いだと笑っていた結果が、斯波家の御家騒動であり神神の乱に繋がった為、都の公家は過敏に反応するようになってしまったらしい。「宥めるのは、自分の様な下っ端の役目だ」と疲れた顔で笑っていて、何と言っていいか反応に困った。


 清常さんは三男で、長男は清貴きよたかと言い、当主をやってるそうだ。次男は清澄きよすみと言い、領地で当主を補佐しているらしい。古い時代において日本もヨーロッパも変わらないが、価値を認められるのは次男までだ。


 三男以降は穀潰しの様に扱われるのが常であるのだが、長男の当主から役目を与えられた時は心の底から喜んだとの事。


 仕事も無く野盗になるか、どこかで野垂れ死ぬしかないと思っていたそうで、役目を貰えば生きていられるので精一杯励んでいるらしい。


 散歩をしていたのも見回りの様なものだったらしく、日課として行い人助けもしてきた様で、平氏の評判を上げるのに役立っている。そう胸を張って言われても、俺達は今日来たところだしなぁ……。


 平氏の他にも様々な名門が京の都に屋敷を持っているが、屋敷の維持にも金が掛かるので、既に誰も住んでいない屋敷もあるらしい。


 そういう屋敷を見つけては賊が入り込み拠点化するらしく、ある程度の武士の家が協力して排除する事もあるみたいだ。治安を守るべき細川が何もしていない為、都は荒れる一方で嘆いている公家は多い。



 「公家の方々もな、細川と血縁のある方もおって物が言えんのだ。とはいえ、その愚痴を我等に言われても困るわ。文句なら足利と細川に言うのが筋であろうに。山城の紅衆は足利であり、白衆筆頭は細川ぞ」



 色々と腹に据えかねる事があったらしい。俺にぶつけられても困るのだが「すまん」と謝られたので、謝罪を受け入れた。清常さんは俺達が観光に来ただけだという事が事実だと分かったんだろう、色々と深いところまで教えてくれるようになった。


 愚痴と共に言われるのがアレだが、貴重な情報なので助かる。その話の途中で「銭を見せてほしい」と言われたので、銅貨を渡すと色々調べ始めた。


 何をやっているのか分からなかったが、その後に渡されたヤシマの国の通貨を触って理解したよ。質が余りにも悪過ぎる。


 皆は質の悪さに驚いていたが、俺は内心で「これが堺銭かぁ……」という驚き方をしていた。堺で悪銭を作っていたのは有名な話だったが、ここまで質が悪いとは思わなかった。


 元々日本では錫があまり採れない為に、青銅の質が悪かったと言われていたが、それ以前の問題だ。


 これじゃあ、貨幣の価値が暴落するのも当然だろうよ。



 ▽▽▽▽▽


 0592終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨597枚

 銀貨530枚

 大銅貨200枚

 銅貨104枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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