表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
588/1948

0587




 「うん。メルの唐揚げは上手くいったんじゃないかい? 十分に美味しいけど、本人が納得しないんじゃ仕方ないか。それにしても、味噌が使われたスープってこういう味になるんだねぇ」


 「思っていたより濃い訳では無いんですね。どうしても味噌に浸けて焼いていたイメージで考えてしまいますが、こちらの方が私は好きです」


 「うーん……。やっぱりアルドの様にはいかなかったみたいね。思っているよりも火加減を一定にするって難易度が高いわ。まさか、あそこまで自分の制御力が低いなんて思ってもみなかった……」


 「魔法って、普通は魔力を短い時間制御するものだからね。料理の間ずっと制御しなきゃいけないのとは違うから、今までと違う難しさがあるんだろう。それでも失敗してないんだから凄いものさ」


 「本当にそうだ。失敗していないというだけで褒められるレベルだと思う。肉体で言えば、小さい力をずっと出し続ける様なものだろう? 同じ力をずっと出し続けるのは相当大変な事だと、想像すれば直ぐに分かる」


 「そうだね。僕はできたけど、アルドが僕を例外と言ったのは良く分かるよ。僕が練習してきたのは、普通の魔法使いとは異なる練習だったとは思ってもみなかった。僕の場合は、短時間の制御を身に付けないといけないね」


 「大きな魔力の制御も小さい魔力の制御も、どちらも役に立つものだから修行をして損は無い。ただ、無理に制御能力を向上させようとしなくても、薪や炭で料理をすればいいだけだからな。無理をする必要はないさ」


 「あんまり無理してると、どこかで止めてしまうからね。長く続けるには、適度に息抜きするぐらいで良いのさ。止める奴の殆どは、根を詰めすぎて駄目になるんだ。そんな傭兵はいっぱい居たよ」



 根を詰めたり集中して訓練しても、こういうのは短時間で上達などしない。長い時間を掛けて、本人でさえ差異が分からない程ゆっくりと成長してくものだ。


 気付いたら凄く成長していても、成長途中は差異を殆ど感じない。不思議だが、そういうものなんだよな。


 唐揚げに塩と胡椒モドキを掛けて食べているが、ここにレモンが無くて良かった。そんな下らない事を考えながら、食事を楽しんだ。


 昼食後、焼き場を壊して移動を開始する。東へと走って進みながら、南東へと折り返し走り続ける。皆もそうだが、身体強化をしているので走る事はそこまで苦ではない。


 ただ、思っているよりヤシマの国は広く、思っているより人口密度が低い。日本より国土が広く、古い時代である為に人口密度が低いんだ。


 そこに追い打ちを掛ける様に魔物という存在がネックとなり、更に村や町が作り難くなっている。その所為で元の世界の戦国時代よりも遥かに人口密度が低くなっているんだ。商人が苦労するほどに。


 馬を連れた商人とかをヤシマの国でも見るが、一日で移動できる距離なんて高が知れている。その距離に村や町が無いと野営となるが、この世界で普通の商人が野営なんてしたら次の日の朝には死体になっている。それぐらい厳しい世界だ。


 なので商隊を組むか、そもそも野営をしないの二択しかない。そして、野営は商隊を組んでもリスクが高く危険だ。なので野営をせず、一日で移動できる距離を進んでいく事になる。


 その距離に村や町を作るのでギリギリなんだろう。元々武士は統治なんて二の次で、戦が第一だからな。


 ……ん? そう言えばヤシマの国って、どうやって統治してるんだ? 俺は元の世界と同じだと勝手に思っていたが、もしかしたら違っているのか?。


 源平の頃なら統治者は公家になるが、戦国時代なら武士になる。ここが日本じゃない以上は、統治システムそのものが違う可能性がある。


 なにより、歴史小説や漫画でよく出てくる坊主、つまり僧侶を今まで一度も見ていない。この世界にも僧侶はいたから、僧というものは存在してるんだ。


 ただ、ヤシマの国でも見てないし、海の向こうのトウソンの国やサイロウの国でも見なかった。僧というものは伝わってない可能性が高そうだ。


 まあ、坊主が大きな権力を持っているよりは良いか。代わりに神社が権力を持ってそうだが、それは仕方がない。ガイアルム王国やその近辺でも、神殿勢力は権力や権威を持っていたからな。


 宗教や信仰を纏める奴等が力を持つのは、元の世界でも変わらなかった。変わらなかったとはいえ、納得している訳じゃないが……。


 少なくとも喧嘩を売ってこない限りは、こちらから手出しをする気は無い。正しくは阿呆の相手をするほど暇じゃないって事だ。


 そんな事をつらつらと考えていたら、目的のウベの街に辿り着いたらしい。まだ夕方にもなってないどころか、おやつの時間ぐらいだ。


 ウベの町に入った俺達は、情報収集の為に分かれて町中を散策する。俺は4人に銅貨3枚を握らせて話しを聞く。すると、なかなか面白い話しを聞く事ができた。


 お偉い方の家臣の家臣の息子らしいが、その御蔭で何となくヤシマの国の統治方法が見えてきた。元の世界の日本と似ているし違うという、ちょっと面白い状況になっているぞ?。


 町の入り口で皆と合流したら東へと出発する。走り出して直ぐ、皆と【念話】で情報交換を始めた。皆の方は相変わらず大した情報は得られなかったみたいで、ちょっと怒っている。



 『まったく、人様の足元見るような奴等ばっかりだったよ! 金を寄越せと言わんばかりにこっちを見てくるし! 本当に腹立たしい奴等さ!!』


 『足元を見ているのもありますけど、それ以上に余所者に関わりたくない感じでしたね。態度が非常に悪かったのもありますが、欲に濁った目で見てくる者もいましたので怒り狂うのは当然です』


 『私の方にもそういう男は居たわね。女性に話を聞いたら、最近荒くれ者が増えていて困ってるそうよ。何でも他所から流れてきた者がそれなりに居るらしく、お偉い方々はかなり警戒しているらしいわね』


 『それは私も聞いたね。何でも筑前、豊前、長門、周防、石見、安芸、備後と備中のある程度を領地に持っている、紅衆とか言う偉い方が気にしてるらしいよ』


 『あー……その事なんだがな』



 俺は皆にある程度の予備知識を教えたが、細かい事まで覚えていないので、教えてなかった部分を教えていく。大名だったり国人や土豪の事など、俺も完全に理解している訳じゃないが、教えられる事は教えていく。


 町で聞いたヤシマの国特有の統治者や統治方法も合わせて話していこう。驚いたのだが、ヤシマの国には紅衆と白衆という2種類の”武士”がいる。


 紅衆は上に立ち統治する者、白衆は下に付き治安を保つ者。つまり政治と軍事が綺麗に分かれているのが特徴らしい。


 かつては紅衆が全て行い、白衆は従うだけだったそうだが、今は担当が分かれており各々が責任を持つそうだ。ちなみに紅衆が官位でいう<守>、白衆の筆頭が<介>を賜るという決まりらしい。


 そしてアルメアが言ったこの辺りの紅衆は”大内”だった。ちなみに白衆筆頭は”陶”と言うみたいだ。……そいつ謀反を起こしませんか? 俺が言っても誰も聞かないだろうけど。


 どうも紅衆と白衆が平氏と源氏みたいな感じで分かれているみたいで、平とか源と言う苗字の物凄く偉い方もいるそうだ。つまりアレか……この世界では源氏と平氏と戦国の武将が入り乱れてるのか? 何だそのカオス。


 唯一の良いところは、領土が大きい為に思っているより争いが少ない事だ。魔物もいるので戦ばっかりしていられないのだろう。


 戦に負けて逃げ帰る途中に魔物に喰われて死ぬという事もあるそうで、武士にとって末代までの恥となるそうだ。その為、魔物退治で体を鍛えている猛者もいて、地元では人気の武士もいる。


 鹿や猪が元の世界では害獣とされていたが、この世界では魔物がそれに当たる。とはいえ、元の世界の鹿や猪とは比べようもない程に強い。大抵は徒党を組んで魔物を狩るらしく、戦の訓練として魔物狩りをさせている紅衆や白衆もいるみたいだ。


 特に弓が使える者は出世できる事があるらしく、自作の弓を作り練習する者は多いらしい。駄目でも村や町で魔物と戦える者は重宝されるので、覚えて損は無いらしく、俺が話を聞いた若い奴も練習をしていると言っていた。


 だからこそ、ヤシマの国では普通に肉が食べられているんだよ。



 ▽▽▽▽▽


 0587終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨598枚

 銀貨530枚

 大銅貨301枚

 銅貨215枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ