0579
ここからヤシマの国の話が始まりますが、ヤシマの国はヤシマの国であり、日本ではありません。
用法用量を守って正しくお楽しみ下さい。
カマクラ内でゆっくりと明日の話し合いをしているとダリアとフヨウが眠ってしまっていた。残った全員を【房中術】と【鋭覚】で返り討ちにし、さっさと寝かせる。明日は長く舟の上かもしれないので、早めに休ませておきたい。
俺も今日は疲れたし、明日は何とか陸地まで集中力を切らさない様にしないといけない。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界241日目>
おはようございます。本日は水の季節1日目です。まあ、そうは言っても大した感慨とかはありませんが……。この世界にきて1年とかの節目ならともかく、季節の移り変わりではね? まだ1年目だし、感慨に耽る様な思い出も多くない。
熊の着ぐるみを着てカマクラの外に出たら、焼き場の前で料理を始める。小麦の全粒粉を練り生地を作ったら【熟成】を使ってから焼く。
チャパティが出来たら、次に大怪鳥の肉を一口大に【分離】して、竜の脂で揚げていく。小麦が勿体ないので素揚げだが良いだろう。
ちなみに、脂は毎回【浄化】しているので綺麗なままだ。後、何故か脂も腐る気配がしない。竜ってどうなってるんだろうな?。
そんな事を考えながら人数分揚げ終わると、後はスープとなるのだが、今日は香辛料と野菜だけのシンプルなスープにしよう。
寸胴鍋を出し聖水と野菜と塩を入れて煮込んでいく。流石にアレなので、途中で大怪鳥の骨から出汁を【抽出】して足しておいた。流石に野菜と塩だけはシンプル過ぎる。
全ての料理が終わっても皆は起きてこないので、今の内に塩を作っておこうと思い海に行く。
砂浜から海水を【念動】で持ち上げて、海水から塩を【抽出】する簡単なお仕事だ。綺麗な塩を小樽3つ分作ったので、さっさと戻ろうと思ったら烏賊が近くに居た。
【念動】で近くの海水ごと強引に持ち上げたら砂浜に落とす。後はナイフで一突きすれば烏賊ゲットだ。【浄化】をしたら、足を含めた部分を引きずり出して骨を取る。
次に一口大に【分離】して鍋の中に入れる。腸などの要らない部分は穴を掘って埋めた。具が1つ増えたと喜んでいると、どうやら皆が起きた様だ。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャア」 「………」
「今日はちょっと遅かったかい? もう朝食が出来てるとは思わなかったよ。ありがとう。それにしても無人と……う?」
「……この、スープに入っている白い物は何ですか? 見た事が無いのですが、噛むと美味しいので変な物では無い様ですし、食べられない物をアルドが入れたりしないとは思いますが……」
「それは烏賊だよ。塩を作る為に海に行ったんだけど、烏賊が近くを泳いでいてさ。それで獲って直ぐ絞めてスープに入れたんだ。烏賊や蛸は噛むと旨味が出てくるから、美味しいんだけどな。合わないなら無理に食べなくても良いよ」
「無理に食べなくても普通に美味しいわよ? それよりも、これって干物じゃない烏賊なんでしょう? それで見た事が無かったのね」
「なかなか美味しい物だね。クニュクニュしているのは腸に似ているけど、こっちは噛みきりやすい。ついでに噛んでいると味が出てくるし、面白い生き物だね」
「海の食べ物も今の内に獲っておかないのか? と言おうと思ったんだが、アイテムバッグの中がまた滅茶苦茶になるだけか。食べる物ばかり入っていても、アルドが困るだろうしな」
「僕達のアイテムバッグに入れるっていう手もあるけど、それもあんまり意味無い気がするしね。入れても僕達がまともに料理できるわけじゃないし、そのまま忘れそうな気もするよ」
「まあ、実際に忘れる事は無いだろうが、新しく入れるなら先に大怪鳥や竜を食べ切ってからだろうな。食べ物ばっかりどんどん詰めていっても仕方がない」
そんな話をしながらの朝食も終わり、全て【浄化】した後でカマクラと焼き場をフォルに壊させた。【念動】で舟を海まで運び浮かべたら、皆を乗り込ませて最後に俺が乗る。皆に問題が無い事を確認したら出発だ。
再び海水を操り東北東へと進んで行く。ちなみにだが、海水を【魔術】でベルトコンベアの様に動かして進んでいる。
船の周りの海水そのものを動かしている為、水の影響は殆ど無い。ただし高速で動いている以上、風の影響はどうしても受けてしまう。仕方がないことではあるが、時速60キロを超えると流石にな……。
舟が壊れる程の風圧ではないんだけど、木造船である以上はFRP製よりは当然脆い。ギシギシいったりもしていないのでヤシマの国までは保つと思うんだが、港に入れないパターンだと別の港に行く必要があるんだよなぁ……。
そこまで保つかは分からないので、ちょっと心配なんだ。そんな不安を乗せたまま昼になり、船の上で昼食を食べながら進む。
昨日と違い、昼頃になっても陸地は見え……た! 【探知】に人の反応が有る! 博多かは知らないが、少なくとも人の気配はあった。
皆に気配の事を話し、そちらの方向に向けて舟を走らせる。意外に人が多く居るみたいで、気配の数が増えてきた。もしかしたら最初の気配は漁師だったのかもしれない。
そんな事を考えつつ近付いていくと、あまり大きくない港があった。大きくないって言うか、多少の桟橋っぽいのがあるくらいだ。
小さい小船を連結して桟橋っぽいのを作っていると言えば伝わるだろうか? 船橋というのを聞いた事があるが、まさにそんな感じだ。
コンクリートとか無い時代だから仕方がないのだろうが、ショボ過ぎない? シャイランでも、もう少し固められてたり石で補強したりしてたぞ。
俺達が舟で近付くと、警戒した漁師が似た様な舟で近付いてきた。周りにも他の漁師の舟が集まってきたな。
「お前達はいったい何者だ!? 何で舟に乗ってここへ来た!」
「俺達は旅をしている者だ! こっちにヤシマの国という国があると聞いて舟に乗ってやってきた!」
「あんた等は大陸の方か! これはすまねぇな。ここの港は近くの奴等が荒らしに来たりするんでな、小早だと皆が警戒しちまうんだ。大陸の人は皆デカい舟に乗ってくるんでなぁ」
「あんた等はこっちに来な。小早なんかはこっちだ」
俺達は先導されるままに港に入る。漁師達に聞くと、トウソンから来た船は8日ほど前にシャイランに向けて帰ったそうだ。海流の影響で北に流されるのかね? まあ交易船の事はどうでもいい。
漁師達に「少々壊れてるかもしれないが、欲しい奴にあげてやってくれ」と言い、舟を押し付けた。漁師達は直ぐに舟を点検するや「俺に寄越せ!」「いや、俺の物だ!」と殴り合いの喧嘩を始めたが放っておこう。
俺達は港から町に入って行くが、港にも倉が多くて思っているよりも大きな町だった。時代劇で見る様な町並みではないが、それでも寂れている訳じゃない。
大陸からの船が来るから賑わっているのかもしれないが、蛮族の国では無い事に人知れず安堵した。
まずは宿を確保しないといけないので、町の人に聞きながら宿を探す。名のある宿と大した事の無い宿とがあるらしく、俺達は大した事の無い宿に行く事にした。
何故かと言うと、金を持ってそうだとボッタクられると何人かが教えてくれたからだ。金はあるが、ボッタクられて良い気分な筈が無い。
宿に行き店の人に宿泊を頼むと大銅貨6枚だった。あれ? ヤシマの国でも銅貨や銀貨に金貨は使えるのか? そう思って聞いてみると、「大陸のお金も普通に使えますよ」との事だった。
古い日本と同じで、銅銭しかないと勝手に誤解してたみたいだ。ヤシマの国でも普通に銅貨や銀貨や金貨は使われているらしく、贋金を作ると首を落とされる重罪となるらしい。
アレだ、この世界では南蛮吹きというチートは使えない様だ。そんな下らない事を考えながら、案内された部屋に入っていった。……全面板張りの、囲炉裏のある部屋に。
そういえば畳って戦国時代辺りの物で、昔は高価な物だったんだっけ? 大した事の無い宿じゃ使えないよな。靴というかブーツは既に脱いでいるし、板張りでも特に問題は無いんだが。
こう……イメージがね。
▽▽▽▽▽
0579終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨593枚
銀貨501枚
大銅貨304枚
銅貨248枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




