0057
2人は止まった……んだが何かボーッとしてるな? 【念術】に失敗したなんて事はありえないし、何かあったワケでもないだろうし、とりあえず話をするか。
「2人とも、どうしたんだ? ボーッとしているが」
「「んっ! ……何でもない!!」」
「いや、まあ、大丈夫なら別にいいんだが。問題があったら言うようにな」
「「大丈夫!!」」
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。何の問題もないさ。ちょっと惚れ直しただけだよ」
「そうです。惚れ直しただけですよ」
「…………そうですか」
「話は変わるんだが、君等が持ってる武器は俺が作った物?」
「そうですね。頑丈で壊れ難く、手入れが楽ですから。お金を貯めて買い取りました」
「私達3人は、もう直ぐ3人だけでやっていく事になっていますから」
「えっ、合わなかったのか?」
「違いますよ。8人だと楽になり過ぎて、傭兵としてランクアップし辛いんです。更に言えば、お金の方も厳しいんです」
「ああ、人数が増えれば収入は減るな。俺は最初ソロだったからなぁ。獲物の運搬が大変だったくらいで、金銭面の苦労は特に無かった」
「実力があれば、ソロでいいんでしょうね」
そんな話を8人組としていたが、休憩が終わったようで8人組は狩りに行った。俺達も休憩を終えて、北に迂回して山の方へ進む。山の近くで魔物を発見した。あれはコボルトか。
まだ平野なので目視で互いに確認できる。コボルトはこちらを見るなり一斉に向かってきた。俺は1番右端のコボルトに対して、身体強化と武器強化を使ってから矛で斬りつける。
何の抵抗も無いどころか空気さえ斬り裂いて、矛の刃は右から左に進む。コボルト2匹の動きに合わせて、胴体がズレて下に落ちた。
おかしな斬れ方したぞ!? 刃が加速した!? いや、それはない。……空気抵抗が殆ど無いんだ、だから加速しているように感じる。どんだけ斬れるんだよ!? この矛!。
2人を見ると、2人も呆然としていた。左のコボルト2匹は、胴体が斬られて上半身と下半身に分かれている。真ん中のコボルトは、綺麗な断面で唐竹割りにされていた。
長巻はともかくファルクスの断面か? と言いたくなるほど綺麗に斬れている。あそこまで綺麗にいったら呆然とするわな。押し切る武器でスパッと斬れればなぁ。
死体を【浄炎】で燃やして先へと進む。斬れ過ぎるので殺し方を考える必要があるが、結局、首を落とすのが1番良いという事に決まった。元々首を落としたりしてたが、改めて決めておく。
山の方へと進んでいると、今度はゴブリンが現れた。面倒なのでコイツ等も試し斬りに使った。首に矛の刃を差し込むと、抵抗も無く入ってそこから右に薙ぐ。それだけで終わる。
2人もゴブリンとの試し斬りで、やっと感覚が掴めてきた様だ。優秀すぎる武器というのも中々難しいものだな。死体を【浄炎】で燃やして先へと進む。するとフォレストベア2頭が現れた。
「1対1で戦わせてくれ!」
「いいよ! アタシも1対1ね!」
フォレストベアと1対1で対峙する。フォレストベアが腕を振って攻撃してくるのを待つ。攻撃を繰り出してきたので、カウンターとして矛で爪を斬った。フォレストベアの爪も、何の抵抗も無く切り裂く。
武器を小烏丸に変えて、再度フォレストベアの攻撃にカウンターで合わせて爪を斬る。あっさりと爪が斬り落とされた為、フォレストベアは怯えて逃げようとする。ジリジリと後ろに下がり、こちらを伺う。
フォレストベアが後ろを振り向いた時に、ファルクスが振り下ろされて首が落ちた。アイコンタクトは上手くいったな。流石に連携くらいは出来るように練習しておかないと。
獲物を解体して処理し、村に帰る事にする。帰路で魔物に遭う事は無かったので、楽に帰る事が出来た。毎回こうなら愚痴を言う事もないのに……。
村に戻ると解体所に行く。いつも通り査定して貰い、全て受け取る。今回はフォレストベア2頭だけなので大銀貨2枚だが、1対1の事があるので断った。
そうしたら2人は相談し始め、酒の材料代になる事が決まる。まだある程度の酒は残っているらしく、作るのはウイスキーとブランデーでいいらしい。
キツイ酒をストックしておきたい様だ。その考え方が、呑兵衛の考え方だという自覚はあるんだろうか?。
ギルドへ行き手続きを済ませ、食料店に行く。2人は材料を買いに行ったので、少し店内を見回るか。色々ある中で目を引いたのは、豆だった。豆っていうかピーナッツだ。
まんまピーナッツだったので銀貨1枚分という大量買いをする。更に塩を大銅貨10枚分買って店を後にした。2人は怪訝な顔をしていたが、俺は気にしない。
宿に戻って夕食を3人分注文し、大銅貨3枚を支払っておく。部屋に戻ったら、装備を外して浄化した後に食堂に移動する。
カウンター席でイチャイチャしていたら、女将さんが来た。
「3人とも、おかえり。今日聞いたんだけど、森の洞窟で採れた魔銅が王都に運ばれたんだって」
「ただいま、トーカ。そうなのかい? アタシはもうギルマスじゃないから、詳しくは分からないね」
「トーカ、ただいま。魔銅が売れれば、今よりも村の状況も良くなるでしょう」
「ただいま、女将さん。普通の商人とかなら良いんだけどな」
「そうなんだよね、そこを今日話してたんだよ。変な連中に来られても困るからね」
「まぁ、大抵の場合は杞憂で終わるのですが……」
「偶に碌でもないのが来るからねぇ。傭兵も変なのが来なきゃいいけど」
言霊とかフラグとか知らないのかなぁ、そう思ったが黙っておく。俺が言うと現実になった時にへこむからな。食事をしてゆっくりした後、部屋に戻る。
部屋に戻って酒作りを始めるのだが、2人はそれを見ながら飲み始めた。
……気を取り直して作り始め、時間は掛かったが完成した。時間が掛かったのは、大銀貨2枚分を遥かに越えるからだ。
お金を出して追加で買ってきたらしい。3樽ずつ作ったと言えば量の多さが分かるだろう。次はピ-ナッツだが、まずは【乾燥】を使ってきちんと乾燥させる。
ピーナッツの殻と薄皮を【分離】して分ける。殻と薄皮は裏庭で【破砕】と【粉砕】を使い粉にして捨てる。
部屋に戻り、ピーナッツを浄化して塩を多めに振って出来上がり。椀に移してポリポリと食べていると、横から手が伸びてきた。
酔っ払いに奪われながらも、久しぶりに食べたピーナッツは美味しかった。食べた後に浄化していたら後ろから抱きつかれ、前からも抱きつかれてベッドに連れていかれる。
今日も【房中術】を本気で使って、完全に撃沈させる。いつも通り、とても嬉しそうだ。全て浄化した後に俺も寝よう。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界27日目>
おはようございます。今日は久しぶりに、狩りの前にギルドへ行こうと思います。朝にギルドへ行かなくなったなぁ。まぁ、行く必要があんまりないんだよ。情報もそんなに変わらないし。
浄化して綺麗にしていると、2人が起きた。
「「チュッ! おはよう、アルド!」」
「おはよう、2人とも。今日も機嫌が良くてなによりだ」
「前にも言ったけど、当たり前だよ。あんなに愛されて、嬉しくならないワケがないよ///」
「そうですよ。でも……あれほど愛されたら、ダメになりそうです///」
「なりそうって言うか、もうなってもいいよね///」
「ですね。ダメにしてもらいましょう///」
今日は朝からですか? 別にいいけど。結局2人は早々に撃沈したので、嬉しそうなままの2人を浄化して食堂に下りた。
2人は後で来るだろう。3人分の朝食を注文し大銅貨3枚を払う。
ゆっくりしていると、女将さんがニヤニヤしながらこっちに来た。今日も女将さんは機嫌が良いらしい。
「おはよう、お客さん。2人は部屋に居るのかい?」
「朝からだったんだ。だから2人はまだ部屋に居るよ」
「朝からだったのかい? 本当に”お盛ん”だねぇ」
それは俺じゃなくて2人に言ってほしい。最近どんどん積極的になってきている。どっかで歯止めを掛けないと、流石にちょっとマズイ気がする。どうすればいいんだろうか?。
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0057終了時点
金貨27枚
大銀貨27枚
銀貨14枚
大銅貨6枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪の斧
風鹿の角の十手
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ