0577
「はぁ、滅茶苦茶なのは横に置いておくとしてだ。無人島で一泊した後、更に進むと博多? って所に着くんだね?」
「いや、この世界の地名は分からないから何とも言えないが、元の世界の博多の位置にある港町に着くって事だろう。博多は古くから大きな港町で、大陸からの船がよく来ていた所だ」
俺は紙を取り出し、簡略化した日本地図を書いて博多の場所を皆に教える。皆は日本の形を見て驚いているが、何か驚く様なところがあったか?。
「アルドの元の世界では、自分の国の形が正しく分かっているんですね。私はこの精度の地図を見た事がありません。これだと地理が丸裸にされてしまい、非常に危険ですからね」
「でも旅をしたりする側から見れば、これほど便利な地図は無いと思うわ。自分で町や村の位置を書き込んでいけば、何処を旅したかも直ぐに分かるもの」
「地図の事は今は置いておくとして、博多というのは随分西にあるというか、ヤシマの国の西の端なんだね。そこから東にずーっと行ったココが、京という都か……」
「なに京かは知らないけど、多分そこにあると思うし、そこにあれば元の世界だと平安京だな。その南東にあったのは平城京だし、他にも藤原京とか長岡京とかあったけど……まあ、それはどうでもいいか」
「そのナントカ京というのは国の都、つまり王都だろう? 何故そんなに沢山あるんだ? 普通は国に1つじゃないのか?」
「遷都と言ってな、都の位置を変えるんだよ。ここだと良くないからこっちに移そうとか、最近良くない事が立て続けに起こるのはここに都がある所為だとか。今の時代で考えると訳の分からない理由で都の位置を変えてたんだ。古い時代は特にね」
「ふーん……。そんなにコロコロ王都の位置を変えてたら、住んでた人達が怒らないのかな? 折角王都に住んでたのに、王都じゃなくなった! とか言い出して騒ぎになるよね? 普通は」
「昔の時代だと、大真面目に国民も信じてたんだよ。都の位置が悪いとか、王の徳が足りないとか。訳の分からない理由で、国が乱れている責任を何処かに押し付けてたんだ」
「頭が悪いって言うのは簡単だけど、今の時代だって誰かや何かに責任を押し付けるのは変わってないからねぇ……。昔の人を笑えないよ、まったく」
「どこの世界でも、どんな時代でも、変わらない事って意外にあるんでしょうね。頭の悪さぐらいはマシになってほしいものですが、それは難しい事なのかもしれません」
何故かしんみりしてしまったが、そんな話をする気は無かったし、そういう話に持って行く気も無かった。まあ、今さらこの雰囲気を払拭するのは難しそうだし、気付いたら夕方だから食堂に夕食を食べに行くか。それで雰囲気は良くなるだろう。
昼に行った食堂に行き、大銅貨9枚を支払って夕食を食べる。夕食はパンと海鮮のごった煮だ。漁師メシかと言いたくなる程に大量に入っていたが、それぞれから出汁が出ていて凄く美味しかった。十二分に満足できたので、良い気分のまま宿の部屋に戻る。
部屋に戻るとダナに食糧に関して聞かれたが、「何も買わずとも問題は無い事を確認した」と言っておいた。そもそも無人島なら海が近いのだから、【念動】で海産物も獲れるので食料の心配はしなくていい。その事を説明すると完全に納得した様だ。
心配する気持ちも良く分かるし、こういう部分はなあなあで済ませると良くないからな。ちゃんと不安は解消しておかないと。こんなところからチームがガタガタになるのは勘弁してほしい。
紅茶を淹れて皆で飲みながら、夜遅くまで明日の航海について話し合った。と言っても、ダリアとフヨウが寝た後は【房中術】と【極幸】でキメてしまいさっさと寝かせたけどね。明日に疲れを残す訳にもいかないし、俺も早く寝るか。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界240日目>
おはようございます。土の季節の最後の日となりました。こんな寒い季節に海に出る奴は殆どいないでしょう。交易船ぐらいしかないだろうが、帰ってこれるのかね? 俺達なら何を使ってでも帰れるが、交易船は危険だろうに……。
とはいえ、一攫千金が叶うなら危険な海に出る奴もいるか。結局のところ危険性という意味では、砂漠を越えるのと然程変わらないと言える。
あっちも十二分に危険だし、盗賊までいるからな。砂の海とも表現されるが、水が容易に手に入らないところも悪い意味で似ている。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「………」
「今日は久しぶりの快晴って感じかねぇ……。神様が今の内にヤシマの国に行けって仰ってる気がするよ。こうも都合よく晴れると、神様が天候を変えたんじゃないかって思ってしまうね」
「今日は土の季節最後の日ですから。偶々晴れただけなんじゃないですか? 明日から急に天候が悪くなるとは思えませんし、昨日も若干曇ってましたが、そこまで天気は悪くなかったですよ」
「まあ、今日から2日は舟の上だから、色々思うところがあるんじゃないの? 私は多分大丈夫だと思うけど、実際に舟に乗ってみないと分からないわね」
「船酔いというヤツかい? 私も舟に乗った事なんて1度しかないよ。そのうえ短い時間だけだったから、経験としては無いに等しいぐらいだ。だから私も乗ってみないと分からない」
「皆そうじゃないのか? 私も舟には乗った事は無いし、そもそも何がしかの理由が無ければ乗ったりしないだろう。そんな理由も無い者が殆どだ。結局、漁師でもない限り乗る事は無いと思う」
「そうだろうね。海や川に落ちる危険もあるし、泳げなければ溺れて死ぬって聞くし。水って結構怖いものだから、普通は用も無ければ川に近付いたりさえしないよ。川の水って汚い事多いし……」
そういう意味で近付かないのか……。まあ煮沸すれば飲めなくもないのだろうが、煮沸しても危険な物は危険だしな。飲料水だと、井戸の水が基本になるのは何処も変わらないか。
俺の場合は【浄化】したり、川の水を浮かせて水分子だけ【抽出】すれば、綺麗な飲み水は手に入ってしまう。なので、綺麗な水が貴重だという事を忘れそうになる。
仕方がないんだろうし、神様が「使えるものは、何でも使え」という方々だし。まあ、ありがたく使わせて貰ってるんだけどさ。こう、世間からズレるのはしょうがないのかね?。
下らない事を考えつつ食堂に行き、大銅貨9枚を支払って朝食を食べる。朝食はパンと肉とスープの普通の食事だった。さっさと食べて昼食用のサンドイッチを大銅貨9枚で買ったら港に向かう。
すると、昨日の船大工が舟を海に浮かべてくれていた。大銀貨2枚を払い舟に乗り込むと、【水魔法】の【大波】を使って舟を進める。
港から驚く声が聞こえるが、それを追い越す様に俺達を乗せた舟は進んで行く。俺が買った舟は、いわゆる木のボートの様な物だ。
全長8メートル程の舟で、古い時代だと小早といわれる舟になる。普通は漕いで移動させるのだろうが、載せてあった櫂は使わずに【水魔法】で移動している。他人の目が無くなれば【魔術】を使うのだが、今はまだ無理だ。
それでも時速30キロほどは出ているので、それなりに快適な移動なのではなかろうか。誰かさんは強烈な風に身を屈めて震えているが、他の皆は割と楽しそうだ。
そんなに寒いなら【風魔法】の【風壁】を使えばいいのにと思うが、本人にとってはそれどころではないのだろう。
途中トイレで恥ずかしい目に遭いながらも、俺達は順調に進んで行く。ちなみに用を足す場合は舟の1番後ろに行きしている。もちろん皆は前を向いて、後ろを見ない。
港が見えなくなってからは【魔術】で直接海水を操作して進んでいるが、思っているより速度は出せない。単純に言うと寒いからだ。多分だけど時速50~60キロぐらいだと思う。この速度で間に合うか分からないが、着くと信じて進むしかないな。
【探知】と【空間把握】も使っているが、襲ってくる魔物などは今のところ見当たらない。順調なままヤシマの国まで行きたいが、どうなる事やら……。
って、自分でフラグ立ててどうする!?。
▽▽▽▽▽
0577終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨528枚
大銀貨593枚
銀貨501枚
大銅貨310枚
銅貨248枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




