表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
574/1948

0573




 昼食後、チャンニの町の東にあるアイウェンの町を目指して移動を開始した。それなりに遠いのは分かっているが、どのみち反乱軍などが居るのなら野営の方が安心なくらいだ。町に宿泊している時に攻められたら目も当てられない。


 そんな面倒臭い事になるぐらいなら、野営をしていた方が楽だ。それに町から離れた場所で野営をしている奴に絡む事などしないだろう。


 夜は魔物の時間と言ってもいいぐらいだ。圧倒的に人間種が不利な時間である以上は、早朝くらいならともかく、深夜に軍を動かしたりしない。


 敵軍よりも恐ろしい魔物に、いつ襲われるか分からない。仮にこの世界で銃が誕生しても、夜間行軍は死と隣り合わせだろう。


 ついでに邪生の事もある。大規模になれば、その分だけ邪生が生まれる可能性は上がってしまう。そうなると軍が内部崩壊しかねない。


 隣に居る仲間が突然自分を食い殺そうとしてくる。……どっかのB級ホラーかと言いたくなる状況が、本当に生まれてしまうのがこの世界なんだよ。何と言うか、今改めて理解した。この世界は元の世界とは全く違うのだと。


 そんな事を考えたり【念話】で話したりしていると夕方になってきたので、丁度良さそうな所にカマクラと焼き場を作る。


 パンは作ってもらい、スープの準備をしよう。聖水と野菜と竜のかす肉を入れて煮込んでいく。【抽出】や【熟成】も使うので、そこまで時間は掛からずに終わった。


 後は見ているだけなので残りのメンバーに頼んでおき、俺は大怪鳥の肉をある程度の大きさで焼いていく。そこまで大きくはないが、パンで挟める程度の大きさにはしておこう。


 今日の夕食はサンドイッチだ。大きさと食べ応えはあるので、サンドイッチと言っても十分夕食になる。


 既に近くでパンを焼いているので、焼きあがったパンに解凍した野菜と肉を挟んで皿に乗せる。全員分出来上がったら、スープを椀に入れて早速食べよう。


 ダリアには小さく切ったサンドイッチだが、多分食べている間に崩れるだろう。そこは諦めてほしい。



 「そう言えばサンドイッチを食べるのも久々だね。買って食べるのはこんなに美味しくないけどさ……。たまには良いかと思ってたけど、この味と大きさだと十分すぎる気もするよ」


 「もともと売っているサンドイッチは、これの半分ですからね。それでも、お昼には少し足りない程度はありましたよ。これは明らかに大きいですし、中の鳥肉が思っているより大きいです」


 「大怪鳥のお肉は薄く切ってあるから、大きさの割には食べやすいわよ? 自分達で作ったパンだからか、それともアルドが【熟成】などを使ってくれてるからか分からないけれど、自分達で作って焼いたパンは美味しいのよね」


 「多分メルは聖水の事を忘れてるんだろうね。それと主様の作った綺麗な塩と、綺麗な小麦の粉の事も。そもそも素材の質が違うんだから、出来上がる料理の味も違って当然さ。私達はなんだかんだと言って、贅沢な食生活をしているよ?」


 「まあ、それはアルドと共に居る様になってからずっとだな。店で食べる時はそこまででも無いが、野営の時の料理は基本的に贅沢な物だ。特に竜の肉は贅沢を超えているしな」


 「王侯貴族でも生涯に1度食べられるかどうかでしょ? それを僕達はバクバク食べているし、贅沢と言われれば反論しようが無い程の贅沢だよね。それに、他にも大怪鳥とか海の食べ物とか……」


 「新鮮な海産物は、内陸では確かに贅沢品だからなぁ……。古い時代では言わずもがな、近代でも新鮮なのはやっぱり海の近くまで行かないと食べられない。内陸では凍らせた海産物しか無理だから、距離と言う敵は本当に強いと思うよ」


 「魚とかを凍らせるのかい? ……ああ、成る程。凍ってる間は腐らないんだね。凍らせたまま運べば、内陸でも生の魚や貝が食べられるって訳か……アイテムバッグを持つ商人が儲かりそうな話だねぇ」


 「でも内陸の王侯貴族にしか売れなさそうですよ? そもそも庶民だと、そんな高価な食べ物を買わないでしょう。それに魚の捌き方も知らないでしょうから、買う者自体が限定されますよ」



 本物の海からだと遠すぎて運送料が凄い事になりそうだな。近くのダンジョンからとなったら、今度は血みどろの奪い合いになりそうだ。本当に碌な事になりそうもない。とはいえ、商人の世界なんてそんなもんだろうけど。


 夕食後、直ぐにカマクラの中に入りゆっくりする。皆はチビチビと酒を飲んでいるみたいだが、俺が「薄めて飲んだら長く飲める」と言ったもんだから聖水を出す羽目になってしまった。


 水割りとか色々試した結果、現在はお湯割りで飲んでいるのだが意外にハマったらしい。それぞれで濃度が違うので誰が飲兵衛なのか分かりやすい。


 意外にも1番濃いお湯割りを飲んでいるのはメルで、1番薄いのを飲んでいるのはダナだった。フォルとシュラが同じぐらいに薄く、メルの次に濃いのがアルメアだとは……。意外な結果に少し驚いたくらいだ。


 ただ、温めた酒は酔いが回りやすいというのは本当の事らしい。薄めている筈なのに、いつもと同じペースで酔っている。


 ダリアやフヨウには温めたミードをあげたんだが、こっちは既に爆睡してしまった。普段なら中央に連れて行かれるんだが、今の時点で既に皆が怪しい状況だ。


 呂律が回っておらず、頭がフラフラ左右に揺れたりしている。ディルの指導をしながら心配していると、遂に撃沈した様だ。ディルと一緒に皆を移動させた後、【房中術】と【鋭覚】と【精気】で大満足させたら寝かせる。


 明日も移動なのでさっさと寝よう。加熱機の中の魔石は多分保つだろう。今日も一日、お疲れ様でした。



 <異世界238日目>



 おはようございます。微妙に肌寒い気がして起きてしまいましたが、どうやら加熱機の魔石が保たなかった様です。新しいのを入れたので今は問題ないのだが、目が覚めてしまったのでこのまま起きよう。


 まずは皆を浄化して、後はお茶でも淹れるか……。しかし困ったな、まさか外が雨だとは。パラパラと降っている程度だが、この時季に雨に濡れると高確率で風邪をひくぞ。熊のきぐるみは少々の雨ぐらいなら弾いてしまうが、それでも限度はある。


 今日は移動をしない方が良いかもしれないが、せめてアイウェンの町まで行ければ薬の材料ぐらいは買えそうなんだよな。多少の雨しか降ってないから町まで一気に走った方が良いか……。


 カマクラの中で全粒粉を練って生地を作ったら、【熟成】を使った後で団子をいくつも作っておく。出来たら寸胴鍋を出して、聖水と野菜と竜の内臓を煮込んでいく。綺麗すぎるほど浄化したので内臓の臭味なんかは出ない筈だ。


 それらをコトコト煮込んでいき、ある程度煮込んだら団子を投入して更に煮込む。良い匂いがカマクラ内に充満しているからか、遂に皆が起きた様だ。意外に時間が掛かったと言うべきかな?。



 「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」


 「おはよう、皆」 「ニャア!」 「………」


 「お腹が減ってるのか、この匂いに耐えられないのか、ダリアの鼻息が荒いんだけど……。気持ちは分からなくはないんだけどさ、もう少しお淑やかにしようか?」


 「まあ、今までに嗅いだ事が無い様な良い匂いが漂っているというか、充満してますからね。仕方がないと思いますが……うん? 嗅いだ事が無い?」


 「これって内臓系の匂いだとは思うんだけど、でも嗅いだことの無い匂いね。何故この匂いにダリアは反応してるのかしら? ダリアも嗅いだ事の無い匂いの筈よね……」


 「……多分竜の内臓なんじゃないかな? だとしたら良い匂いなのも分かるし、ダリアが反応するのも分かるよ。ダリアは竜の内臓を最初の方は貰って食べてたからね」


 「ニャ! ニャーニャ……ニャ!」


 「何かを伝えたいんだろうが、何を伝えたいのかサッパリ分からないな。そういえば、アルドは何故今日に限って、カマクラの中で料理をしてるんだ? 前にもあったような気はするが、どうだったかな……」


 「外が雨とかじゃないの? それ以外でアルドがカマクラの中で料理する事は無いと思うけど」



 フォルは意外に鋭いな。それとも俺の行動が分かりやすいだけか?。



 ▽▽▽▽▽


 0573終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨36枚

 大金貨152枚

 金貨528枚

 大銀貨599枚

 銀貨501枚

 大銅貨388枚

 銅貨253枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ