0570
騒がしい昼食が終わったので、今は少しゆっくりしている。皆もトウソンの国に入っているのは分かっているので、その事を話し合う。
と言っても、この国の事は殆ど分かっていない。フィキ山を越えた東にデイバの村があるだろうという事と、東の海の近くに王都がある事ぐらいだ。
分かっていないままに進む事になるが、そこまで厄介事も起きないと考えている。それは、この国は海を抱えているからか、他の国より荒れていないらしいんだ。
あくまでも他の国に比べてでしかないが、それでもサイロウ国の僻地でもあんなものだった。なので、そこまで大きな揉め事とかには巻き込まれずに済むと思っているし、最悪は逃げれば良いだろう。
俺達が本気で逃げたら追う事は難しいだろうし、そもそも追っ手は途中で殲滅すればいい。結局、気楽な気持ちで行く事に決まった。
後片付けを終えたら、焼き場をフォルに壊させて先を進んでいく。ある程度進むと村があったので中に入り、村人から情報収集を行うべく分かれて聞き込む。
余所者には口を聞かない雰囲気があったので、銅貨を数枚渡すとあっさり口を開いた。その後は驚くほど簡単に喋ってくれたが、全て【白痴】を使っているので嘘は無い。
5人から聞き込んだ時点で村の入り口に行き、皆を待つ事にした。この村は門番を置いていなかったが、理由は海の方が栄えていて、山の方は見向きもされないからだそうだ。
要するに、盗賊も襲いに来ない程の田舎という事らしい。魔物は堀に落ちてるぐらいで、大型の魔物が来る事も無いと言っていた。
ちなみに、この村の名前はデイバというそうなので、どうやら村は存続していたらしい。だが、山を越えてきた人が昔いた筈だと聞いても、話を聞いた5人の誰も知らなかった。
ダリアとカエデの相手をしていると、村の子供が近寄ってきたので一緒に遊ぶ。聞き込みに時間が掛かっている様だが、皆の居場所も分かっているので問題ないのも分かっている。
ダリアやフヨウと子供達で遊んでいるのを見ていると、皆が村の入り口にやってきた。聞き込みは終わったらしい。
なので子供達に別れを告げて、俺達は村を出発した。少し歩いて離れた後で走り出し、今は【念話】で会話をしている。
『村での情報収集は時間が掛かった割には大した情報が得られなかったよ。デイバの東にウルバイの村があって、その東にチャンニの町があるらしい事ぐらいだね。それにしても、こっちの村や町の名前は変わってるねぇ……』
『言葉は普通に通じているのに、変な感じがします。地名とかが妙な名前なんですけど、こっちの特色だと言えば終わる話でもあるんですよね……』
『この辺りの特色なんだと思えば良いさ。俺の元の世界だと、国が違えば言語が違うという事が多いから、そもそも言葉を覚えないと会話が出来ないんだよ。それに比べれば、この世界は神様が言語も文字も統一したから苦労は少ないんだ。イントネーションくらいかな?』
『えっ!? 神様が”言語”も”文字”も同じにしたの?』
『そう聞いたけど? 言語や文字を統一しておけば、少なくとも理解出来ないという事は無いだろうと考えたらしい。だから古い時代に降臨した際に、同じ言語や文字を教えたそうだ。まあ、今の時代は古い時代よりも増えているらしいけど、知神はそれを喜んでるらしいね』
『サラっと聞いた事の無い神様の名が出てきたけど、おそらく知識か知恵の神様だね? まあ、そういう神様が居て当然か……。他にも色んな神様が居そうだけど、考えるだけでも不敬かもしれないから止めた方がいいね』
『話を戻すが、私の方も特に変わりは無いな。ウルバイの村からチャンニの町の間は、距離が長いと聞いたくらいか?』
『ん~……多分そうだと思う。余所者を警戒してるというか、何しに来たんだっていう態度だったね。僕達が山を越えてきたって言っても信じて貰えなかったし』
『私の方も同じよ。それ以外は特に知らないんじゃないかしら。小さな村だったし、国の端だもの。情報があまり入って来ないのでしょうね』
『俺の方はもう少し情報が多いな。1人に5枚渡したし、やっぱり銅貨は強いと言わざるを得ない。チャンニの町から北の方に進めばダンジョンがあるようだ。この国の唯一のダンジョンなんだってさ。それと、デイバから北にある湖の近くに、反乱軍の様な奴等が集まっていると聞いた』
「「「「「「反乱軍!?」」」」」」
ビックリして【念話】じゃなく声が出てしまったようだ。別にこの国は圧政を強いている訳では無いらしいのだが、各町を派遣されてきた官吏が治めているらしい。
その官吏が賄賂を要求するそうなんだが、最近は要求額に満たないと投獄されたりすると怒っていた。その事に対する反感が強いそうで、無実の罪で捕らえられたり、処刑されたりするケースが増えている。
中央は派遣された官吏に対して賄賂を払わなくてもいいと言っているみたいだが、それを握り潰したり更なる嫌がらせを行うらしく、結果として反乱軍を組織するまでになってしまった。
デイバの村人も言っていたが、国に対して怒っている訳では無いらしいが、官吏を決めているのも国なので何とも言えないとの事。
国の所為と言えばそうだが、国が荒れる事は望んでいない。流石に反乱軍はやり過ぎじゃないかと、話してくれた村人は言っていたが……。
こういうのは1回火が着くと、そう簡単には止まらないからなぁ……。<黄巾の乱>みたいにならなきゃいいけど、何となく嫌な予感がする。とはいえ<黄巾の乱>と違うのは、規模の大きさだな。
本当かどうかは知らないが、<黄巾の乱>は20万とも30万とも言われてる。流石にそこまでの規模にはならないだろう。
この世界では魔物がいる所為で、そう簡単に反乱などは起こせないという事情もある。どこかに集まってと言っても、自然は魔物の領域であって人間種の領域じゃない。
盗賊の砦がサイロウ国にあったが、アレはどれだけの苦労や犠牲の上に作ったか分からない程だ。
魔物にとって人間種と言うのは、何処までいっても餌でしかない。その為、当然の様に襲い掛かってくる。それ等を跳ね返して村や砦などを作らねばならないので、簡単な事ではないし多くの人数や資材を必要とする。
村一つ作るにしても、地球とは比較にならない難易度だ。それもあって、この世界では人間種より魔物の生息域の方が広いんだ。
そんな話を【念話】でしていると、目の前に村が見えてきた。中に入り話しを聞くと、ここはウルバイの村らしい。
思っていたより近かったなと思いつつ、村人から情報収集をするべく皆と分かれる。俺はデイバ村と同じく銅貨を5人に渡して情報を聞きだしたのだが、5人目で厄介な情報を得てしまった。
その事を表情には出さず村の入り口で待っていると、意外に早く皆は戻ってくる。夕方前なので少し進んでから寝床を作る事に決めて、一気に進む。
皆も本気で走り、出来得る限り進んでからカマクラと焼き場を作った。ウルバイの村には宿も無かったし食堂も無かったので、野営をするしかない。
こっちの国々は傭兵業が無いからか、本当に不便だ。旅人なんかも滅多にいないらしくて、それ故に不審者の様に見られる。町だと違うんだろうが、村だと余所者を嫌うのは普通なんだろう。
料理をしながら、こっちの国々では情報収集もし辛いと皆が愚痴を溢している。
皆からすれば、俺は【白痴】を使って楽をしてると言いたいのだろうが、アレも失敗すれば相手を廃人にしてしまうので気を使うんだよな。その辺りの苦労は話しても共感を得られないので、しょうがないと思って黙っている。
今日は揚げパンと魚のソテーと野菜のスープだ。珍しくシンプルにいこうと思って、味付けは最低限にしてみた。
とはいえ野菜のスープの出汁は焼いた魚の骨で作っているので、そこまで薄い訳では無い。ただ、横着したというか、少し手を抜いた料理というだけだ。
さて、そろそろ完成なので、食べながら情報を纏めるとするか。
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0570終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨529枚
大銀貨599枚
銀貨501枚
大銅貨388枚
銅貨253枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




