0569
「確かに土の季節には食欲旺盛になって暴れる魔物が居るけどさ、まさかそういう理由だったなんて知らなかったよ。それにしても冬眠ねぇ……【気配察知】が使える今なら、ねぐらを強襲出来そうだね」
「出来るでしょうけど、わざわざ寝てる魔物を狩る必要がありますか? アルドが言うには食い溜めした物をゆっくり使っているそうですから、肉の味も美味しくないそうですし……。どうしても狩らなければ困るという程に飢えていないなら、無理して狩る必要も無いでしょう」
「でも、面白いわね。私達が戦う際には凶暴な熊の魔物が、風の季節の初め頃にはガリガリに痩せてたなんて。あの季節に魔物が活性化する筈よ、飢えてるなら襲い掛かって来るのは当然だわ」
「とはいえ主様も仰ったけど、全ての魔物が冬眠とやらをする訳じゃないから気を付けなければいけないね。魔物の中には水の季節でも襲い掛かって来るものは居るし、魔物同士の争いも見た事があるよ」
「私もあるな。水の季節の故郷は雪に閉ざされるのだが、そんな中でも耳狐が雪に顔を突っ込んで獲物を獲っているのは見た事がある。しかし、熊系の魔物は冬眠とやらをするのに、狐は冬眠しないのか」
「小さいから餌も少なくて済むし、だから起きて狩りをしてるんじゃないかな? 熊は体が大きいから餌が沢山要りそうだし、だから冬眠してなるべくお腹が減らない様にしてるんだと思うよ」
「あー……悪いが俺を見ても答えは知らないぞ? 色々言われてるけど、明確な答えは知らないんだよ。そもそも明確な答えがあるのかどうかすら知らない」
「まあ、知らないものは知らないんだから、しょうがないさ。水の季節は凶暴な熊系の魔物とは遭わない。そういう風に覚えてれば良いんじゃないかい?」
「それも、そうですね」
2匹にとっては興味の無い話だったのか、既にウトウトして眠りそうになっている。移動で疲れてる訳じゃなく、山越えも含めて暇だったんだろうな。
変わり映えの無い景色だし、唯の山越えだからな。寒いだけだと言われたら、それで終わってしまう程度の話だ。
出来ればヤシマの国って所まで行ってみたいんで、そこまでは我慢して貰えると助かるんだが……と、寝たか。
【念動】でダリアとフヨウをスライド移動させると、早速とばかりに連れて行かれた。カマクラの中は加熱機で温めてるからいいけど、本当に中学生レベルの性欲だな。
【房中術】と【喜昇】で撃沈し、さっさと寝かせる。やる事も無ければ、ここは山の中だからな。さっさと俺も寝てしまおう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界236日目>
おはようございます。何の魔物か知りませんが、カマクラの外に張り付いてます。【空間把握】で確認すると、どうやらゴブリンらしい。
カマクラ内が温かいから、張り付いてると温かいんだろうか? 鬱陶しいので、ゴブリンの上空に【凝水】を使い冷たい水を降らせてやった。
冷たい水を全身に浴びたゴブリンは、奇声を発して逃げていく。ちょっとコントみたいで面白かったが、ベッタリ張り付かれても邪魔でしかないからな。熊のきぐるみを着たら、カマクラの入り口を壊して外に出る。
驚くほどの寒さだった為、直ぐにカマクラを閉じたが、今年1番の寒さだぞ!。
山だからこんなに寒いのか、この辺りは寒いのか、それとも今日は珍しく寒いのか。いったいどれかは知らないがビックリする程に寒く、ゴブリンが張り付いていた気持ちが少し分かった。
焼き場の前で生地を練るのだが、身体強化をしていないと手の震えが止まらなくなりそうだし、凍傷になりそうだ。
それでも生地を作りアイテムボックスに仕舞ったら、寸胴鍋でスープを作る。聖水と野菜と干し肉を入れて煮込んでいくのだが、遂に干し肉が無くなった。まだまだ肉は沢山あるから良いんだけど、随分長く保ってくれたな。
スープの煮込みや、チャパティが焼け終わる少し前に皆が起きた様だ。熊のきぐるみを着たり、ダリアに着せたりして準備が整ったら入り口を壊して出てきた。
「「「「「「寒っ!?」」」」」」 「ニャ!!」 「………」
「おはよう、皆。今日はビックリする程に寒いんだよ。どれぐらい寒いかって言ったら、カマクラにゴブリンが張り付いてるくらいさ」
そう言いながら加熱機の魔石を抜いてアイテムバッグに収納する。皆は焼き場の近くに集まると、早速椀をだしてスープを入れていた。
殆ど完成してるからいいけどさ、何も言わずに入れていくのはどうなんだ? 生地もそろそろ焼けそうだし、朝食は完成間近だけど。
そろそろ薪と炭が無くなりそうなんだよな。なるべく薪や炭は使わずに来たけど、どうしても使わざるを得なかったりするし、朝食が終わったら自分で作るか。
酸素を【抽出】し続けながら【加熱】で熱を与え続ければ出来る筈だ。腰を据えてやるなら、普通にカマクラの中に放り込めば作れるんだ。
手順自体は普通に炭を作る方法となんら変わらない。それを【魔法】や【魔術】でやるだけだ。ただし本格的にやるなら多くの物を用意しないといけないので、正直に言って移動している身としては、拠点でもないとやる気にならない。
慌しい朝食を終えて、体が温まった皆はようやく落ち着いたみたいだな。まあ、あれだけ寒ければ仕方がないとは思うけど。
それにしても五月蝿かった。「寒い!寒い!」と連呼していて本当に面倒臭かったんだよ。何故かシュラは静かだったが、代わりに震えは凄かった。
「朝食を食べて少しはマシになったけど、猛烈に寒かったね。もしかしたら南の大河の所為かもしれない。水の近くって、朝は急激に寒くなったりするから」
「何でもいいですが、それより早く出発しましょう。寒すぎます」
結局、薪はともかく炭を作っている時間が無いので、木を伐り倒して薪だけ作って出発した。慌しく出発したものの忘れ物などは無い筈だ、
それは【空間把握】で調べたので間違いは無い。俺達の持ち物は割と貴重な品が多いので無くすと困るんだよな。
身体強化で移動しているからかシュラも寒くて震える様な事は無くなり、今は黙々と移動している。もうちょっと時間が経てば温かくなってくると思うが、今はまだ無理か。
移動し続けて昼前になった頃、遂に向こう側へと抜けた。山も既に下り終えているので、ここはトウソンの国だ。
ここから更に真っ直ぐ東へ進めば、デイバの村がある筈なんだが……。昔、山越えをした人はその村に辿り着いたらしいんだが、何分古い話だしな。
既に村は無くなってるかもしれないので、まずは昼食を食べよう。流石に村があるかどうか分からないんじゃ、今の内に食事をしておいた方が良い。食堂が無い可能性もあるしな。
焼き場を作り焼き網をセットしたら、いつもの様にパンを作ってもらう。魚を3枚おろしにして綺麗に骨を【分離】したら、すり鉢とすりこ木で潰して貰いつくねを作ってもらう。後は寸胴鍋に聖水と野菜とつくねを入れて煮込んでいくだけだ。
俺は余っていた大怪鳥の肉を、再び竜の脂で揚げている。ただし、今回はあえて素揚げにして好きな物を掛けて食べて貰う形にした。
素揚げなのに暴力的な香りがするのは結構困るな。これだけでも既に美味しそうなんだが、竜の脂が香辛料になってる気がしないでもない。
女性陣もそうだが、それ以上にダリアの鼻息が凄い。揚げていると近くに寄って来て、出来うる限り鼻を広げて香りを吸い込もうとしてるんだ。後で食べられるんだから、そんなに必死に匂いを嗅がなくてもいいだろうに。
昼食が完成したので食べ始めるのだが、やはり鳥の素揚げに殺到している。フォークをぶつけない! 食事時ぐらいゆっくりしなさい、子供じゃないんだからさぁ……。口に限界まで詰め込むとか勘弁してくれよ、まったく。
今日は朝食は慌しかったし、昼食は騒がしいし大変な1日だな。そんな事を考えながらつくねのスープを飲むと、思っているより美味しく出来ていた。野菜の甘みはちゃんと出てるし、魚の生臭さは出ていない。先にお湯に潜らせたのが正解だった様だ。
やっと落ち着いてきたな。
▽▽▽▽▽
0569終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨529枚
大銀貨599枚
銀貨501枚
大銅貨388枚
銅貨303枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




