0056
食堂でゆっくりしていると俺の昼食が来た。2人は気を失ったままのようなので、放っておいて食事をする。後で文句を言われそうだが、まあ大丈夫だろう。
食事をしていると女将さんが来た。
「あれ? お客さん1人かい?」
「そうだよ。2人なら、部屋で仲良く気を失ってるよ」
「気を失うって……。お客さん本当にスゴいんだねぇ」
「ちょっと盛りすぎだったんだよ、2人とも」
「2人もどうかと思うけど、お客さんもどうなんだろうね?」
「う~ん……そう言われてもなぁ」
そんな会話をしていると、2階から2人が下りてきた。俺を見つけると、2人は直ぐに隣に座って甘えてくる。昼飯食ってんだけど?。
「アルド、酷いじゃないか。アタシ達を放っとくなんて」
「ダナ、仕方ないでしょう。私達はちょっと甘え過ぎました」
「でもさ、放っとくのは流石にないよ……」
「でも、ベッドにアルドが来て我慢出来ますか? 私は無理ですよ?」
「アタシだって無理さ!」
「ダナさん、それは仕方ないよ。終わらなくなるよ?」
「そ、それは……」
「ダナ、気持ちは分かります。物凄く分かりますが、夜にしましょう?」
「……はぁ。しょうがないかー」
そこまでか!? 俺には分からないが、そこまでなのか? ……う~ん。考えても分からない、というか考えても無駄な気がする。下らない事を考えてると食べ終わっていた。
再び水を貰い浄化して飲む。2人が食事を終わらせるまでゆっくりとしていよう。食後は2人を浄化して部屋に戻り、ヒヒイロカネの武器を作る為に相談する。
昨日のアダマンタイトより多い為、大きな武器も作る事が出来る。3人で悩んだ結果、俺は矛、ダナは長巻、シュラはファルクスとなった。どんだけ気に入ったんだよ。
まずは2人の武器を作る。といっても長巻もファルクスも作った事があるので難しくはない。難しいのはヒヒイロカネだ。希少金属は難しい物しかないのだが。
こいつは一定以上の魔力の流れの場合、その流れ方が変化するという面倒で厄介な性質を持つ。1の速さの流れが、突然3の速さになったりする面倒臭さがある金属だ。
その為【錬金術】や【練成術】使用中に、突然急激に反応したりする。その特性さえ知っていたらマナリアの次に簡単だ。マナリアすら最高難度と言ってはいけない。
とにかく、特性は把握しているのでさっさと作ってしまう。出来上がりを見ると明らかに昨日とは違う。昨日は”重厚”だが今日は”煌めき”、そう形容するべき美しさを持っている。
ヒヒイロカネの刀身が出来たら、銅を非常に薄く被覆して刀身の完成だ。その後は組み立てるだけなので、さっさと終わらせて2人に渡す。2人は振れないものの感触を確かめている。
昨日と同じく「凄い!」と言って喜んでいる2人を見ながら矛の作成に入る。矛の刀身は剣型で長さは65センチ、根元に鉤部分を付けて引っ掛ける事が出来るようにする。
実は子供の頃にネットで見た事があり、正倉院の中に収められている矛が元となる。あれが人生で初めて見た矛だった。柄の長さは刀身と石突を足して丁度2メートルとする。
どこでも使える物となると、閉所に持っていける長さとなってしまう。刀身の長さは大身槍と同じぐらいだと言える。石突は球を取り付けて完成だ。
持ってみると分かる。明らかに魔力と闘気の通りが良く、反発や滞る感じが一切しない。
2人に聞いても同じらしい。ダナもシュラも、昔持っていたマナリア製とは比べ物にならないそうだ。
マナリアやヒヒイロカネという事ではなく、品質の違いが大きいんだろう。武具屋に行き、今まで使っていた槍と長巻を売る。武具屋に着くとガルドルさんが居た。
「あれ? お三方どうしたんだい? さっきも来たよね?」
「なんじゃお主等か」
「すみません、この槍と長巻を買い取って貰いたいんです。ついでに太刀と小太刀と打刀、それにファルクスも」
「なんじゃコレは!? コレはお前さんが作ったのか!?」
「えぇ、まぁ……」
「……片刃なのは切れ味の為か。そしてこの反りも切れ味の為か!?」
「ガルドルとしては、どうなんだい?」
「これは……全て金貨1枚と大銀貨2枚という所だ。それが限界の安値だろうな。それ以下は買い叩く事になるぞ」
「じゃあ、それで」
「良いのかい!? ウチは助かるけども……」
「お主、一体何を考えておる? 場合によっては鍛冶師として許さんぞ」
「これを見て貰えば分かります。これと比べたらそんな物ですよ」
「………」
ガルドルさんは俺の矛を見て固まった。流石はドワーフの鍛冶師、表面の銅には騙されないか。動きだした後は何度も見ているな、どうも材質が分からないらしい。
「駄目だな……。ワシにもこれが何なのか分からん」
「そんなに難しいのかい?」
「ウィンも分からんか?」
「私に聞かれてもねぇ。ドワーフ以上に分かる訳がない」
「うーむ………降参だ。コレは一体何だ? 凄い金属なのは分かるが、それ以上は分からん」
「ガルドル。誰にも言うんじゃないよ?」
「うむ? それほどか?」
「それはヒヒイロカネさ」
「「………………………………………。ハッ!」」
「正気かダナ!? これがヒヒ……」
「喋ってはいけませんよ~、ガルドル。死にたくないでしょう?」
「ス、スマン。しかし、これが……」
「魔力や闘気を流してみれば分かるよ」
「とんでもないな、コレは! これほどなのか!?」
「そんなにスゴイのかい?」
「これは、アタシの大脇差さ。これはアダマンタイトだよ」
「こ、これは………。とんでもないね……滅茶苦茶だよコレ!」
「希少金属ですからね、当然です」
ガルドルさんに色々聞かれたが、その殆どは日本刀の作り方だった。希少金属は持っていると殺されかねないので要らないそうだ。そうだろうな、ガルドルさん家族いるし。
ただ日本刀の技術に興味があり、知ってる事を全て聞き出された。切れ味特化の刃物なんてこの世界には無いらしく「ワシが技術を確立する!」と気合いを入れて去っていった。
俺の分は金貨5枚と大銀貨10枚だ。やっぱり武器にすると儲かるんだよな。とはいえ、そこまでして稼ぐのか? という気はする。その後、武具屋を出て北へと向かう。
俺達は山のキャンプへと行き、魔物相手に試し斬りをする事にした。キャンプ地に着くとダナとシュラが白い目で見てくる。目の前には8人組が居て、休憩しているのだ。
空いている椅子に俺達も座り少し休む。何を考えたのか椅子を持って俺の隣に座るとイチャイチャし始めた。別にいいんだが、見せつけたいのかな?。
「こんにちは。今日もなんですね?」
「こんにちは。いつも通り変わらないな」
「ア、アタイ。凄いもの見てるよ」
「大丈夫、全員見てます。私の両親もあんなものですよ?」
「エルフってそうなの?」
「さあ? 両親はそうだと言うだけで、他のエルフは知りません」
「私の両親は、あんなに甘くないですね。サキュバスにとっては戦いですから」
「戦いというよりは、堕とすと聞きましたが?」
「そうですね。欲しい男性は堕とせ! 浮気しそうなら、もう一度堕とせ! というのがサキュバスです」
「なんか、戦いと言った理由が分かります」
「私はラブラブなのが良いです。目の前のは甘過ぎますけど。きっと本人は気にならないんでしょう」
結構周りを気にするよ? 2人も周りを気にしてる。気にしてる理由は、邪魔をさせない為だけどね。邪魔されると物凄く機嫌が悪くなるんだよ。俺も気にしてるのはそっちなんだ。
2人が暴れても困るからさ。しっかし、さっきからキスが止まらないんだよ。途中からディープなキスに変わってる上に、おかわりが続いてる。そろそろ止めないとな。
嬉しそうな2人には悪いんだが、いつまでも続きそうなので思念を放出して止める。
「はいっ! 2人ともそこまでっ!」
「「!!!」」
【念力】使わないと止まらないってどうよ?。
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0056終了時点
金貨27枚
大銀貨27枚
銀貨15枚
大銅貨22枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
剣熊の爪の斧
風鹿の角の十手
剣熊と銅亀の革鎧
剣熊の革の剣帯
剣熊の革の指貫グローブ
剣熊と銅亀の肘防具
剣熊と銅亀の膝防具
剣熊と銅亀のブーツ




