0568
「干物のスープもなかなか味が濃いわ。特に貝の干物の味が出ているのかしら、その所為で濃い目になってしまったのね。アルドに追加して貰ったのが失敗だったのかも……?」
「別に良いんじゃないかな。そこまで気になる様な濃さじゃないし、内臓の味を流してくれるぐらいの濃さだから丁度良いとも言えるよ」
「そうだな、特にどうこうと思う様な濃さではないと思う。焼き鳥が濃い目の味だから、余計にそう思うのではないか?」
「あー……それはあるかもしれないね。メルはスープ単品で考えちゃったからこの味にしたんだろうし、それはそれで問題ないんじゃない? 次から変えれば良いだけだし、薄い味の物が多い時には間違ってないよ」
「別に気にしなくてもいいと思うけどな。これはこれで美味しいし、しつこいと思う様な味じゃないんだから問題ないさ」
飲めないぐらい濃い味だったら流石に困るが、これぐらいなら少々濃いという程度でしかない。それに俺としては干物が無くなったので丁度良い。本来なら、たこ焼きの材料にする気だったんだが、今は作る気が無くなったので困ってたんだ。
皆は口直しにチャパティを食べている感じだが、それでもスープは全て無くなるんだから、そこまでの濃さじゃなかったって事だ。昼食を食べて満足したら、少しの間休憩して先へと進もう。
休憩中に綺麗に浄化して収納するなどの後片付けをしておく。少しお腹も落ち着いたので、そろそろ出発しようか。
皆に声を掛けた後、再び俺達は走り出す。【探知】と【空間把握】で方角をしっかりと確認しながら移動をしていこう。稀に魔物に襲われるが、首を落として浄化したら捨てていく。
食べ物は沢山あるのでゴブリンやコボルトをわざわざ確保する必要も無い。それ以外にも初めて見た魔物も居るが、特に美味しくなさそうなので却下する。
ナメクジの魔物とか、カタツムリの魔物とかは勘弁してほしい。素材も使えないし、近くの木や石がジュージューという音を立てる様な、危険な粘液を飛ばしてくる奴だった。
ナメクジやカタツムリだと思ってちょっと侮ってたんだ。まさか粘液を飛ばしてくるうえ、硫酸のような危険な粘液だとは思わなかった。
食べられないうえに、素材的にも美味しくない最悪の魔物だな。その代わりに数は少ないみたいだが、あんまり戦いたくは無い相手だ。
先程のカタツムリとの戦闘場所で半分を越えたぐらいか……。意外に早いと思ったが、それは俺達の移動速度が速いからだと思い直す。
それでも山で一夜を過ごす事になるだろうが、明日には東の国に抜けられるだろう。それを考えると無理はするべきじゃないので、余裕を持った速度で移動するか。
少しペースを落とし、代わりに安全に移動していく。夕方まで移動を続けたが、山を抜ける事は叶わなかった。丁度少し開けた所があったので、そこにカマクラと焼き場の用意をする。
今日のカマクラは少し厚めに作り壊れ難くしておいた。地面も固めておいたので虫などが入ってくる事も無いだろう。
昼食と違いメルとアルメアとフォルにはパンを作ってもらい、代わりにダナとシュラとディルにはスープを作ってもらう。
と言っても野菜と干し肉を煮込むだけなので、シュラが居ても大丈夫な筈だ。俺は小麦粉を作った後、それを一口大に【分離】した大怪鳥の肉にまぶして、溶かした竜の脂で揚げていく。
ジックリと低温で揚げていくのだが、良い音がするのと竜の脂の美味しそうな香りが暴力的過ぎる。十分に火が通ったら、もう一つの鍋に分けて用意していた油に移す。
こちらは高温なので、一気に表面を揚げてカリカリにしたら2度揚げにした唐揚げの完成だ。
どんどんと揚げていこうと思うんだが、皆がガン見してくるのは何故なんだ? 自分の料理に集中しなさい。俺にそう言われると、慌てて自分の料理の確認をしているが大丈夫なんだろうな? 何だかちょっと不安になってきたぞ。
その後は何事も無く完成したので、夕食を始めよう。早速とばかりに皆は皿に盛られた唐揚げを取っていく。熱々のままの唐揚げを噛むと、中から熱い肉汁が出てきたんだろう、若干だが悶絶している。
そんなに焦って食べなくても、誰も取らないっていうのに……なんでダリアも悶絶してるんだよ。
フヨウは黙々と溶かして食べてるし、色々とカオスな状況になってるなぁ。それでも熱さから立ち直ったのか、笑顔で美味しそうに食べているので、唐揚げは成功だろう。油が多いかと思ったが、そんな事も無かった様だ。
混沌とした食事が終わった後、後片付けを終えたら、カマクラに入って入り口を閉じてゆっくりとする。皆がカマクラの中で大麦を取り出したので、ゆっくりしたかったのだが酒作りを始める事になった。
大麦を【乾燥】させて【粉砕】したら、温めた聖水を入れて【発酵】と【熟成】を使う。そして十分にアルコール発酵させたら風味に必要な物とアルコール濃度30度ぐらいの水分も含めて【分離】する。
後はコレを繰り返せば完成だ。発酵の為の菌は女性陣のワイン樽に残っているので、それを拝借した。良く考えれば、それでパンも発酵させられる?。
ただなぁ、パンの発酵のやり方を詳しくは知らないんだよなー……。たしかボウルに入れて濡れ布巾を被せるんだったかな?。
パンを買って食べる事はあっても、パンを家で手作りした事なんて無いからなぁ……。一度でもあれば覚えてるんだろうけど、一度も経験が無いのでどうしたもんか。
まあ、気が向いたらやるか。無理に思い出しながらやっても上手くいきそうにないし、今の発酵させないパンとかチャパティも好きだしな。
別に無理して柔らかいパンを食べたいとは思わないんだが、それはやっぱり主食が米の日本人だからだろうか?。
下らない事を考えている間に全員分のウイスキーが完成した。まあ、ウイスキーモドキではあるが気にしてはいけない。
この世界では誰も地球のウイスキーを飲んだ事が無いから分からないんだ。これがモドキかどうかなんて分かりっこないし、美味しければそれで良いんだよ。食べ物と一緒だ。
「山越えの半分は過ぎたって聞いたけど、後どれぐらいで山越えが終わるんだい? 葉が散っていて枯れ木の様な木が多いから、一旦見つかると魔物が寄って来る可能性があるんだよ」
「確かに、結構な数の魔物の気配を感じますからね。あれ等が一斉に襲い掛かって来る事は無いでしょうけど、それでも厄介な数は集まるかもしれません」
「数が多いと、どうしても対処に時間が掛かるのよね。その時間が掛かってる間に別の魔物が気付いて襲ってきたりすれば、どんどん追い詰められていってしまうわ」
「流石に私達が追い詰められる事は無いだろうけど、時間が掛かって面倒になる可能性はあるね。それに魔物も重要な食べ物だ。あの気持ち悪いナメクジとかなら殺してもいいけど、食べられる奴は置いておかないと駄目さ」
「そうだな。大森林の様に幾らでも魔物が湧いてくると思える程の場所ならまだしも、この程度の山では多くを狩らない方が良いだろう。わざわざ私達が狩ってやる必要も無いし、そんな事をしている暇も無い」
「そもそも僕達は山越えの最中であって、魔物を狩りにきた訳じゃないからね。無視してさっさと通り過ぎた方が良い。それに、ここは国同士の端っこな訳だし、魔物が増えても国が何とかする事だよ」
「まあ、もともと魔物と戦う気なんて無いし、冬眠してる魔物を起こしてまで狩る必要性を感じない。まだ冬眠には早いんだろうけど、あまり活動的でないのは確かだからな。無理に狩った所で得も無い」
「「「「「「冬眠?」」」」」」 「ニャ?」 「………」
しまった、季節の言い方が違うから伝わない。……面倒だけど、元の世界の季節を教えておこう。こっちと殆ど変わらないから分かりやすいだろう。
風の季節が春。火の季節が夏。土の季節が秋。水の季節が冬。そして動物の中には、冬に穴倉に篭って冬眠する奴等が居る。……こんなところか。
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0568終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨529枚
大銀貨599枚
銀貨501枚
大銅貨388枚
銅貨303枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




