0564
皆の居るカマクラに戻って料理をしながら説明している。皆の顔は呆れている感じだが、咎める様な表情や視線は無い。小麦と砂麦の全粒粉を練りながら、器用に呆れている姿は何とも言えないが……。
「しっかし、町長の娘が盗賊団のボスとはねぇ……世も末だよ、まったく。しかも遊びで盗賊をやるなんて、狂ってるとしか思えない。まあ、そんな事をしているから、ふらっと来たアルドに殲滅されるんだけどね」
「アルドがしなくても、いつか同じ目に遭っていたと思いますけどね。しかし砂漠で聞いていた通り、本当に碌でもない国です。町だけかもしれませんが、国が機能していないからこそ町長如きが好き勝手するんでしょう」
「これほど非道な事をやっているのが1つの町の町長だけというのは、流石にあり得ないでしょう。私も国が正しく機能していないと思うわ。アルドが言っていた戦国乱世というのは、正にこういう状態を言うのでしょうね」
「国が国民に法を守らせる事が出来ないから、好き勝手にする者が出てくる。そんな状態が続けば更に国が荒れていき、好き勝手にする者がどんどん増えていく。いつしか荒れているのが当たり前になると、主様の仰る戦国乱世となってしまうんだろうね」
「アルドの元の世界の祖国も、そんな戦国乱世の時代があったというんだからな。気付いたらそうなってしまうんだろう。荒らしている者達には荒らしている者達の言い分があるのだろうが、それでも唯の犯罪だとしなければ、正しい国とは言えないだろうな」
「力で好き勝手にする者はいるけど、そいつらを止める為の力は絶対に必要だからね。でも、それを使って好き勝手にする奴等も居るから厄介なんだと思う。略奪をする兵士もいれば、規律を守る兵士もいるし……」
「結局は個人による。その一言で終わる話なんだよ。力を持たせてはいけない奴からは、早めに剥奪するしか無いんだろう。それをしないで放置していたら、いつの間にか権力まで奪われるんだろうさ」
俺は魚介類でスープを作りながら話をしていたが、完成したので椀に盛る。
その頃には既にチャパティも焼きあがっていたので、小鍋にチーズを入れて【加熱】で溶かしていく。十分に溶けたらワインと胡椒モドキを加えて味を整え、皆のチャパティの上に乗せて完成だ。
早速食べていくが、久しぶりのチーズは美味しいな。魚介のスープが合うか分からなかったが、保存性の高いチーズだからか塩気が多くて丁度良い感じだ。
ダリアはチーズが髭にくっ付くので嫌がっているが、味は美味しいらしい。食べるのを止めようとまではしていないからな。
食事後、カマクラの中に入って入り口を閉じる。【光球】を使って明かりを点けたら、戦利品を調べていく。
結構適当にあれもこれもと突っ込んでいったので、調べておかないと何があるのか分からない。皆に手伝ってもらいながら仕分けをしていく。
まずは宝石類だが、これは纏めて女性陣に渡す。俺に必要な物じゃないので、正直どうでもいい。次にお金だが、結構な額があったものの、砂漠の西側とは貨幣の形が違っている。
どうやら砂漠を境にして貨幣の形が違うんだろうが、そもそも誰が図柄を決めたんだろう? ……考えても分からないな。
貨幣の種類は同じだし、コンの村でも西側の貨幣は使えたので特に問題は無いだろう。結局のところ、それぞれの金属の価値で貨幣価値が決まっているだけだからな。
そういった基本部分は砂漠の西側も東側も変わらないみたいだ。ただ、西側の方が若干だが貨幣の質が良い。
盗賊どもが持っていた貨幣は、銅貨117枚、大銅貨78枚、銀貨166枚、大銀貨59枚、金貨144枚、大金貨33枚、白金貨27枚だった。
まさか白金貨を持っているとは思わなかったが、この白金貨だけはボスの部屋にあった袋の中に入っていた。秘密裏に溜め込んでいたんだろうが、俺が代わりに有効活用してやろう。
食べ物は碌な物が無く大半は捨てていく事になるだろうが、1番大きな麻袋の中に小麦が入っていた。結構減っていたので補充という意味ではありがたい。
砂麦はさっきの食事で無くなってしまったので、これからの事を考えると助かる。草原の国で敵国から奪った小麦は早めに食べてしまい、新しい小麦は残しておこう。
「そういえば、アルドは町長の娘を始末したけど、町長は始末しないのかい? そいつが全ての元凶だと思うんだけど、動く気が無さそうだね?」
「町長の娘は盗賊をやっていたから殺したんだよ、盗賊団のボスだったしな。町長は町長だろ? ソレをどうこうするのは俺の役目じゃない。その町の奴等であり、この国の奴等だ。俺がやってやる義理は無いよ」
「まあ、そうですね。自分達の町や国を良くしたいなら、自分達で動かないといけません。私達はこの国の国民ではありませんから、責任なんて在りませんしね」
俺はカマクラを出て少し離れた所まで行き、不要な食べ物を穴を掘って埋める。
塩だらけの干し肉とか、腐りかけの果実っぽいのとか、何でこんな物を置いていたんだと思うような物を埋めて戻る。今回のカマクラは地下に作った様なもので、トーチカみたいな感じで何だか新鮮だ。
これの方が良い気がしないでもないが、雨が降ったりしたら水が入ってきそうなんだ。寝泊りする所に水が入ってくるとか、欠陥住宅もいいところだからな。やっぱり低い所に作るのは危険だから止めておくか。
カマクラ内に戻ると、女性陣が宝石を持ってあーでもない、こーでもないと語っている。俺は総スルーしながらダリアやフヨウと遊んでいると、2匹は睡眠が短かったからか直ぐに寝てしまった。
いつも通り真ん中に連れて行かれたが、【房中術】と【極幸】でキメてしまいさっさと寝かせる。俺も流石に色々あって疲れたので早めに寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界234日目>
おはようございます。ようやく昼夜逆転生活が直ってきた感じです。砂漠の間はずっと夜に行動していたからか、体がなかなか戻らないと思っていたが、存外に早く戻りそうだ。いつも通り皆を綺麗に浄化したら、カマクラを出よう。
寒っ!? ……もうそろそろ水の季節に入るとはいえ、ここのところ急激に寒くなってきたなぁ。元の世界と比べてどれだけ寒くなるか分からないが、厳しい寒さである可能性は高いか。それでも凍死するほど寒くはならないと思う。
もっと北に行けば凍死するほど寒くなるだろうが、この辺りだとそこまでにはならない筈だ。
考え事をしながらも生地を練っていたが、終わったのでアイテムバッグに収納する。寸胴鍋に聖水と野菜と魚と干し肉を入れて煮込んでいたが完成したので、寝かせておいた生地を揚げていく。
揚げ物を作る音で起きたのかは分からないが、皆が一斉に起きたらしい。まだ早いので寝てても良かったんだが、朝食も出来かけてるから丁度良いタイミングかね。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「………」
「ちょっと遅かったと思ったけど、朝日を見た感じ別に遅くはないみたいだね。とはいえ朝食が出来かけてるみたいだから、遅かったのかもしれないけど……」
「実際に時間が計れる様になると、季節によって日の出や日の入り時間が違うのは分かるんだけどな。日の出と共に起きて、日の入りと共に家に帰って寝る。そういう生活だと分からないのは仕方がない」
「もしかして日の昇る時間と、日の沈む時間は毎日違うんですか?」
「元の世界と同じなら、毎日違うな。多分この星も変わらないと思うから、毎日違うと思う」
星の公転軌道や自転なんかを教えて日の出と日の入りを説明したんだが、理解されなかったので諦めた。別に理解しなきゃいけない類の事でもないし、そんなものと覚えておけば良いだろう。
そもそも元の世界と違って天測をしてる人とか、この世界に居るんだろうか? 魔物とかの所為でそういった部分の発展は遅れてるんじゃ……。
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0564終了時点
大白金貨3枚
白金貨36枚
大金貨152枚
金貨529枚
大銀貨603枚
銀貨501枚
大銅貨413枚
銅貨337枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ