0563
リザードマンを解体し、早速とばかりに一切れ焼いてみる。ダリアが「ニャー、ニャー」言ってくるが適当に相手をしながら、まずは一口。
………何だろうな、この獣肉とも魚肉とも付かない不思議な肉は。一応皆にも説明し、残っていた香辛料を出すものの、皆もどう味付けするか困っている様だ。
俺は薄めた魚醤を塗って焼いている。焼いては付けてを繰り返し、丁度いいタイミングで食べてみたら結構美味く出来た。
皆は焼けた後に香辛料を振り掛けたり、振ってから焼いたりして味を確かめている。ちなみにダリアは生が好みならしく、先程からガツガツ食べているが鼻息が荒い。どうやらリザードマンの肉自体が好みのようだ。
不思議な食感と味の昼食を終えたが、皆は微妙に納得出来ていないみたいで、まるで消化不良の様な顔をしている。リザードマンの肉はまだ多少残っているが、これはダリアに食べて貰おう。
美味しくない訳じゃないんだが、妙に納得出来ない肉質だったり味だったりするので、どう受け入れて良いかが分からない。
綺麗に浄化して片付け、フォルに焼き場を壊させて先へと進む。走って移動していると、ある程度の高さの小山があったのだが【探知】に結構な数の気配を感じた。
俺達が居る場所は遠く、まだ見つかってはいない様なので地面を掘ってカマクラを低く作り中に入る。皆も【気配察知】で気付いていたのか、直ぐにカマクラ内に入ってくれた。
「あれが盗賊どもの篭る小山だと思うんだが、予想よりも厄介だな。まさか、あそこまで木々を伐採して丸裸にしているとは思わなかった。あれじゃあ近付いたとしても直ぐにバレる。夜に近付けば問題なさそうだが、トラップを仕掛けたりとか、何かしらの対策はしてるだろう」
「何か、普通に盗賊が強い所為で軍が負けてる気がするね。見張りもちゃんと置いている様だし、総勢で60~70人ぐらいかい? 結構な数が居るし、そう簡単には落とせそうにないよ。アレは」
「私達が行くよりも、アルド1人の方が楽に殲滅出来るのでは? かつて暗殺組織を1人で殲滅していますし、殺しながらもバレずに済む技とか使えますしね。私達はまだ、足手纏いにしかならないでしょう」
「たしかにそうね。ただの殲滅戦なら私達も居た方が良いんでしょうけれど、今回は出来得る限り敵に見つからない事が求められるもの。私達の中でそれが出来そうなのはディルだけよ」
「それはそうだけど、ディルも難しいんじゃないかい? 敵に【気配察知】が使える者がいたらディルでもバレる可能性はあるし、ここは慎重に作戦を練った方がいいよ。多数の敵と戦うのは簡単じゃないからね」
「確かに【気配消失】なども習ってはいるが、どちらかと言うと【念術】を主体に習っていてな。そこまで【闘気術】については本腰をいれていないのだ。【闘気術】に本腰をいれているのは、私ではなくダナになる」
「僕も【闘気術】は本気で習ってはいないよ。もちろん練習はしてるんだけど、それよりも【錬金魔法】と【練成魔法】だからね。潜入とかの役には立てないかな?」
「残念ながらアタシも無理だね。【気配消失】は使えるんだけど、相手の【気配察知】が上回ってるかもしれないし、何より【気配消失】だけなんだよ。【無音動作】とかが使える訳じゃないうえに、隠密の技は基本的に【念術】だからねぇ……」
「とりあえずは、俺が殲滅するのを基本にして考えよう。【探知】で判別出来たのは67人だ。おそらくこの人数で全員だと思うから、これを基準にして策を考えていこうか」
結局、夜になったら俺が潜入する事と、暴れても問題なくなったら皆を呼ぶ事になった。
とはいえ、皆を呼ぶくらいなら殲滅した方が早いので、呼ぶ前に終わらせるけどね。なんとなく皆もそうなるだろうと思っているのか、話し合いはあんまり捗らなかった。
既に夕方になっているが小山の盗賊からは発見されていないので、このまま夜になるまでカマクラの中で待つ事にする。見張りは居るが、きちんと監視している訳でもないようだ。
ただ、料理をすると煙が出て盗賊にバレるので、干し肉を齧る程度で済ませるしかない。ダリアとフヨウにはリザードマンの肉の残りを食べて貰った。
今日は月明かりも無い日であり、奇襲には絶好の夜と言える。皆を置いて、俺は単身で盗賊の砦に近付いていく。【探知】と【空間把握】を使っている為、そこら中にあるトラップは全て把握出来ている。
大体は鳴子ばかりなので大した問題は無いのだが、一部にトラバサミが置いてあるのが気になるな。……魔物用か?。
そんな罠を解除したり無視したりしながら進んで行き、石造りの砦の直ぐ近くまで来た。おいおい! 盗賊如きにこんな砦が作れるっていうのか? 明らかに裏に誰か付いてるだろ!?。
ビックリするほど重厚な壁の砦であり、更に入り口には鉄の格子が落ちている。どう考えても軍の駐屯地レベルじゃないか、コレ?。
軍の駐屯地が盗賊に奪われたか、それともコレを作らせる事が出来る後ろ盾が付いていないとオカシイ。高さ5メートル程の壁を身体強化のジャンプで越えて中に侵入する。
重厚な鉄の格子を落としているからか、中の盗賊どもは実に隙だらけだった。というより、酒を飲んでいて碌に戦えない連中ばっかりだ。今は何もせずに移動して中を探る。
【探知】と【空間把握】で何となく分かっていたが、この砦は地下に脱出する為の道が作られている。仮に1人で殲滅するのなら、まずはその道を塞がないといけないな。
そんな事を考えながら砦の中を探っていると、1番奥の部屋に女が2人居て乳繰り合っていた。それはどうでもいいのだが、離れた所に居る見張りが面白い愚痴を言っている。
「ボスはまた攫ってきた女を自分好みにしてんのか? あれをされると男嫌いになるから、売る時に困るんだがなぁ……。何回言ってもやるんだよなー。勘弁してほしいぜ、まったく」
「仕方ねぇさ。ボスは頭良いし、何よりお偉いさんの娘さんだ。俺達が何言ったところで下人の戯言としか思っちゃくれねぇ。いつまでもこんな遊びが続けられる訳じゃねえんだが、町長はいったい何を考えてんのか」
「おいっ! それを言うな!」
「す、済まねぇ!」
ふーん、町長の娘ね……。まあ、ここで殺すんだからどうでもいいとはいえ、やっぱり裏で糸を引いてる奴がいたか。しかもゼンの町の町長とはな。さて、そういった事が分かれば十分だ。入り口に戻って1人ずつ殺していくか。
俺は入り口に戻り、酔っ払いどもを1人ずつ丁寧に殺戮していく。【止音】を使って音もさせずに殺していき、死体を収納しながら進んでいく。
既に道順も何もかもが分かっている為、見つからない様にしながら進み、さっきのボスの部屋の前まで来た。
既に愚痴を言っていた2人も殺していて、残っているのは先程まで乳繰り合っていた女2人だけだ。攫ってきた女だと言っていたが、騒がれても面倒なので両方始末する。
俺は音も無く部屋の中に侵入して【念動】で動きを止めたら、攫われたとかいう女の首を即座に刎ねた。
「あぁーー!! オマエなんて事を! 私のシュリが!!! お前は絶対に許さないからな!! 父の力も使ってお前を地獄すら生ぬ」
「死ね」
グダグダ喚いていたが、俺にとってはどうでもいい事だ。興味も無いうえに、死体になる事が決まっている奴の言う事など聞く価値が無い。
死体を回収したら砦の中を調べていく。奴等が商人などから奪った物や金銭、食べ物などをアイテムバッグに収納したら入り口に戻る。
結局、地下の入り口を塞がなくても見つからない様に殺していったので大丈夫だったが、見つかっていたら逃げられていたな。面倒だから塞ぐのを止めたんだが、ちょっと反省しよう。失敗してからじゃ遅いしな。
外から鉄格子越しに見える所に、盗賊ども全員の首を1つずつ並べていく。並べ終わったら隅に穴を掘り、死体を入れては【浄炎】で燃やし【粉砕】する。
全ての処理が終わったら【空間把握】を使って遠隔で【浄化】し、小山の砦を後にした。
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0563終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨119枚
金貨385枚
大銀貨544枚
銀貨335枚
大銅貨325枚
銅貨220枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ