0560
食事後、食器や焼き網などを綺麗に浄化して収納した後に、フォルにカマクラと焼き場を壊させる。昨日と違い上手くいったので良かったが、また失敗していたら目も当てられないところだった。
俺達は今日も南東へと走って行くが、景色も特に変わらないので飽きてきたなぁ。
いつまでこの景色が続くのかと気が滅入りそうになったので【念話】をしていたら、途中から<しりとり>が始まった。単に暇だったから言ったのだが、この世界には似たような遊びが無いらしい。
俺も参加して遊んでいるが、【探知】や【空間把握】を疎かにはしていない。周りに気を配りながら走っていると、ようやく第三オアシスが近付いてきた。
【探知】で人の気配が分かっているのでオアシスが在る事は分かるが、無ければ目の前ですら真っ暗なのだから分からないだろう。
もしかしたら、オアシスの近くでオアシスが在ると知らずに亡くなった者もいるかもしれない。そんな事を考えながらオアシスに入り宿を探す。宿は直ぐに見つかり扉を叩くと女将さんが出てきた。
大部屋は大銅貨8枚、銀貨1枚で”そういう人”を呼べるそうだ。ウチの女性陣を見ながら堂々と言ってのけたのは、凄いと言わざるを得ない。
あまりにハッキリと言ったからか、ウチの女性陣は何も言わなかった。まあ大銅貨8枚しか払ってないんだけどね。部屋に入って一息吐くと、さっきの堂々とした女将さんの話になった。
「何て言うか、トーカと同じくらい堂々としてたね? アタシはむしろ気に入ったよ。愛想が無い訳じゃなくて、仕事だからハッキリ聞いてきたからね。ああいう仕事を疚しい仕事だと考える連中も居るんだよ。それに比べたら立派さ」
「そうですね。そもそも仕事は仕事であり、それ以上でも、それ以下でもありません。仕事を疚しいと考える、その心が疚しいと分からないのでしょう。そういう者は所詮、その程度ですよ」
フォルが居るからってだけじゃなく、古い時代から仕事として認められてるからなぁ。地球でだって、世界最古の職業と言われたくらいだ。とにかく相手を見下したいという浅ましい奴は、何処の世界にでも居るんだろう。
この第三オアシスでも情報収集をしなきゃいけないので、早めに就寝する必要がある。正直に言って眠れるかどうかは分からないが、無理にでも寝ておかないといけない。という事で、大部屋に布団を敷いてゆっくり休む事にした。
布団に入っても眠れないが、体は休めておく必要があるし、何より移動ばかりだったから心を休める必要がある。
砂漠に長く居ると色々と心に蓄積してしまうので、思いっきり発散できれば良いんだが、それを言い出すとウチの女性陣は全て性欲の方に行くんだよ。本当に困ったもんだ。
そんな事を考えていると寝息が聞こえてきたので、やはり疲れていたんだろう。俺もこのまま寝る事にした、それじゃあ、おやすみなさい。
朝方に起きたが、皆はまだ寝てる様だ。特に問題も無く、何かが奪われたという事も無い。誰かが侵入したら、流石に俺は飛び起きるからな。それが無かったという事は、何も無かったという事だ。
鍋に聖水を入れて紅茶を煮出していき、紅茶を淹れてコップに注ぎゆっくりと飲む。ゆったりとした時間を過ごしていると、皆も起き出してきた。
「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャ」 「………」
「何だか寝足りない様な、寝すぎた様な……そんな感じだよ。どのみち昼夜が逆転している生活だから、仕方がないんだろうけどね。なんだか、こう……スッキリしない目覚めが多いんだよ」
「しょうがないでしょう。砂漠を越えるまでの辛抱です。ここを越えたら普通に休めるようになるでしょうから」
そんな話をしつつ部屋を出て朝食を食べに行く。宿の女将さんに聞くと、真正面の店が食堂らしいのでそこへ向かう。
食堂に入り大銅貨18枚を支払い食事を頼むと、何と蠍の揚げ物が出てきた。ここでも珍しいものの獲れたら出すらしいが、昨日たまたま獲れたそうだ。
あの黒い蠍の様だが、味はプリプリした海老と言えば伝わると思う。ただ、弾力は海老よりも強いし何より身が大きい。
噛むとプチンと千切れるほどに弾力があるが、味は海老なので思っていたよりも美味しいな。あの蠍は毒を持っているが、店員に聞くと熱を加える事で毒性は無くなるそうだ。
しかし体長2メートルほどの蠍をよく倒したな。そう発言すると周りから驚かれた。あの黒い蠍、普通の奴は体長1メートルくらいらしい。2メートルもある大物を見た者は誰もいないらしく、その所為で驚かれたみたいだ。
美味しい朝食を食べた後、それぞれに分かれて情報収集を行う。聞き出さなきゃいけない情報は2つ。
1つ目は、この砂漠が何処まで続いているのかという事。
2つ目は、砂漠の先の国の事だ。2つとも似たような情報ではあるが、先に調べておく必要がある。
特に砂漠の先の国に関しては何も分かっていない為、やってはいけない事とかを調べておかないと、大きな失敗をやらかす可能性が高い。
どういう国か分かれば多少は対処が楽になるので、事前に情報を得ておきたいんだ。変な失敗をした所為で追い掛け回されるとか、面倒臭い事は御免だからな。
オアシスの人達にそれとなく聞いてみたが、東の国に関しては全く分からなかったが、東にある程度進むと砂漠は途切れるらしい事は分かった。
商隊などが東の国の事を喋っていてもいいと思うんだが、何故か東の国の事に関しては知る事が出来なかったな?。
ただ、誰に話を聞いても、東に真っ直ぐ行けば国境を越えられると言われたのには驚く。オアシスの者が道を普通に知っているとは思わなかった。
オアシスからオアシスまでは重要情報でも、国境までは重要じゃないのかもしれない。【白痴】と【忘我】も使って聞き出したが答えは変わらなかった。
ここまで多くの人が知っているとなると、砂漠の終端までは遠くないんだろう。だからこそ多くの人が知っていると見て間違いない。
ただ、1人面白い話をしてくれた人がいた。【忘我】を使っているので本人は喋った事を覚えていないだろうが、宿の女将さんはこのオアシスの裏組織のボスらしい。
あの女将さんに【白痴】や【忘我】を使った方が手っ取り早い気がするが、組織のボスともなれば1人になる時間は無いだろう。
護衛の様な奴が付いているだろうし、むしろ正面から堂々と聞いた方が良いかな? 案外堂々と聞けば教えてくれそうな気はするんだが……。
ある程度の情報収集は出来たので、このオアシスでも銀貨3枚を支払い水を汲んで宿に戻る。アイテムバッグを見る目が相当怪しかったが、第二オアシスの様に難癖を付けてくる事は無かった。どうやら統制はとれているらしい。
宿の部屋に戻ると、皆は既に戻っていたので早速情報の擦りあわせをする。と言っても、殆ど変わらなかったので直ぐに終わったが。
そうしていると部屋の扉がノックされ、女将さんと従業員と思しき男2人が入ってきた。
「済まないね。お客さん方が町中で色々聞き込んでいるって聞いたんだけど、ウチから情報を買って貰えないかと思って声を掛けに来たんだよ。ウチは宿屋だからね。色々なお客さんが泊まるんで、様々な事を知っているのさ」
「宿屋だからじゃなくて、<砂の王冠>のボスだからだろうに。ハッキリ言っても良いと思うんだがな?」
その瞬間、男2人が女将さんの前に出て守り、こっちに殺気を放ってくる。ここの組織の奴等も稚拙な殺気しか放てないらしい。下らないなーと思いながら見ていると、痺れを切らしたのか俺に向かって話し掛けてきた。
「……アタシが<砂の王冠>のボスだって事を、いったい誰から聞いた?」
「ん? ああ、ヴァルド少年からだ。第三オアシスで3年世話になったという話から始まって、その後に色々とな」
「あの坊主かい……。まったく、ペラペラと口の軽いヤツだね! 死ぬかもしれないって言うから、アタシが直々に筆下ろしをしてやったっていうのに!」
「まあ、あの時は色々あったからねぇ……。あの少年達が来る前に、アタシ達が<黒蠍>を壊滅寸前にまで潰してたからパニックになってたし、ポロっと喋っても仕方がないさ」
ヴァルド少年から聞いたのは嘘だけどな。後、……俺は暴れてないんだけど?。
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0560終了時点
大白金貨3枚
白金貨9枚
大金貨119枚
金貨388枚
大銀貨544枚
銀貨335枚
大銅貨343枚
銅貨220枚
神金の矛
神鉄の太刀
アダマンタイトのサバイバルナイフ
氷擲竜の棒手裏剣
アダマンタイトの十手
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ