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0558




 「伝説の魔女は横に置いておくとして、この揚げパンとやらは本当に美味しいな。油で揚げてどうなるのかと思ったが、いつものパンより遥かに美味しい。ただ、食べ過ぎると太りそうではある」


 「確かにね。前にアルドが美味しい物は基本的に太りやすいって言ってたから、僕達だって気を付けないと太る可能性はあるんだよね。昔よりは太り難い筈ではあるんだけど……」


 「揚げパンくらいなら、お腹一杯食べても太らないよ。普通の女性の2倍までのカロリーなら、ほぼ間違いなく太らないな。それ以上食べたら、流石にどうなるか分からないが……」


 「「「「「「2倍!?」」」」」」


 「ああ。邪生の心臓で頑強になった肉体に必要な食事量って意外に多いぞ? ただ、基本的には痩せ細ってもいかないけどな。俺が肉を含めて結構食べさせてるし、その辺りの調節はしているんだよ」


 「そうだったんだね……まぁ、よく考えたら、食べ過ぎてたりしたら多分アルドが注意してくれてただろうし、それが無かったって事は問題ないって事か。それにしても、2倍までなら太らないって凄いねぇ……」


 「確かにそうね。私もそれなりには気を付けていたけれど、そういえば最近は気にしてなかったかしら? 気にしなくても太ってないから、気にしなくなったのね」


 「そういえば、私もそうだ。私は太りやすくて大変だったが、アルドから頑強になった体は太り難いと言われて、完全に気にしなくなったな。今も太っていないし、体は良い状態をキープできている」



 皆は自分の体を触ったり摘んだりしているが、特に気になる部分は無いらしい。最近は毎日走っているし、少し多めにカロリーを取らせてるから痩せたりはしない。


 といっても、実は痩せないギリギリぐらいしか食べさせていないんだ。そこは女性陣には言えないんだよな。食料が急激に減っても困るし。


 食事後、俺は使った油を【念動】で遠くに飛ばして廃棄した。欲しい魔物がいたら舐め取るだろうと思っている。そもそも邪生の脂なんだから、食べる魔物は居るだろう。


 カマクラの中に入り入り口を閉じたらゆっくりと過ごす。皆も雑談したりとしているが、すでにウトウトしている者もいる。まあシュラの事なんだが。


 眠かったのに壊した物の後始末などを含めて時間が掛かったので、十分な睡眠がとれなかったみたいだ。昼夜逆転生活なのも地味に影響しているみたいだし、第三オアシスで少しゆっくりした方が良いかもしれない。


 そんな事を考えながら、皆も早めに就寝していく。俺もさっさと寝て精神を回復しておくか。それじゃ、おやすみ。



 <異世界230日目>



 おはようございます。今日で第三オアシスに到着出来るかは分かりませんが、少しずつでも着実に進んでいきます。


 第一オアシス、第二オアシスで多分900キロ以上は進んできている筈なので、残りは1100キロぐらいかな? ……まだ半分も進んでないのか。


 カマクラの外に出て、出入り口を閉じる。夕暮れの景色の中、鍋と大海竜の腸を取り出したら、かす肉を作っていく。


 その為に昨日、邪生の脂を捨てたんだ。邪生よりも竜の方が圧倒的に美味しい以上は、竜の脂も絶対に美味しい筈だ。そこは間違いないだろう。


 かす肉が完成したので、油をそのまま置いておきスープ作りを始める。今日は魚と野菜のスープなので、あっさり系となる。


 煮込みながら生地を練っていると、皆が起きたようでカマクラの入り口が壊された。今までと違い多少綺麗に壊されたので、フォルは上達しているらしい。



 「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」


 「おはよう、皆」 「ニャア」 「………」


 「生地作りかい? アタシも手伝うよ! ……と言いたいところだったけど、殆ど終わってるね。今更アタシが手伝え……うん? この匂いは、いったいなに?」


 「ん? ああ、それは大海竜の腸で作った脂だよ。朝に脂を捨ててたのはそれが理由だ。竜の脂なら、もっと美味しい揚げパンが作れるんじゃないかと思ってさ」



 生地を【熟成】させたら、円形に薄く延ばして揚げていく。朝方と同じように低温でじっくり揚げると風船のように膨らんでくるので、火が通ったら取り出す。


 全員分の揚げパンが出来る頃には、スープも椀に入れられ準備は完了していた。皆の皿に揚げパンを載せたら、早速食事を始めよう。



 「………何だろうねコレ。スッゴク美味しいんだけど、何だろう。こう、ちょっと言葉では表せない美味しさだねぇ……。まさか、脂がこんなに美味しいなんて思わなかったよ」


 「そう……ですね。本当に表現出来ない味です。ただ、美味しいと言うしかありません。肉と違って滅茶苦茶美味しい! というのとはちょっと違いますね」


 「そうね。じんわりと美味しさが滲み出てくる様な感じかしら。美味しい味がゆっくりと、でも大量に舌にくるのよね。何とも表現し辛い美味しさだわ」


 「だけど、凄いね。流石は竜の脂としか言えない程に美味しいよ。今まで食べてこなかったのが悔やまれるけど、よく考えたら腸は大体ダリア達が食べてたんだっけ?」


 「ニャー」 「………」


 「そういえば、竜の脂で揚げたという事はだ。竜のかす肉をアルドは作ったという事で、そちらも期待できるのではないか? しかも全てを使った訳ではなさそうだし、焼いて食べる分も残っているだろう」


 「久しぶりに焼いて食べるのも良いね。煙が一杯出るけど、アレはアレで美味しいんだよねー……ちょっと楽しみ。竜のかす肉も煮込むと味がたっぷり出そうだし、色々期待しちゃうね」


 「楽しみにしているところ申し訳ないが、冷凍した真っ白なゴブリンとリザードマンをそろそろ食べなきゃならないんで、そっちの方が先だ。大海竜は腐らないから、その後な」


 「まあ、しょうがないねぇ……。腐りそうなのから先に食べないと。腐らせたら勿体ないし、真っ白な奴等は邪生より美味しいからね。ただ、それより美味しいのが竜ってだけで」


 「よく考えたら、邪生の肉でさえ魔物の肉より美味しいんですよ。それ以上に美味しいのが呪いの武具を持つ者で、それを遥かに超えたところに竜が居る。私達、価値観が相当ズレてきてますよね?」


 「でも、美味しいんだから仕方がないんじゃないの? 普通の人と同じ価値観で、普通のお肉を食べるの? 美味しいお肉が目の前にあるのに……?」


 「……うん、あり得ませんね。美味しい物を食べます」



 皆、もう後戻りは出来ないんだよな。美味しい物を知ったら、それを食べたくなるに決まってる。わざわざ不味い物を食べる必要なんてどこにも無いんだし、誰も不味い物を食べろなんて言ってない。


 ただ、呪いの武具を持つ者も竜も、なかなか手に入らないんだよ。その点、邪生の肉は手に入りやすいんだ。


 邪気がこの世に在る限り、邪生は居なくならない。必ずどこかで生まれる。俺が命じられている下界の浄化も、邪生を減らす事であって、邪生を無くす事じゃない。


 何より邪気を無くせない以上は、邪生も無くせないんだ。人間種と魔物が居なくなっても、植物が邪気を放出するから結局無くならないしな。


 さて、食事も終わったので、後片付けをした後にカマクラと焼き場を壊しておかないと。折角なので壊すのはフォルに任せて、俺は浄化しながら収納していく。


 皆の食器も浄化していると、カマクラが一気に崩れて砂が辺りに撒き散らされた。どうやらフォルが派手に失敗したらしい。もう一度綺麗に浄化してから、皆は自分の食器を収納していく。


 フォルが謝りながら自分の食器を収納するのを確認して、俺達は走り出す。第三オアシスに向かって走るのだが、もしかしたら思っているよりは遠いのかもしれない。


 ヴァルド少年は徒歩で20日、ディキマで”急いで”10日と言っていた。そこがどうしても引っ掛かる。


 俺達でさえ時間が掛かるかもしれない。実際平地に比べれば足を取られるので、そこまで速度が出ていないし。


 それでも異常といえる速さで移動してはいるのだが……。



 ▽▽▽▽▽


 0558終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨119枚

 金貨388枚

 大銀貨544枚

 銀貨338枚

 大銅貨369枚

 銅貨220枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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