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0553




 「私はアルドに出会うまでは、ダンジョンの中でさえ砂漠を見た事が無かったわ。こんな砂だらけどころか、砂しか無いような場所が存在するなんて……。光絹の為とはいえ、よく移動する気になるわね」


 「大きな富を手に入れる為には、それだけ苦労も大きいという事さ。普通の苦労では、普通の富しか手に入らないんだよ。誰しもが巨万の富を夢見て、砂漠に散っていくんだろうね」


 「私達でさえもアルドが居なければ、砂漠に突入しようとは思わないだろう。アルドが居れば水の不安は無いし、食べ物の不安も、寝床の不安も無い。そうでなければ、こんな所を越えようとは思わないな」


 「越えるどころか近付かないと思うよ。アルドの場合は、世界の浄化を神様から頼まれてるから越えなきゃいけないだけだしね。それにしても、ブラギア王国から東に行く航路が無いなんて思わなかったよ。東に行きたければ、徒歩で砂漠を越えるしかないなんて……」


 「それは分からないぞ? 案外エルダ海洋国から沖に進んで行けば、南回りで東に進めるかもしれない。あくまでも東に真っ直ぐは進めないというだけだからな。この世界の海がどういう形なのかは分からないが、恐らく元の世界と同じ様に全て繋がっている筈だ」


 「全て繋がっているねぇ……つまり色んな所に船で行けるって訳かい? もちろん内陸は無理なんだろうけどさ。それでも色んな所に簡単に行ける様になるかもしれないんだね」


 「その為には東へ行く為の航路を見つけなければいけないのでしょうが、今はまだ見つけられていないという訳ですか……。まあ、どのみちアルドは浄化しなければいけませんので、一度は砂漠を突破しなければいけない訳ですけどね」


 「そうだね。主様の目的は浄化だから、一度は浄化しながら進む必要があるんだよ。大変ではあるけど。これはこれで面白い体験でもある。それに、不老長寿の男性を探してた頃より遥かにマシさ。終わりが分かってるんだからね」



 ああ、アルメアにとってはそうか。何百年もの間、いつ終わるか分からない事をしてたんだしな。それに比べれば、終わりが分かってる事は楽な事なんだろう。


 食事も終わったし、そろそろカマクラに入って休むか。俺達はカマクラ内に入って出入り口を閉じる。既に日が昇っているので外は明るい。砂漠という危険地帯では、流石に誰も夜の性活を口にしなかった為、さっさと眠る事にした。



 <異世界227日目>



 ふと目が覚めたので【空間把握】を使うと、外は夕暮れだった。そろそろ外に出て食事の準備をした方が良いな。


 そう思った俺はカマクラの出入り口を壊して外に出る。日が落ちているからか既に風は冷たくなってきているが、それでもまだ、きぐるみを着るほどじゃない。


 俺は焼き場の前で超魔鉄を使い2つの物を作る。1つはたこ焼き用の鉄板、もう1つは普通の鉄板だ。さて、たこ焼きを作ろうか。


 そう思って気付く、卵が無いじゃないかと。俺は溜息を吐きながら2枚の鉄板をアイテムバッグに仕舞い、チャパティの生地を作っていく。


 全員分の生地が出来たので焼いていき、全員分の生地が焼けた頃に皆が起きてきた。



 「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」


 「おはよう、皆」 「ニャ」 「………」



 皆が起きてきたので、貝、烏賊、蛸の干物を聖水で戻して焼いていく。丁度良い焼き加減になったら一口大に【分離】してチャパティに載せていく。


 最後に魚醤を少し掛けて完成だ。海鮮タコスモドキを皆の皿に乗せていき、紅茶も煮出して淹れていく。


 夕暮れの空を見ながらの砂漠の景色は、言い表す事が難しい美しさと怖さがあった。地球でも砂漠に関わる文化や風習には怖いものも多かったが、この景色の怖さが源流なのかもしれない。特に砂漠の夜は冷えるしな。



 「どこか物悲しい景色だね……まぁ、それは横に置いておいて、今日の移動で1つ目のオアシスには到着するんだろ? そこに何日滞在するかは分からないけど、次のオアシスまでの道を聞き出さないといけないからねぇ」


 「それほど時間は掛からないでしょう。最悪の場合はアルドが強引に聞き出しますよ」


 「それが出来てしまうのよね……。まあ、私達にとっては楽で良いけれど。でも失敗すると廃人になってしまうって聞くから、アルドもあまり使いたくはないみたいよ?」


 「まあ……あんまり使いたくないというだけで、使う事に躊躇いも何も無いんだけどな。次のオアシスまでの道は重要な情報だから簡単に喋るとは思ってないし、喋っても本当かどうか判断がつかないから使うのはしょうがない」



 段々と寒くなってきたので熊のきぐるみを着て出発する。【探知】と【空間把握】で2重に方角を調べているので誤りは無い筈だ。


 魔道具の方位磁針モドキも使っているが、全て同じ方向を示しているので間違いは無い。東に進む事1時間、第一オアシスに到着した。


 1軒ずつ【空間把握】で調べ、宿があったので扉を叩く。中から宿の主人が出てきたので、泊まりたい事を伝えると1日大銅貨10枚も要求された。


 ボッタクリ価格だが仕方がない。そのうえ雑魚寝用の部屋しかないらしい。俺達は布団を持ってるんで問題ないが、ふつうの商隊は大変だな。


 部屋に入り一息吐くと、宿の主人が宿を出るのを【探知】と【空間把握】で捉えた。しっかし、早速動くのかよ……。


 そう思いながら見張っていると、ある一軒の家に入って行く。豪華な家に住んでいる、どう見てもカタギには見えない連中に俺達が来た事を伝えているらしい。



 「ほう? その女共も含めて俺達が手に入れるか。男1人じゃ大した事は出来ないだろうしな。おい! 下っ端の奴等に準備させろ! 寝静まった頃に襲撃するぞ!!」


 「「「「「「「「「「おうっ!!!」」」」」」」」」」



 アホ丸出しな奴等だな。俺達はまだまだ元気いっぱいだぞ? そんな俺達に対して高々20~30人でどうしようって言うんだか。バカバカしいが1人残らず殲滅する。当然、宿の奴等もな!。


 俺は皆に【念話】で伝え迎撃の準備をする。武器も取り出し、完全武装を完了させた。


 そのまま静かにして体感で1時間ほど待っていると、扉の鍵が外からゆっくりと開けられた。下卑た顔の奴が入ってくるのが確認出来たので、即座に神金の矛で首を突き殺した。


 刎ねた首がドゴッ! と天井にぶつかり落ちてくる。その事に賊が驚いている隙に、扉の外へと突撃して血祭りにあげていく。


 皆も戦っているが宿は簡単に制圧できそうなので、俺は一足先に宿の外に出た。宿の中に10人、宿の外に20人ぐらい居るが、豪華な家の中にも15人ほど居るらしい。


 雑魚は幾ら居ても雑魚なんだがなぁ、と思いながら矛で賊の首を薙いでいると、宿の中から皆が飛び出してきた。


 どうやら宿の中の連中は皆殺しにされたらしい。随分早かったな、閉所だから皆でも多少の時間は掛かると思っていたんだが……少々皆を侮っていたみたいだ。


 しかも敵の攻撃に巻き込む形で宿の主人も殺したらしく、ディルが上手くできたと喜んでいる。そういや忘れてたけど、元暗殺者だったんだよな。そりゃ閉所でも上手く戦うか。


 皆が暴れに暴れているので、俺は逃がさない様に【念動】で転倒させたりなどのサポートに徹する事にした。


 それが良かったのか、賊は1人残らず全員始末し終わった。後は豪華な家に居る奴等だけだ。俺は迷う事無く進んで行き、豪華な家の前まで来た。


 すると中から15人の賊と、襲撃を指示していた賊の頭が出てきた。驚いた事にここに居る15人は、全員プレートアーマーを着ている。傷付いたり凹んだりしてる部分もあるが、紛れも無くプレートアーマーだ。


 元の世界なら非常に厄介な事になっていたかもしれないが、魔法のあるこの世界ではあんまり役に立たないんだがなぁ……。視界が悪いし、動きが悪くなるし、逃げ足は遅くなるし。何より五月蝿いし臭いんだよ。


 魔法で焼かれたり水攻めにされたら死ぬしかない状況になるうえ、泥で攻撃されたら重量が一気に増えて身動きがとれなくなる。


 この世界では、プレートアーマーは色んな意味で使えない鎧なんだが……知らないんだろうなー、あのドヤ顔は。



 ▽▽▽▽▽


 0553終了時点


 大白金貨3枚

 白金貨9枚

 大金貨36枚

 金貨140枚

 大銀貨523枚

 銀貨223枚

 大銅貨102枚

 銅貨220枚


 神金の矛

 神鉄の太刀

 アダマンタイトのサバイバルナイフ

 氷擲竜の棒手裏剣

 アダマンタイトの十手

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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